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第238話 アルスの成長・出逢い

 焔歴148年 10月



 ーーーアルス視点ーーー


 マーレス達に誘われて、僕達はパルンに向かった


 道中はトラブルも無く、村や都を経由してのんびりと進めた


 日数にして15日程かかって、パルンに到着した




「さて、それじゃあ俺とテリアンヌはメルノユ様に挨拶してくるが……アルスはどうする? 一緒に来るか?」


 マーレスが僕を見る


「いや、遠慮しておくよ、久し振りの家族の時間だろ? 僕は後で挨拶しておくよ……適当に観光でもしておくから、終わったら呼んでよ」

「そうか、ならほれ」


 マーレスは1枚の紙を渡してきた


「これは?」

「俺のオススメの飯屋とか雑貨屋、行くところに迷ったらそこに行け、ハズレは無いぞ」

「今の時間なら、漁に行ってた船も帰ってきてる筈です、新鮮な魚介類が楽しめますよ!」


 へぇ、そういえば、前来た時は戦の後だったから、そういうのは楽しめなかったなぁ……


「じゃあ、港の方に行ってみるよ」

「後で迎えに行きますね!!」


 テリアンヌはそう言うと、マーレスと2人で城に向かった

 護衛の兵達もその場で休みを与えられて、解散した


「……港に行くかな」


 確か、あっちだったよな?


 ・・・・・・・・


 途中で道を間違えたりしたけど、何とか港に着いた


「おっ、丁度おろしてら」


 船から、恐らく魚が入った箱が運ばれていた


「あの魚をそのまま仕入れて、食べられる店があるのか……」


 僕はマーレスから渡されたメモを見る

 オススメのお店の情報と、見た目の特徴が書いてあった……

 これだけしっかり書いてるってことは……


「前から準備をしててくれたのかな?」


 後で改めて礼を言っておこう


「早速行ってみるかな……」


 お腹もすいてきたし……何を食べようかな?

 ムニエルもいいし、スープも捨てがたい……丸焼きとかあるのかな?


「んっ?」


 少し歩いていたら、人だかりがあった

 海の方を覗き込んでる様だ……


「どうしたんだろう?」


 気になったから、見に行く


「はいはい、ちょっと失礼」


 人の間を通って前に出る

 そして、海を覗くと……


「うわぁ……」


 そこには男性の死体があった

 木片にしがみついて、プカプカ浮かんでいた

 野次馬達は、どうするか戸惑っている


「……流石にあのままにするのは可哀想か」


 僕は上着を脱いで、海に飛び込む

 ……うん、大丈夫、身体は痛くない


「よっと……」


 男性の死体を掴む

 そうしてる間に、近くに縄が投げ込まれた

 これに掴まれって事だろうなぁ


「よいしょ! 引っ張ってくれ!!」


 僕は右腕で死体を掴み、左手で縄を掴む……


 その時だ……


「ぶはぁ!? あー、死ぬかと思った!! んっ? どういう状況?」


 死体が起き上がった……てか死んでなかった


「…………」

「んっ? えっ? なに? 怒ってる!?」


 取り敢えず、無理矢理捕まえて、一緒に海から引き上げて貰った


 ・・・・・・・・・


「いやー 悪いね!! 海から引き上げて貰ったうえに、飯まで奢って貰って!!」


「……はぁ」


 男……『スー』はそう言いながら料理を食べていく


「それで? スーはジュラハル大陸から来たの?」

「そうそう、趣味の釣りをしてたら、嵐に巻き込まれてさぁ~ 本気で死ぬかと思ったわ! ははははは!!」


 スーは豪快に笑う


 さて、そんなスーの格好だが……ほぼ裸である

 腰元に見たこと無い布を巻いてるが、それ以外は丸出しだ

 ……急所を隠してるだけマシか?


「とにかく、詳しい話は後にしようか……食べ終わったら服を買うから着てくれ」

「? ボクちゃんはこのままでも構わないが?」

「周りが構うんだよ!」


 はっ倒すぞ!!


「あ、いたいた! アルス君!」


 テリアンヌが店に入ってきた


「あ、テリアンヌ……挨拶は終わったの?」

「はい!」


 テリアンヌは微笑む


「なんだ? アルスの彼女?」


 スーが聞いてくる


「いや、仕事仲間」

「きゃ! 何で貴方裸なんですか!?」


 テリアンヌがスーに気付く、そして僕の後ろに隠れた


「失敬な! しっかりと履いている!!」

「きゃあ!?」


 スーが椅子から立ち上がる

 いや、殆んど裸だからな?



 ・・・・・・・・・


「つまり? 密航するつもりではなかったんだな?」

「そうそう、本当に偶然」


 あの後、僕はテリアンヌと一緒にパルン城に移動した

 ついでにスーも連れてきた

 道中で服を買って着せた


 そして、今はブライに尋問されていた

 他の大陸から入国するには、様々な手続きが必要らしい

 シャンバル達みたいに、しっかりと手続きすれば問題ないが……

 スーは結果的に密航してしまったわけで……


「ふむ、怪しい物も持っておらぬし……嘘ではないだろうが……」


 ブライはそう言うと、少し考えてから……


「よし、見張りをつけるが、自由に過ごすことを認めよう……ジュラハル大陸には、どうにかして連絡を送ってみよう」


 ブライはそう言うと、3人くらいの兵士を呼び出して、スーを見張るように指示を出した


「……これって僕が居る意味あったの?」

「証人として来てもらったが、意味はなかったな」



 なんだよそれ……


 僕が溜め息を吐いてる時


「♪」


 スーは何か楽しそうにしていた……

 ……そろそろコイツ殴っても良いよね?



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