表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/290

第251話 オーシャンへの帰り道 前編

 ーーーカイト視点ーーー


 ライアンが帰ってきてから3日経った


 その間に、ボフルスをメイリーに見せたり


「おぉ、立派な馬ですね」

「……驚かないのか? 怖くない?」

「? 可愛いと思いますよ?」


 驚かなかったか……ちっ!


 マルトを皆に紹介したり


「そんな訳で、彼女を暫くオーシャンで預かる事になったから」

「よろしくお願いします」


 マルトが綺麗な御辞儀で挨拶する


「よろしくお願いします」


 ティンクも礼を返す


「彼女はオーシャンで何をするのですか?」


 ルミルが聞いてくる


「レリスと相談してから決めるが……俺の仕事を手伝ってもらうか、メイリーみたいにレリスの助手でもやってもらうか……その後はミルムみたいに村の運営を任せてみる」


 それで、太守の仕事とかを少しずつ覚えてもらう

 問題ないと判断したら、ブルムンの代わりにカイナス地方を任せるさ

 ブルムンが凄く言ってきたしな……


『冗談抜きで家族の時間が取れないので、お願いします』

『わ、わかった……』


 必死だったな……ブルムン

 まあ、カイナスの事を任せすぎだよな……


「あ、そうだそうだ、ついでに相談なんだが」


 俺はティンクとルミルとテリアンヌにマルトの事を話す

 マルトがゲルドにどう見ても惚れてること

 ゲルドはマルトに嫌われてると勘違いしてること

 それを話して


「確かなんです? 気のせいの可能性は?」


 テリアンヌが聞いてくる


「まあ、本人に聞いたわけではないが……見たらわかるぞ」


 マルトに『ゲルドの事好きだろ?』とは聞いてない

 流石にそこまで無神経ではない

 でも……わかるよな? あんなの見ただけでわかるよな?


「もし、それでも気のせいとか思うなら……機会があるときに聞いてみてくれ」


 女性同士なら少しは話しやすいだろ?


 それと、賊の残党が残ってないか再確認をしたりした


 シンギから付近の賊の拠点を聞き出し、見落としか無いか確かめた後

 賊の討伐隊+ボフルス討伐用の部隊で徹底的に調べた


 その結果、逃げ隠れしていた残党を見つけたので、全員捕らえた

 これで、暫くは安心できる筈……


「また流れ込んできそうだよね」

「言うなアルス……そろそろブルムンが限界だから」


 ゲルドとモルスもオーシャンに帰還するからな……何とか殲滅できた


 さて、そんな事もあって、漸くオーシャンに帰れる


「そんな訳で帰るが……忘れ物とか無いよな?」


 俺は馬車に乗った後に全員を見る


「お土産もしっかり積んでます!」


 ティンクが答える

 ヤンユとメイドがお土産をしっかりと纏めていた


「ライアン以外は乗りましたよ」


 ルミルが答える

 ライアンはボフルスに乗って並走する事になってる

 ゲルドとモルスも馬に乗って並走する


「マルトも乗ってるな?」

「ここに、お世話になります」


 よし、こっちは大丈夫だな!


「走らせて良いか?」


 マーレスが聞いてくる


「あぁ、頼む」

「よし、出発!!」


 マーレスが号令を発して、馬車が動き出した



 さて、また長旅になるわけだが……

 しまったな……何か暇潰しできる物でも買ってくれば良かった


「カイト様」

「んっ?」


 マルトが声をかけてきた


「オーシャンに戻られた後の予定を聞かせていただいても宜しいですか?」

「あぁ、そうだな……メイリー」

「はい、っと!」

「はい」

「ありがとうございます」


 立ち上がったメイリーが、馬車の揺れで転けそうになり、それをレストが支えた


「このまま支えてようか?」

「大丈夫です」


 メイリーが椅子の背を掴みながら立つ


「先ず、カイト様は戻り次第、状況に変化が起きてないかの確認を取ります」


 それはいつも遠出から帰ったらやってる作業だな


「その後は学舎の教員を選出する予定です」

「候補はレリスが絞ってくれてたよな?」

「その様になってますね」


 建物も完成して、生徒の募集も進んでいる

 後は教員を決めて、カリキュラムを組めばOKだ!

 ……カリキュラムって使い方あってるのかこれ?



「その後はーー」


 メイリーがその後の俺の仕事の予定を説明する



 ・・・・・・・・・


「随分と先まで予定が埋まってるのですね」


 メイリーの説明が終わってから、マルトが呟く


「まあ、必要なことだしな」


 3年くらい先まで予定が埋まってるのは俺も驚いたが、言わないでおく


「あくまで予定ですので、何か事があればいくらでも変更できますので」


 メイリーがそう言う


「そうそう、結構融通がきいたりするから」


 そこまで言って、ふと思い出す


「そう言えば、カイナスに向かう時は気にしてなかったが……マイル村の近くを通るよな? ルミル、必要なら寄るか? 」


 俺はルミルを見る

 マイル村はルミルとレムレの故郷だ


「えっ? いえ、私の事は気にしてもらわなくても……」

「そうか?」


 まぁ、あんな事があったから……行きにくいのかも知れないが……


「村長……ペイス達に顔を見せなくても良いのか?」

「…………」


 俺がそう言うと、ルミルは少し考える

 そしてティンクを見る


「あの、宜しいですか?」

「はい! 寧ろルミルちゃんの故郷に行ってみたいです!!」


 ティンクがそう答えると


「で、では甘えさせてもらいます」

「よし! おーい! マーレス! 行き先変更!」

『はぁ!?』


 マーレスにマイル村の事を話して、行き先を変える


「本当に融通がききますね」


 マルトはそう呟いた



 ・・・・・・・・


 マイル村に到着して、ルミルはテリアンヌと一緒に村の住人に顔を見せに行った

 テリアンヌがついていったのは、怪我人のルミルをサポートする為だ


「それで? もう予定に変更はないよな?」


 マーレスが聞いてくる


「そうだな……今のところは…………あ、もう1個あるかもな」

「何処だ?」

「少し待て、ミルム!」


 俺はファルと一緒に寛いでいたミルムに声をかける


「どうしたの?」

「俺に新しい農業のやり方を見せてくれるんだったよな? オーシャンに着く前に寄れると思うが……大丈夫か?」

「来てくれるの!?」

「ああ、レリスには事後報告で良いだろうし、ついでだついで」

「だったらこうしちゃいられないね!! 先に村に行ってるから!」

「はっ?」


 そう言うとミルムはファルと一緒に走っていき

 あっという間に馬に乗って行った


「おいおい! ここからまだ何日もかかるだろ!! ミルム!!」


 聞いちゃいないよ……

 女2人だけって危ないだろ!!


「ライアン!! ライアン!!」

「どうした大将?」


 ライアンがすぐに駆けつけてきた

 俺はライアンに事情を話す


「なるほど、もうあそこまで行った嬢ちゃんの護衛をすればいいんだな?」

「ああ、追い付けるのはお前くらいだし……お前なら間違いもなさそうだしな」

「大将の護衛は?」

「ゲルド達も居るから大丈夫だ」

「わかった! じゃあ先に行ってて嬢ちゃん達と待ってる!」


 そう言うとライアンはボフルスの所に駆け寄り、飛び乗ってミルム達を追いかけていった


「さてと、そんな訳で『ワミール村』に寄るからよろしくな」

「はいよ」


 ・・・・・・・・


 ーーーライアン視点ーーー


「おっ! 追い付いた追い付いた! 嬢ちゃん!!」

「あ、ライアン! どうしたの?」

「どうしたの? じゃねーよ!! 女2人だけでどうする気だ! 嬢ちゃんの村まで何日もかかるだろ!」

「夜は道中の村に泊まるから大丈夫だよ?」

「日中もあぶねえだろ!! 大将が心配してたぞ!」

「もう! 私も子供じゃないんだから! ちゃんと考えてるよ! それにファルも居るから大丈夫だって!」

「それでも何人か兵士を護衛につけてけってーの!!」


 もうどうしようも無いけどな!!


「ライアンさんはミルム様を止めに来たのですか?」


 ファルが聞いてくる


「ちげーよ! 大将に護衛を頼まれた! だから俺も同行する!」

「じゃあ何の心配も無いね!!」


 嬢ちゃん……反省してねえな


「後で大将に怒られろよ! マジで!」


 お転婆ってレベルじゃねーぞ!!

 ……俺が任されたのは護衛だよな? おもりじゃないよな?











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ