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第199話 軍師の策・3つの条件

 

 よし……落ち着け……深呼吸だ……

 吸って……吐いて……

 心臓の鼓動が少しマシになる


 よし、大丈夫だ……


「悪いが、もう一度名乗って貰えるか?」

「メイリーと申します」


 間違いない

 メイリーだ

 知性300の公式チートだ


 見た目はかなり若い……15くらいか?

 成人したてって感じだ……

 ゲームでは20代後半くらいの見た目だったから……かなり若いな


 っと、そんな事を考える暇はないな


 先ずは聞こう


「あー、メイリー、俺に勝利を届けると言ったが……どういう意味だ?」

「そのままの意味ですね、貴方に勝たせ続け、この大陸を統一する……その手伝いをさせて頂きたいのです」

「……」


 正直、メイリーが仲間になってくれるのは凄く嬉しい

 戦の時に戦場で策を考えてくれる軍師はオーシャンには殆んど居ないしな……

 これは時期的な問題で、ゲームだったら数年後にはある程度の人材が居るんだけどな……

 そんな訳で、メイリーの存在はデカイ……


 しかしだ


「悪いが、君を信用するわけにはいかないな、随分と自信があるようだが、いきなりやって来て……『じゃあ任せた』なんて出来るわけがない……それは理解できるだろ?」

「ええ、わかります……ですので、先ずはわたしの力量を見てもらおうかと思います」

「そんな時間は今は無いんだ」

「西方が攻めて来ているのですよね?」


 メイリーがそれを知ってても別に驚かない

 既に城下の街には防衛戦の事を伝えて避難させたりしてるのだからな


「……ならわかるだろ? 今日は帰ってもらおうか? もしくは客室を使わせてあげるから戦が終わるまで泊まってくれてもいい……大した歓迎は出来ないがな」

「わたしが西方を撃退してみせましょう」

「!?」


 何を言ってる?

 いや、メイリーなら出来る……のか?


「何を言っているんだ! いい加減にしてもらおうか!!」


 レリスが怒る


「わたしなら、彼等を撃退出来ます、カイト様にとって……最善の成果を出せると断言しましょう」

「……成る程、それで力量を見てもらうつもりか?」


 俺は興味を持った振りをする


「はい」

「方法を聞いてみようか? まさか君が1人で4万程の敵軍を蹴散らすのかい?」

「まさか、オルベリン様じゃありませんし……生憎、戦闘は不得手です」

「ならどうすると?」

「わたしに策があります」

「その策とは?」

「それは秘密で……3つ……3つの条件を満たせたら、必ず成功するとだけ伝えましょう」

「3つの条件? ……なんだ?」

「聞くのですか? カイト様」


 レリスが俺を見る


「取り敢えずな……」


 俺はメイリーを見る


「先ず1つ」


 メイリーは人差し指を立てる


「人手を貸して頂きたい、兵士を500人」


「500人で出来ることなのか? 奇襲とかにしては少ないぞ?」

「奇襲ではありませんから」


 ???


「2つ目は?」


 メイリーは中指を立てる


「2つ目は、『シャンリ村』と『ペンム村』この2つの村の人を都に受け入れて頂きたいのです、出来れば彼等の生活に必要な物を全て運び込む形で」

「……シャンリとペンム……『イーリアス盆地』にある村だよな? そこで西方と戦うつもりなのか?」

「ええ、彼処でしか策は成りませんから」


 イーリアス盆地

 平地と山が多くある場所だ


 西方への橋に向かう時の通り道でもある

 俺達も利用したし、西方の連中も間違いなく通るだろう……

 奇襲とかにはうってつけだが……奇襲じゃないらしいし……


「……まあ、西方の連中は村を占領しながら来てるらしい……民を避難させるのは問題ない」


 むしろ、既に占領された民の安否が心配なくらいだ


「3つ目ですが……」


 メイリーは薬指を立てる


「先程言った村の今年の税を免除してください……間違いなく払えないので」

「……レリス、イーリアス盆地の2つの村……それと西方に占領された村の税を免除しても問題ないよな?」

「ええ、余裕はありますし……1年どころか5年は免除しても問題ないですが……」

「なら大丈夫だな……ふむ、3つの条件……満たせそうではあるな……」


 俺はメイリーを見る


「……レルガ! 来てくれ!」

「はっ!!」


 レルガが俺の側に来る

 そして俺は玉座から立ち上がる


「メイリー、それだけ自信があるのなら、その条件、満たしてやる! だが……もし失敗したら……」


 俺はレルガの剣に手を伸ばし、抜く

 そしてメイリーの肩に刃を乗せる


「処刑される覚悟はあるんだな? 撤回するなら今だぞ?」

「…………」


 一瞬、メイリーは剣に怯んだ

 だが、大きく深呼吸をして俺を見る

 その眼には強い自信と、決意が見えた


「勿論です、死ぬ覚悟も殺される覚悟も出来ています……全てを覚悟した上で、こうして貴方の前に立っています」

「…………わかった」


 レルガに剣を返す


「メイリー! 兵を貸してやる!」

『カイト様!?』


 レリスとレルガが驚く


「大丈夫だ、防衛戦の準備も進める、防衛戦の準備を進めた上で……メイリーを試す」


 俺はレルガを見る


「レルガ、メイリーに着いて行ってくれ……そしてメイリーの策が失敗したと判断したら……斬り殺せ」

「……わかりました、その後は西方の連中に仕掛けても?」

「……いや、その時は隠れていてくれ、他の皆が駆けつけたら合流してくれ……無駄死にはさせたくない」

「わかりました」


 レルガがメイリーを睨む


「よろしくお願いします、レルガ将軍」


 メイリーは一礼する


「いつ動く?」


 俺が聞く


「今すぐ動きます、時間に余裕はありませんので」

「わかった、レルガは500人の兵を連れ出してくれ、その後はメイリーの指示に従ってみてくれ」

「はっ!!」


 レルガは直ぐに玉座の間を出て行った


「では、吉報をお待ち下さい」


 メイリーはそう言うと、俺とレリスに一礼した

 そして歩き出し、将達に一礼しながら玉座の間を出ていった


「レリス、避難民の受け入れを頼む、仮住まいの手配とか」

「わかりました……今日の軍議はここまでですね」

「ああ、悪いな、皆も今日は解散してくれ」


 さて……どうなるかな


 メイリーの策が上手くいったら……オーシャンは危機を乗り越え、有能な軍師も手に入る

 メイリーの策が失敗したら……いつも通りだな……


「……もし、メイリーが戻ってきたら……なんで俺の所に来たのか、聞いてみるかな……」


 俺の所に仕官する理由がわからなかった……

 メイリーなら、ヤークレンとかにでも行けば充分重宝されるだろうに……











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