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第208話 特訓開始ぃ!!

 ユリウスとティールの2人と合流した


 馬車の左にティール

 右にユリウスが並走する


 俺は馬車の窓を開けてユリウスに話し掛ける


「取り敢えず2つ聞いていいか?」

「なんです?」

「ボゾゾは一緒じゃないのか?」


 ユリウスとティールはボゾゾと一緒に特訓に行っていた筈だ

 何故ボゾゾは一緒じゃないだ?


「ボゾゾならガガルガに帰りましたよ、2日前だったかな……んで、僕とティールもオーシャンに向かってたって訳で」

「そうか……んじゃもう1つ……半年はかかるとボゾゾが言ってたそうだが?」

「予定よりも大分早く終わったんで!」


 ユリウスは親指を立てる


「そうか、特訓の成果はどんな感じなんだ?」

「僕もティールもかなり強くなりましたよ!」


 自信満々に答えるユリウス

 反対を見るとティールも自信満々に頷いていた


「へっ、そんなに言うなら後で決闘でもするか?」


 ライアンがユリウスを見ながら言う


「おっ? やるか? ぶっ倒すぞ?」

「上等だ!」


 楽しそうだな……


「てかカイト様、こいつ誰なんで? オーシャンに居ましたっけ?」


 ユリウスが聞いてくる


「ああ、紹介しておこう、彼はライアン……この間、俺の専属の護衛として雇った」

「……えっ? それは随分と思いきった採用ですね、貴方の護衛はレルガ殿あたりかと思ってましたが?」


 ティールが口を開く


「レルガは軍の要だからな、俺の専属にしたら軍の方が纏まらなくなる……まあこいつの実力は本物だからな……レルガとマーレスを同時に相手にして互角以上の戦いをしたからな」

「えっ? マジで?」


 ユリウスが意外な者を見るようにライアンを見る


「なんだ? 決闘は止めとくのか?」


 ライアンが挑発する


「まさか、寧ろ楽しみになってきた」


 ニヤリと笑うユリウス……あ~ほどほどにしてくれよ?


 因みに、俺はライアンがオルベリンの息子だと言うことは意図的に話さなかった

 ほら、オルベリンの影響ってデカいだろ?


 だからそれを知って、変に遠慮したり、色眼鏡で見たり……そんな事が無いようにしたくてね


 まあ、オーシャンに戻るか、護衛の兵にも知ってる奴は居るから……そこから知るかもしれんが

 知る前にある程度交流していたら……知った後に変わることってあまりないだろ?

 ……ないよな? 大丈夫だよな?



「カイト様? 聞いてます?」

「あ、悪い、考え事してた……なんだ?」

「だから僕達の話ですよ! さっき聞きたいって言ってましたよね?」

「ああ、そうだな……じゃあ聞かせて貰おうか?」


 俺はユリウスとティール……主にユリウスが話すのだが……

 彼等の話に耳を傾けるのだった


 ・・・・・・・・


 ーーーユリウス視点ーーー


 カイト様がレルガと兵を連れて、捕虜の迎えに行った


「……あー、暇だ」


 オーシャンに帰って、医者に右腕を見せたら……骨折って言われた

 骨にヒビが入ってるんだと……いや~まあ、折れるよりはマシだが……安静にしてろって言われて……暇だ


 医者からは酒とかは飲むなって言われてるから……飲みに行くのは無理だし

 かといって飯を食いに行こうにも……この腕だと外食は難しいよな……出来るとしたら左手で食える食い物を買って帰るくらいか?


「…………このままぼーとしててもなぁ……少し散歩でもするか」


 別に問題ないよな?


 僕は家を出る

 そして適当に都の中を歩く


「……にしても、大分立ち直ってきたなぁ」


 周りを見渡し、民の様子を見る

 カイト様が凹んでる時は民も不安がっていたが……今は活気を取り戻している

 領主の影響はやはり大きい


「…………」


 俺は目に入ったベンチに座る


『父上、ブランクって男を知ってますか?』


 オーシャンに帰ってから俺は養父であるバルセに聞いてみた


『……その名前をどこで?』


 父上は僕を見る


『この間の戦で戦いました、この腕もブランクと戦って……なんか妙にしつこかったんですよね……だから気になって……』

『……そうか、奴と会ったのか……ふむ、ユリウス……君の実父であるクラウスについてどこまで知ってる?』

『? ガガルガで最高の将と呼ばれてたくらいですかね? 幼い記憶でも、頼もしい人だったのは覚えてます』

『うむ……クラウスはとても頼もしい男だった……そのクラウスだが……元々はバルバルバの将だった』

『……そうだったんですか?』


 意外だった、産まれも育ちもガガルガ……東方だと思っていたから


『私が領主になる前だな、ガガルガとカイナスで西方と争った事が会ってな……その時に初めてクラウスと出会ったのだ』

『どんな出会いだったのですか?』

『私が死にかける様な出会いだったな……クラウスに追い詰められて死にかけた』

『……父上に殺されかけたって事で?』

『そうだよ、いや~強かった……実力の違いを思い知らされた……まあその時は他の者に助けられて窮地を脱したがな』

『それでなんで父上がガガルガに来る事に?』

『慌てるな、本格的な話はここからだ、その後、1度ヤークレンが東方を攻めてきた事があった』


 あー、なんか教育係に教えられたような……


『確か……ガガルガとカイナスとオーシャンで追い払ったんですよね?』


 僕はそう教わった


『実はその時にバルバルバからも援軍が来ていてな、それがクラウスとブランクだった……2人は同僚だったんだ』

『……やっとブランクが話に出ましたね』

『ふむ、やっとだ……クラウスから聞いたが、ブランクは良き友であり、好敵手だったそうだ』


 好敵手……そこまで言うって事はお互いに認めあってるって事か……


『そして、クラウスは私の妹……君の母と出会ったんだ』

『両親の馴れ初めをここで聞くとは思わなかった……』

『そして2人はお互いに惹かれあってな……実は妹は1度ガガルガから単身でバルバルバに行ってクラウスに会いに行ったりしたんだよ』

『なんですかその行動力……』

『それだけ惚れ込んだって事だろう……クラウスがガガルガまで送ってな……それからはクラウスがガガルガに訪ねるようになった……』

『また来られたらたまりませんからね……』

『そして、私が領主を継いだ後に……クラウスにガガルガに来ないか誘ったんだよ』

『そして父上はガガルガに来たんですね?』

『いや、断られたよ』

『……えっ?』

『主は裏切れないって言われてな……』

『じゃあ、どうして父上はガガルガに居たんですか?』

『説得したんだよ、クラウスと……メーリス=バルバルバをな』

『メーリス……バルバルバの領主でしたよね?』


 今も領主をしている老人


『うむ、時間はかかったが……メーリスも根負けして、ガガルガにクラウスが仕官するのを許してくれてな、クラウスはガガルガに来たんだ』

『……あの、父上、ブランクは?』

『そのクラウスの移籍を最後まで納得しなかったのがブランクだ……クラウスと一騎討ちをして、クラウスに敗北し、諦めたそうだ』

『……だから息子の僕に執着していたと?』

『うむ……恐らく、君とクラウスを重ねているのかもしれないな……』



 ・・・・・・・


「…………父上の好敵手」


 強いわけだよ……

 僕は空を見上げる


「大分強くなれたと思ったんだけどな……」


 …………身体が震える

 だけど、これは怖いから震えてるんじゃない

 武者震いだ……


「ブランクに勝てたら……父上を越えた事になるのかな?」


 身体中が熱くなる

 血が滾っている


 勝ちたい

 越えたい

 もっと強くなって……


「……ティール」

「っ!」


 僕は背後に来ていたティールに声を掛ける


「気付いていましたか?」

「お前の事はすぐわかるよ……ねぇ、僕はもっと強くなりたいんだけど……何か良い方法ある? いつも通りの訓練だと足りない気がする」

「……それなら丁度良い人物がオーシャンに来てますよ?」

「んっ?」


 僕はティールと一緒に城に向かう

 そして丁度良い人物に会う


「ボゾゾ! 来てたのか!」

「ユリウス、ひさし、ぶり」


 父上と一緒にガガルガに帰っていたボゾゾが来ていた

 多分報告か何かで来たんだろうな


「ボゾゾ! 頼みがあるんだ!」

「……たのみ?」


 僕は事情を話す


「……こころ、あたり、ある」

「本当か!!」

「でも、これ、きけん、死ぬこと、ある」

「それでも強くなれるなら!!」

「……ティールも?」

「そうですね、ユリウス様がやるならお供します……それに、私も今のままだと足手まといになりそうですから」


 何言ってんだよ! ティールが足手まといになることは無い!!


「わかった、なら、あした、出発、する、準備、しておく」

「わかった!!」


 ・・・・・・・


 翌日、僕とティールはレリスに事情を話してから出発した


 数日後、辿り着いたのは薄暗い森だった……


「オーシャンにこんな所があったんですね……」


 ティールが周りを見渡す


「ここ、将になった、みんな、きた、ここで、オルベリン、ふたり、過ごした」

「オーシャンの将になった時に、オルベリンに連れてこられて2人で過ごしたって事か?」

「ん……」


 ボゾゾは頷く


「ボゾゾ、ヘルド、ルーツ、レルガ、ジャックス、モールモー、メシルーク……みんな、ここで、鍛えた」

「後半の3人は知らないけど……つまり恒例行事だった訳か……」

「んっ、さいごに、ルーツ、死にかけた、それから、ベルドルト様に、とめられた」

「そりゃあ死なれたら困るからな……僕達の時は無かった訳だ……」

「それで? これからどうするんですか?」

「ついて、くる」


 馬から降りてボゾゾについていく


 少し歩いたら大きな洞窟が見えた


「おお、でけぇ……」

「結構深いですね……」

「ここ、拠点、寝る時は、ここ」

「へぇ、雨風をしのげるんなら、かなりマシな方だな」


 野宿には慣れてるからなんとも思わない


「それでこれからどうするんですか?」


 ティールがさっきと同じ事を言う


「ここ、いきもの、いろいろ、いる、熊、猪、狼、いろいろ」

「ふむふむ」

「ボゾゾたち、武器と、生身で、生き延びる、ここの、いきもの、すべて、ひれふせる」

「……はい?」


 ティールが首を傾げる

 えっと……つまり……


「野生の獣を相手に勝ちまくって森の覇者になれってか?」

「そう」

「……ちょっと待って、理解するのに時間がかかる!」


 ええ? それで強くなれるのか?

 僕はてっきりここでしか出来ない訓練方法があるんだと思ってた……


「ユリウス、ティール、まちがってる」

「なにが?」

「強くなる、それ、だいじ、でも、その為の、ちから、訓練、だけじゃ、限界、くる、ひつよう、なのは、生きる、ちから」

「……何がなんでも生き延びようとする事が強くなれる方法ってこと?」

「ん、オルベリン、いった、生き延びる、だいじ、だから……」


 ボゾゾが黙る

 その理由はすぐにわかった……洞窟の奥から何かが近付いてきてる


「グォォォォォ!!」


「熊!」

「大きいですね!!」


 僕とティールは武器を構える

 そんな僕達の前にボゾゾが立つ

 ……丸腰で


「ボゾゾ!?」


 お前! 武器は!?


「ふたりとも、目標、きめる」

「も、目標?」

「今はそれどころじゃないのでは!?」

「グォォォォォ!!」


 熊が突進してくる


 ズン!!


「ぬん!!」

「うぉ!? すげぇ!?」


 ボゾゾは熊の突進を受け止めた


「ボゾゾ、目標、きめた、それを、果たした、だから、つよい!」


 ボゾゾは右腕を振り上げて、振り下ろす


 ドゴン!


「グォ!?」


 熊の頭をぶん殴った……怯む熊

 そして……


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 熊を持ち上げるボゾゾ


「も、目標!! 僕は……あー、素手で熊は……無理かな、取り敢えず先ずは猪とかを狩れるくらい!!」

「では、私は武器ありで熊を狩れるくらいに!」

「それ、果たすまで、ここに住む! かくご、できた?」

『勿論!!』

「ふん!」


 ドゴン!


 ボゾゾが熊を地面に叩きつけた

 頭を潰された熊は身体を痙攣させて……絶命した


「なら、今日は、こいつ、くう、明日、から、えもの、じぶんで、てにいれる」

「わかった」

「火、点けますね」



 こうして、僕達の特訓は始まった







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