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第275話 コルール解放戦 4

 ーーーゼルナ視点ーーー


 地下牢から出て、ユリウスと合流した俺達は、外壁に向かっていた


 途中で、外壁の様子が見える窓に近付いた時に、レムレが窓を開け、弓を取り出し矢を放った


「アルス様達が外壁を制圧してました、速やかに合流しましょう」

「仕事が早いな、ならここからは俺が先導しよう」


 外壁に繋がる道なら把握している


 俺達は走って外壁に向かう

 途中で数人の敵兵に会ったが、俺とユリウスで騒がれる前に始末した


 そして、城内から外壁に出た時だ


 カンカンカンカン!!


「!?」

「気付かれたな」


 警鐘が鳴り響いた


「ライガン、ここを護ってる敵将は?」

「マードルードです」

「マードルードか」


 厄介な奴が居たわけか


「マードルードってどんな奴だ?」


 ユリウスが聞いてくる


「リールの将で、腕だけじゃなくて、頭も使えると言わてるな……有名な話なら、『ヒールク』の開城だな」


 カルナル領の都ヒールク

 マードルードは時間をかけて内通し、ヒールクの兵士達を寝返らせて、ヒールクを落とした


「出来る奴です、急がないと対策されるかと」


 ライガンが焦り始めている


「落ち着け、出来る奴ならこっちにも多くいる」


 そう言って、足を止める

 門に、到着したからだが、門はまだ開いていない


 下を覗き込む、静かだ……


「アルス達は何処だ?」


 俺が呟くと……


「おっ! きたきた!」


 外壁の下から、シャルスが出てきた、後からアルスとライアンも出てきた


「ゼルナー! 門を開けたいんだが! 開け方がわからないんだ! 教えてくれ!!」

「わかった、すぐ行く。 レムレ、ユリウス、そこに階段があるから、ライガン達を連れてそこから降りてくれ」


 俺はそう言ってから飛び降りた


 着地して、アルス達に門の開け方を教える、そして門を開いた


「あっ、もうチップスさん達がこっちに向かってますね」


 降りてきたレムレが門の外を見る、よく見えるな……


「兄さんが望遠鏡でこっち見てたからね、合図したら動いてくれたよ」


 アルスはそう言いながら、敵兵の死体を門の外側の外壁に運んでいた


 その時


「かかれー!!」

『うおおおおおお!!』


 リール兵達が集まってきた


「まあ、このまま大人しく制圧させてはくれないよなぁ」


 ユリウスが槍を出す


「15人くらいかぁ、もっと集まるだろうけど……余裕だろ?」


 シャルスが指を鳴らす


「おし、暴れるか!」


 ライアンが剣を抜く


「本当に、頼もしい奴等だな、アルス、済まないがライガンを守っててくれないか?」

「わかったよ、レムレ、周りを警戒してて、近付く敵は撃ち抜け」

「任せてください!」

「ゼルナ様、俺達も戦えます」

「駄目だ、怪我1つ許さん」


 俺は長斧を構える


 ···········


 ーーーユリウス視点ーーー


 ドンドンやって来るリール兵

 これで、40人目か? 槍で貫いて、周りを見渡す


「やっと諦めたか、逃げ始めたな」


 離れていくリール兵


「ユリウス、どう思う?」


 近付いてきたシャルスが僕に聞く

 視線はリール兵の死体に向いていた


 ライアンとゼルナが仕留めた敵兵の死体だ


「そうだな、真正面から戦うのは避けたいかな」


 2人が殺した敵兵は真っ二つだ

 武器ごと両断されていた

 力自慢にも程があるだろ


「とくにゼルナだな、まだ底が知れない」


 なんていうか、ライアンはまだ戦場に慣れてないからか、雑魚にも全力でぶつかっていたが

 ゼルナは全然本気を出してない


「2年で大分追い付いたと思ったんだけどなぁ……」


 昔会った時から、強いのは知ってたが……まだ差がある感じだな


「まあ、オイラ達もまだ強くなれるって事かな」

「お前も手を抜いてたろ?」

「……わかる?」

「当たり前だろ、長い付き合いなんだからな」


 そのうち切り札見せろよ?


「!」


 馬の走る音が聴こえてきた、街の方からだ


「誰か来るな……1人か?」

「音は1頭分だな」


 身構える、姿が見えてきた、立派な鎧、敵将だ


「あれがマードルードか!」


 僕がそう叫ぶと


「2人共、下がれ」


 ゼルナが僕達の前に立った


「なんだ? 手柄を立てたいのか?」

「奴に礼を返すだけだ」


 ゼルナは身構える

 マードルードの姿がはっきり見える、奴も剣を構えている


「ゼルナァァァァァ!!」

「はぁぁぁぁ!!」


 マードルードが叫んで剣を振るう

 ゼルナの長斧がぶつかる


 バギィ!!


「うおっ!?」


 キィン!


 マードルードの剣が折れた、飛んできた刃先を槍で叩き落とす


「ちぃ!!」


 マードルードは馬を止めずに方向を変えて、離れ始めた、このまま逃げる気か!!


「レムレ!! シャルス!!」


 僕は2人に叫ぶ


「ユリウス邪魔伏せて!!」


 レムレに言われたから伏せる

 頭上を何かが飛んでいく


 パァン!っと遠くから弾ける音


 立ち上がって、マードルードの方を見ると

 シャルスがマードルードを捕えていた



 ············


 その後、ベスス軍が突入した事で、コルールの都を解放することが出来た

 戦死したリール兵以外は殆んど逃げ出したようだか、何人かは逃げ遅れたから捕えて捕虜となった

 マードルードも捕虜として捕らえられた


 こうして、コルールの解放作戦は無事に成功したのだった


 カイト達もコルールに入って、門を閉めた

 外に布陣していた、リール軍が攻めてくるかと思ったが、とっとと撤退したのか、朝になる頃には陣が無くなっていた


 そんなわけで、祝勝会っていうか、小規模な宴をしているわけだが


「なあ、レムレ聞いていいか?」

「んっ?」


 僕は水を飲んでるレムレに聞く


「マードルードの馬を射抜いたアレはなんだ? 回収したの見たけど、鉄の塊だよな?」


 レムレが放ったのは、矢の形をした鉄の塊だった、羽根とかは無かったけど


「うん、鉄を矢の形に溶かして硬めた物だよ」

「そんなの普通射ること出来るか?」

「普通の弓なら全然飛ばないよ、最悪弦が切れるし……竜の弓だから出来るんだよ」

「竜の弓……国宝ね」


 射抜かれたマードルードの馬は、左の前脚と後ろ脚、両方が抉れてちぎれ飛んでいた

 そして、落馬したところをシャルスが捕まえた訳だが……


「あんなの見ると、技術だけじゃ駄目なのかって思っちまうな」


 僕も国宝探してみるか?

 いや、正直そんな貴重な物が探してすぐ見つかるとは思えないし……


 やっぱり地道に技術を研いていくしかないか


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