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第270話  ベススの現状と打開策

 翌日


 眼を覚ますと、既に起きて用意を終えていたライアンと目があった


「おはよう大将、まだ時間はあるぞ?」

「おはようライアン、いや、起きるよ……アルスは?」

「少し前に起きて、素振りしてくるって出て行ったよ」


 俺が1番最後に起きたか……

 軽く柔軟して身体をほぐし、着替える


「アルスの様子でも見に行こうと思うんだが」

「了解! 確か訓練所だって言ってたな」


 俺達は訓練所に向かう


 道中で、すれ違うメイドや兵士に道を確認しながらたどり着く


 カァン!

 ガッ!


 木と木がぶつかり合う音が外まで聞こえている


「模擬戦でもしてるのか?」

「俺もまぜてもらうか!」


 ライアンが訓練所の扉を開ける


「はぁぁぁぁぁ!!」

「うおぉぉぉぉぉ!!」


 バキィ!


 前でアルスの木剣とゼルナの木剣が折れて先端が吹っ飛んだ

 どっちかのかは知らないが、折れた先端がこっちに飛んでくる


 パシッ!


 俺の目の前に飛んできた時に、ライアンが木剣の先端をキャッチした


「大丈夫か大将?」

「ああ、ありがとう」

「兄さん、もう起きたの?」


 駆け寄るアルス


「起きたよ、アルスはゼルナと模擬戦か?」

「うん、剣を振ってたらゼルナが来てね」


 ゼルナがこっちに来た


「どれだけ成長したか試したくてな、予想以上に強くなっていて驚いた」

「自慢の弟だ」


 俺はそう言ってアルスの肩を抱く

 頭を撫でてやりたいが、この2年で身長が追い付かれてしまったからな……

 いや、まだ越されてない……まだ越されてない!!


「カイトもやるか?」

「おっ? やる? 瞬殺だぞ? 俺が」


 ふっ、とゼルナは笑い、木剣をアルスとライアンに渡した


「カイト、少し話をしたい、今のべススの状況だ、知っておいた方が良いだろ?」

「それは助かる、アルスとライアンは訓練しててくれ」

「俺が側にいなくて大丈夫か?」

「大丈夫だ、ゼルナは親友だから」


 俺とゼルナは訓練所の端に行き、休憩用の椅子に座る


「さてと……先ずは何から話すか」

「内乱の件は? 心配して来たら終わってたからな」

「そうだな、そこから話すか」


 俺はゼルナから内乱の話を聞く

 3人の将が起こした内乱とその結末


「ロンドベルトか」


 べススでは実力の高い老将だな、武力だけならゼルナより上だった気がする


「その後の裁きも終わったから、内乱の影響も少なくすんだ」

「ベススの人間が納得してるなら良いんじゃないか?」


 オーシャンがとやかく言う事ではないだろ

 盟友とはいえ他所者だしな……


「納得か……何人かは妥協したみたいだがな」


 不満を持った人が居るのか……

 まぁ、全員が納得する正解なんて無いんだよなぁ……



「次はベススの現状か、カイトはベススがいくつの都を所有してるか知ってるか?」

「んっ? 先ずは『ベスス』だろ? 『ルノマレス』『ヤーマン』『コルール』 『ガンダー』の計5つだな」


「そうだ、そしてコルールを最前線としてリールと争っていたが……コルールを落とされた」

「……じゃあ、今はヤーマンで食い止めてるのか?」

「いや、コルールを取り戻すために、コルールの側で陣を取っている」

「飛竜部隊で攻めないのか?」

「まだ使う時じゃない、それにコルールを守っていた将が捕らわれていて、攻めるに攻めきれない」

「捕虜にされてるのか」


 見殺しにしたら荒れるな……


「因みに、その将は誰だ?」

「ライガンって言う男だ」


 ライガンか、ステータスは平均的だが、籠城戦を得意とする将だな

 数倍の兵力差でも長期間耐える奴で、ゲームの時は、手に入れたばかりの都に入れて、時間を稼がせたな……


「じゃあ、今はライガンを救うか見殺しにするかで意見が分かれてるって感じか?」

「ああ、姉上は救うつもりだが……」

「見殺し派が多いって事か……ゼルナはどっちだ?」

「……できる事なら救いたい、だが、これ以上時間をかけて、更なる被害が出るのは容認できない」

「見殺し寄りって事か……」


 理想ばかりは求められないよな……


「カイトならどうする?」

「俺も出来るなら救いたい側だな……仲間は死なせたくない」

「しかし、方法が浮かばない」

「少人数で忍び込むとかは?」

「危険すぎる、忍び込んで全滅は避けたい」

「うーん、かといって大軍で包囲とかしたら」

「捕虜を殺されるな」

「見張りの軍を残して、他の軍でリールと戦って、敵将を捕まえて捕虜交換とか?」

「リール軍はコルールの中と外にも布陣してる、更に他の道にも見張りをつけていて、コルールを避けて行軍してもバレる」

「相手も対策はしっかりしてるのか……」


 打つ手ないじゃないか!?


「軍議が進まないわけだな……」


 そりゃ、見殺し派が増えるわけだ

 正直ライガンは死なせるには惜しいけど……捕虜の為にドンドン不利になっていくのはなぁ……


 ···········


 その後、朝食が出来たからとメイドが伝えに来て、全員で食堂に向かう

 その道中でレムレ達と合流した


 そして食事を終えて、ナリストに会いに行く


「ああ! カイトよく来たね!!」

「ナリスト、久し振り」


 空元気だな、化粧やらで隠してるつもりだろうが、隈が見えてるぞ


「もうすぐ軍議を始めるが……」

「ゼルナから現状は聞いてる、力になれるかはわからないが、軍議に参加させてもらっていいか?」

「ああ、助かるよ!」


 それで、軍議に俺とアルスとユリウスで参加することになった

 オーシャン領主の俺と、オーシャン軍総大将のアルス、それと割と妙案を浮かべるユリウスでの参加だ


 そんな訳で参加した軍議だが


「見殺しにするべきだ!!」

「そんな簡単に仲間を切り捨てるのか!!」


 って感じでマトモに進まない


「兄さん、時間の無駄じゃない?」

「アルス、俺達も仲間が捕虜になったらこうなるぞ」


 今は他人事だから冷静でいられるが……自分の事になったら俺はこうなる気がする


 しかし、本当に進まないな

 ナリストは必死に策を考えてるが、リールが対策してきてる事や、他の将に穴を突かれて終了ってなってる

 ゼルナはヒートアップしてきた将を落ち着かせたりしているな


 でも、いつまでもこのままじゃいられないよな……

 こうなったら、俺が汚れ役を引き受けて……


「あっ、そうだ……」

「んっ?」


 アルスが胸元から青い袋を取り出す


「それは?」

「メイリーから渡された小袋、『ベススが都を落とされてマトモに動けそうにない時は青い袋を開けてください』って言われててね」

「メイリーの奴、こうなってるってわかってたのか?」


 本当に恐ろしい奴だな


「えっと……なになに?」


 アルスが小袋を開けると、中に紙が入っていた

 それを開くと……


「……あー成る程、しかしこれは……アイツ怖いな」


 アルスはそう呟いたのだった


 そして、アルスがその紙の内容を覚えたのか、小袋に仕舞う


「ベススの皆さん、1つ提案させてもらってもよろしいですか?」


 アルスの口から出たのは誰もが考えた策だった

 しかし、その策の内容は、見殺し派も納得……っていうか、それならいいかって感じにさせるには充分な内容だった




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