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第280話 これからの行動

 

 ーーーカイト視点ーーー


 ガンダー城でモノトールと合流した


「では、俺達はガンダーに待機と?」


 モノトールがゼルナに聞く


「あぁ、ガンダーの防衛と密林の見張りを任せる、飛竜隊の兵を5人ほど残すから好きに使ってくれ」

「わかりました、何かあれば使いに飛ばします」


 そんな話をした後に、俺達はベススに向かった

 途中で飛竜隊の兵が2人ほど離れていった


「1人は姉上達への伝令だ、もう1人はアルス達への伝令、ベススに寄らずに直接ガンダーに向かう可能性もあるからな」

「そうだな、入れ違いとか困るしな」


 暫く飛んでいると、さっき離れた兵達が戻ってきた


「ゼルナ様、ナリスト様への伝令は完了しました、オーシャンの皆様も同行されてましたのでそちらも伝えております」


 そう言って兵2人は部隊の中に戻っていった


「アルス達は姉上と一緒だったか」

「そうみたいだな」


 こうして、俺達はベススに向かい、到着した



 城に行くと、何か兵士達が慌ただしく動いていた


「何かあったのか?」


 ゼルナが1人の兵士に聞く


「ゼルナ様! 大変です! 逆賊です! 玉座に逆賊が!!」


 兵士は涙目で伝えてくる


「逆賊?」

「シーマ将軍とヒータ将軍が応戦したのですが! 敗北したと!!」

「あの2人がか!?」


 ゼルナが驚く


「玉座に向かおうゼルナ! レムレ、やれるか?」

「はい、撃ち抜きます」


 レムレは竜の弓を取り出した、殺る気MAXだな


「行くか」


 ゼルナが先導する、俺達はゼルナについていく


「カイト、お前は玉座の間に入るなよ、危ないからな」

「わかった」


 流石に戦いの邪魔はしたくないからな


 玉座の間に辿り着く


 ゼルナ達が扉を開けて突入する


 そして数秒後に……


「お前は何をやっているんだぁぁぁぁぁ!!」


 ゼルナの凄まじい怒鳴り声が響いた

 あんな大声出せたんだな、初めて聞いたぞ


「カイト様、入っても大丈夫みたいです」


 レムレが出てきた


「何があったんだ?」


 俺はそう言いながら玉座の間に入る

 そしてすぐに理解した


「そんなに怒鳴るな、ただの戯れだ」

「戯れでうちの将や兵士を叩きのめすな!!」

「そいつらから挑んできたのだぞ?」

「お前が玉座に座るからだろうが!!」


 玉座にはバイアスが座っていた

 ゼルナは怒りながらバイアスに向かう

 玉座の周りには死体の山だ

 いや、死んでないな、ちゃんと生きてるな、ギリギリ

 山の中にヒータとシーマの姿もある


「なんだよ、私の一声で無事に済んだのだろ?」

「それには感謝してるが、これとは話が別だ!!」


 そう言うとゼルナはバイアスを抱きしめ……担ぎ上げた


「乙女はもっと丁重に扱え〜」

「ぶん投げないだけありがたく思え!!」


 ゼルナはバイアスを運びながら、兵士達に山の連中の介抱を任せる


「カイト、適当に寛いでいてくれ、俺はこの馬鹿竜に説教してくる」

「お、おう……お、おつかれ」


 ゼルナ無茶苦茶キレてるやん

 怒気が凄い



 ···············

 数時間後


「それでああなった理由かい?」


 ナリストはデカいたんこぶが頭にあるバイアスを見る



「あんな怒ったゼルナは初めて見たぞ……バイアスってあんな事する奴なの?」

「ん〜まあたまに洒落にならない事はしてたねぇ……村が燃えたり、オアシスの水が一時的に枯れたり」

「それかなりヤバいことだろ?」

「アイツは竜だからね、そこらへんの感覚が人間とは違うんだよ」


 ナリストはやれやれと頭を掻くと、バイアスの所へ向かう


「兄さん」


 アルスが俺の側に来る


「どうした?」

「レムレから聞いたけど、兄さんも一緒にガンダーに向かったらしいね?」


 …………


「そ、それには理由があってな?」

「兄さん……理由は後で聞くよ、取り敢えず……座りなよ」


 ひぇ……


 ーーーゼルナ視点ーーー


「ゼルナ、そこまでにしてやんな」

「姉上」


 戻ってきたのか……窓を見ると暗くなっている

 そんなに時間が経っていたのか


「しかしだな……コイツのせいでヒータもシーマも数日は動けんぞ」

「その程度で済んだんだろ? なら手加減したのはわかるだろ?」

「……まあそうだが」

「いいぞナリスト! 言ってやれ!」


 また殴るぞ?


「バイアス、あんたはあんたで反省しな! 毎回毎回怒られて、いい加減こりな!」

「ぐっ!」

「どうせあれだろ? 山を降りたらゼルナは急いでるし、アタイがいないしで寂しくなって玉座に座ったんだろ?」

「っ!? な、何言っている! そんな理由ないだろ!!」


 バイアスが慌てる


「なんだい? 図星かい? 冗談だったんだけどねぇ」

「ナ、ナリストォ!!」

「……はぁ」


 俺は溜息を吐く


「バイアス、お前山のあの空間にずっと居たんだから、少しくらい我慢しろ、お前の相手をする時間くらい作る」


 バイアスを見ながら言う


「ゼルナ……」

「カイトの件は本当に感謝しているんだ、飛竜隊もお前のお蔭で作れた、何よりお前は幼い頃からの友だろ?」

「アタイ達はあんたを蔑ろには絶対にしないからさ、まあこれから寂しい時はアタイかゼルナの部屋で寛いで待ってな」

「そ、そうか! 別に寂しくはないが! そう言うならそうしてやる!」


 コイツ昔から子供っぽいところあるな……


「そういえばカイト達は?」

「後ろ見てみな」

「?」


 俺は振り返る


「大体兄さんは昔から危ないところに出てきてさ!! 自分の立場わかってる? 兄さんオーシャンの領主!!」

「ごめんなさぁぁぁい!!」


 弟に説教されて、土下座してる東方の覇者がそこにいた


 ············


 翌日


 ーーーカイト視点ーーー


 昨日のゴタゴタと説教も終わり、一息ついた状態でこれからの行動を話し合う


「それじゃあ、コルールにライガンとロンドベルトを待機させてるんだな?」


 ゼルナがナリストに聞く


「あぁ、元々ライガンは防衛上手いし、コルールの修復が終わるまではロンドベルトもいれば落ちないだろうね」


 ナリストはそう言って地図を見る


「暫くはコルールが最前線になるだろうしね」

「それでは、コルールでリールの足止めをすると?」


 ファルンが聞く


「それだと今まで通りでしょ? なんも変わらない」


 ボロボロだが、兵士に支えられて立っているシーマが言う


「シーマの言う通りだ、アタイもいい加減状況を変えるべきだと思ってるよ、リールの都を攻め落とす、戦姫をとれなくても、都を落とせば決着(けり)がつく」


 そう言うとナリストは2枚のカードを取り出す


「今のベススには以前と違う2つのカードがある」

「……ナリスト、それ」


 俺が思わず口を開くと


「飛竜隊と援軍」


 ルートゥに遮られた


「そう!」


 ナリストは2枚のカードを地図の上に置く、竜の絵が描かれたカードと、オーシャンのシンボルが描かれたカード


「ナリスト、これは」

「飛竜隊もオーシャンからの援軍も、この状況を変えるには充分な戦力だよ!」


 ナリストが遮る


「それで? その戦力でどう変えてくつもりなんだ?」


 ゼルナが聞く


「そこなんだよねぇ、アタイは1つ策を考えてるけど、それが上手くいくと自信を持って言えないんだよ」


 ナリストが溜息を吐く


「ナリむぐっ!」


 俺が口を開くと、隣に居たアルスに塞がれた


「兄さん、気になっても聞かないことだよ」


 小さな声でアルスに言われた

 だって、このカードいつ作ったのか気になってさ……


「そこで、アタイの策を今から言うから、それが上手くいくと思えるか皆に聞きたい……そして多数決で決めようか」


 ナリストが周りを見渡す

 この部屋には

 ナリスト、ゼルナ、ファルン、ルートゥ、シーマ、俺、アルス、ユリウスの8人だ

 チップスやレムレ達は休ませてる

 ライアンは部屋の前に待機してる


「同数の場合は?」


 俺はアルスの手を外して言う


「そうだねぇ……その時はこいつさ」


 ナリストは折ったカードを取り出した


「このカードにはアタイ以外の1人の名前を書いてる、そいつは2票分で数えさせてもらうよ」

「ナリスト的に、1番策で信用できるって事か?」

「そういうことさ」


 そして、ナリストの策を聞く


 ··········


「って事だけど、どうだい?」


 うーん、正直厳しいと感じる

 リール軍と交戦する前だったら賛同したけど

 戦姫やガルダを見たあとだと……


「じゃあ賛成の者は立ってくれ、反対の者は椅子に座るんだよ」


 ナリストがそう言うと、全員が動く


 立っているのはナリスト、ファルン、アルスの3人だった


「ありゃ、やっぱ駄目かい?」

「姉上、これだと賭けの要素がデカすぎる、一部の策は良いと思ったが、全体で見ると賛同できない」


 ゼルナが言う


「カイトもかい?」

「正直厳しいと感じた」


 大筋は悪くないが、所々の粗が目立つ感じだ


「僕はそれでもやるべきだと思ったよ、じゃないといつまでも終わらない」


 アルスが言う


「確実に上手くいく策なんてありません! それなら挑んでみるべきです!」


 ファルンも力強く言う


「勇敢と無謀は別物だぞ」


 シーマが言う


「犠牲が多く出ると思う」


 ルートゥも言う


「そうかい……うーんじゃあどうするかねぇ」


 ナリストがそう言うと


「少しいいです?」


 さっきから黙って地図を見てたユリウスが口を開く


 全員の視線がユリウスに向く


「何個か質問があるんだけど……」


 ユリウスが質問し、ナリストやゼルナが答える


「それなら……」


 ユリウスがさっきのナリストの策に付け加えるように提案していく


「この提案を採用してくれるなら、僕は賛成派になりますよ」

「良いよ、絶対に間に合わせる!」


 ナリストが力強く頷くと、ユリウスが立ち上がった


 4人立ち上がった、つまり同数だ


「同数だねぇ、他に意見を変えるのはいるかい?」


 誰も動かない


「ならカードを開こうか、カイトが一番近いね」

「よし、開けよう」


 俺はカードに手を伸ばし、全員に見えるようにカードを開いた



 そこには

『ユリウス』

 とカードいっぱいに大きな文字で書かれていた





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