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第256話 ロンヌールにて……

 ロンヌール

 西方でも中央に最も近い領であり

 オーシャンとの戦でも、拠点として同盟で活躍した所である



「以上が報告となります」


 ロンヌールの将、ショウキュウはそう言って報告書を仕舞う


「ねぇねぇパキラ、どう思う?」

「そうだねポムラ、もう少し採掘量を増やした方が良いかもね」


 ロンヌールの領主である双子

 パキラ・ロンヌール

 ポムラ・ロンヌール


 彼等は2人で話し合って決めていく


「問題は、採掘量を増やすために、人手が必要って事だよねポムラ?」

「だねだねパキラ、人件費に余裕はある?」


 ポムラは軍師に聞いてみる


「……ふむ、出せても5人か6人ほどかと……」

「あまり意味ないねパキラ」

「そうだねポムラ」


『う~ん……』


「あっ! そうだポムラ! 罪人達を使わない?」

「良いねパキラ、牢で寝かせとくのも無駄だしね」


 双子はショウキュウを見る


『そんな訳で、罪人を強制的に働かせて、軽犯罪の者は簡単な手伝い程度、重犯罪者は1日1食だ

 けで働かせて、死刑の決まってるのは……使い潰していいよ♪』


「……かしこまりました」


 ショウキュウは玉座の間を退出する


「ねぇねぇパキラ、僕達、非道かな?」

「だねだねポムラ、でも罪を犯した者が悪くない? 罪の無い民を苦しめたんだから、苦しめてあげないと」

「そういえばパキラ、ショウキュウは最近結婚したんだよね?」

「そうだよポムラ、何かお祝いの品を贈らないとね」

『ふふふふふふふ♪』



 ・・・・・・・・・


 ーーーショウキュウ視点ーーー


 あー、慣れないな


「2人のやり取りをずっと待つのもキツいなぁ……」


 2人で一人前って言うくらいだしなぁ

 まぁ、仕事はしっかりしてるから……不満はそこまで無いが……あのやり取り以外は……


 私は溜め息を吐く

 そして、鉱山を纏めてる兵と文官に、決まったことを伝えて、後は任せる


「つっかれたぁ……帰るか」


 私は身体を伸ばす

 そこに……


「やぁ、ショウちゃん♪」

「ショウキュウ様! お疲れさまですます!!」

「……ケイラン、『アルトヌ』……訓練あがりか?」

「そうそう、アルトヌに鍛えてくれって頼まれてね」

「とても勉強になりましたですます!!」

「そうか……コイツの戦い方が参考になるとは思えんが」

「ショウちゃん? 傷付くけど?」


 いや、お前の武器、仕込み鎌じゃないか……


「それより、ショウちゃんはこれから帰る感じ?」

「ああ、報告も終えたしな」

「お疲れさまですます!!」

「ああ、じゃあな」


 私は歩き出す


 ……………


「ケイラン、何故ついてくる?」

「いやぁ、そういえば『ムーン』には最近会ってないって思ってね」

「…………そういえばそうだな」


 ムーン……私の嫁だ

 私とケイランとムーンは幼なじみで……子供の頃から良く一緒に居たな……


「…………」

「ショウちゃん? 俺の顔に何かついてる?」

「いや、あのチビの泣き虫が変わったと思ってな」

「そこまで泣き虫じゃなかったろ?」

「子犬に吠えられて、漏らしながら泣いてた奴が良く言うなぁ」

「そんな奴も、今では狼も逃げ出す男になりましたっと」

「はっ、ロンヌール最強は伊達じゃないって?」


 世の中、わからないものだよなぁ……


「そういえば、ショウちゃん知ってる?」

「何が?」

「バルバルバのじいさんが隠居だってさ」

「へぇ、跡継ぎは息子か?」


 小太りの中年だったな


「いや、それがソイツの子供……孫娘に継がせたらしい」

「孫娘に? …………どんな奴だったっけ?」

「さぁ、会ったこと無いから」

「それを何でお前は知ってるんだ?」

「ショウちゃんが報告書をまとめてる間に、双子様達に謁見したらしいから」

「…………私、何も聞いてないが?」

「みたいだね」

「…………それで、帰ったんだろ?」

「いや、それが東門に向かったらしくて」

「東門から? 帰るなら北門だよな?」

「デルトに向かったとか?」

「今更デルトに行って何になる?」


 デルトなんて、今は口だけの連中しか居ない所だ

 権力なんて何もないだろ……大声では言えないが


「それはわからないなぁ、ほら、あそこのじいさんがしきたりが大事とか言って行かせたとか?」

「大分歳食ってるしな……」


 まあ、私達には関係ないだろ


「じゃあ、俺はここで」

「んっ? ムーンに会わないのか?」

「新婚さんの邪魔はしないさ」


 ケイランはそう言って、商店街に消えていった

 アイツ、これを伝えるために着いてきたのか



「……やれやれ」


 ・・・・・・・・・・


 ロンヌールから東にある道

 そこには馬車が走っていた



「~♪」


 そこにはご機嫌な女性と


「…………」


 苛ついてる男性が座っていた



「ほらほらシャリオン機嫌直して」


 女性は男性に話し掛ける


「誰のせいだと思ってる? お前といいメーリス様といい、事前に相談しろよ」


 バルバルバの軍師、シャリオンはそう言って女性を睨む


「怖いなぁ……ほら笑って笑って」

「笑えると思うか?」

「ん~」

「……はぁ」


 シャリオンは溜め息を吐く


「しかし、本気か? 『ユシリフ』」


 シャリオンは女性……ユシリフ・バルバルバを見ながら言う


「オーシャンに向かうなんて、終戦したとはいえ、まだ時間は経ってないんだぞ? ハッキリ言って、俺達は恨まれてるぞ? それでも会うのか?」

「うん、それがお祖父様の最後の領主命令だし、私もカイト・オーシャンには会ってみたかった」

「そうか……なぁ、言っておくが……ふざけたことはするなよ?」

「ふざけたこと?」

「男女問わず口説くなんて事だよ!」

「えっ? ふざけてないよ? 私はいつも真剣さ」

「それがふざけてるって言ってんだよぉぉぉ!!」



 シャリオンの叫びが響いたのだった




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