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第191話 諦めない心

 ーーーカイト視点ーーー



「くそっ!」


 後少し……後少しでバルセ達防衛軍と合流できる……そんな時にバルバルバ軍の襲撃にあっていた


 ここまで俺達が来るとわかって居たのか?

 バルバルバの今の軍師は誰なんだ?


『シャンクル』か?

 それとも息子の『シャリオン』か?

 ……まさか『メイリー』とかじゃないだろうな?

 いや、メイリーは無いな……ゲームだとまだ成人するかしないかくらいの筈だし……

 マトモに軍師として動けるとは思えない……


 やっぱりシャンクルかシャリオンのどっちかだな!



「カイト様!! ここは僕達が何とかします!! 馬を全力で走らせて皆と合流してください!!」


 レムレが言う


「そうしてみたいが……俺の馬が限界みたいでな……全力で走っても追い付かれるかもしれない!」


 俺がそう言うと


「ちっ! おい! そこのお前! 今すぐヘルドにこの事を伝えろ!!」


 ガイルクが1人の兵士に指示を出した

 兵士が来た道を戻っていく


「レムレ! 敵の数はわかるか!」


 俺が聞く


「えっと……400から500くらいかと!」

「こっちは……」

 ……俺とレムレとガイルク

 そして兵士が20人!

 20から25倍の差か!!


「よし! 1人ノルマ25人な!!」


 俺は剣を抜く


「ふざけてる場合か!!」


 怒鳴るガイルク


「いたって真面目だ! 逃げるのも無理なら迎え撃つしかないだろ!! 俺は絶対に生きて帰る!」


 ルーツ達が繋いでくれた命だ!

 諦めてたまるかよ!!


「レムレ! お前の弓で交戦までに何人倒せる?」

「15人は討ち取ってみせます!!」


 レムレが弓を構える


「よし! ガイルク! お前は何人殺れる?」

「……ちっ!! 50人は殺ってやるよ!! 」


 ガイルクが大剣を構える


「聞いたか皆! 若い2人もこんなに勇ましいぞ! 俺達も負けてられないな!!」

「そうだ!!」

「俺達だって負けねぇぇぇ!!」

「生き残るんだぁぁぁ!!」


 無理矢理だが兵の戦意が上がる


「俺も全力で戦う!! いくぞ!!」

『うぉぉぉぉぉぉ!!』


 俺は弱い

 それは理解している

 だからって……戦わない理由にはならないよな!!

 生きるために戦ってやる!!



 ・・・・・・・・・


「はぁ!!」


 ザシュ!


「がっ!!」


 敵兵を1人斬り殺す


「ふっ!!」


 ズシュ!!


 ガイルクの大剣が敵兵を3人、一気に斬り捨てる


「はぁ!」


 ドス!


 レムレの矢が俺に向かう兵士を撃ち抜く

 次から次へと射抜く


 兵士達もしっかりと協力しながら戦った

 未だにこっちは犠牲は出ていない……


「どけどけどけ!!」


 1人の大男が兵士達を掻き分けて俺達の目の前に現れた


「お前は……『ゴーリス』か!!」

「おうよ!! 覚悟しろカイト・オーシャン!!」


 ゴーリス

 バルバルバの将でわりと強い!!


「ふん!!」

「うぉ!?」

「カイト様!?」


 ゴーリスは武器である鎖鎌を投げる

 鎖鎌は俺の剣に絡み付いて……俺の手から剣を奪った


「盗った!!」


 ゴーリスは俺の剣を手に取る


「くっ……」


 俺は予備の剣を抜く


「それも奪うか!!」


 ゴーリスは俺の剣を投げ捨て、再び鎖鎌を投げる


「ちっ! うぜぇ!!」


 ガキィン!


 その鎖鎌をガイルクが大剣で受け止めた

 鎖鎌が大剣に絡み付く


「お? 俺と力比べするか?」


 ゴーリスが言う


「上等だ!!」


 ゴーリスが鎖を引っ張る

 ガイルクは踏ん張って大剣を奪われないようにする


「ふん!」

「ぐっ!!」


 力はゴーリスの方が上みたいだ……

 くそ! 何か手助けがしたいが……周りの敵兵が邪魔をしてくる!

 レムレも同じ様だ……ガイルクの援護が出来ない!


「とった!!」


 ゴーリスが力強く鎖を引っ張る


「くっ!」


 ガイルクの身体がぶわっと浮いてゴーリスの方に飛んでいく

 大剣どころか身体ごと持っていかれた!?


「このまま殺す!!」


 ゴーリスは鎖から右手を離し

 自分の剣を抜いて構える


「嘗めるなよ! 脳筋野郎!!」


 ガイルクはそう言うと身体を捻った

 ええい! 邪魔だ敵兵!!


 ザシュ!


 俺は斬りかかってきた敵兵斬る


 ガイルクとゴーリスから目を離した……

 その一瞬で……


 ゴォン!!


「!?」


 凄まじい衝突音

 ガイルクを見ると……


「ぬぅぅ!!」

「はっ!!」


 ガイルクの大剣がゴーリスの兜にめり込んでいた

 ゴーリスの剣は折れている……

 な、何が起きたんだ?



「ふん!」

「ちっ! 生きてるか!!」


 ゴーリスが頭を振る

 ガイルクは大剣を持ったままゴーリスから距離をとる


 ドサッ!


 ゴーリスの兜が割れて地面に落ちた


「むぅ……空中でそんな技を放つとはな……」


 なんか感心してる……本当に何が起きたんだ?


「どうした? かかってこないのか? 今度はぶった斬るぞ?」


 ガイルクが挑発する


「そうだな……これなら俺も全力で挑んでやろう!! っと言いたいが、時間切れみたいだ!」

「あっ?」


 ゴーリスがそう言うと


『うぉぉぉぉぉぉ!!』


 後方から叫び声が聞こえた

 俺は振り返る



「カイト様を救え!!」

「一気に蹴散らすぞ!!」


 そこにはモルスを先頭にしたカイナス勢の将達が駆けて来ていた


「モルス達が追い付いたか!!」


 良かった! アイツらも無事だったんだな!!


「全軍撤退! これ以上は被害が出るだけだ!!」


 ゴーリスはそう言うと馬を走らせて北に向かっていった

 ……山を越えて帰る気か?


 バルバルバ兵達もゴーリスについていくように馬を走らせた


「た、助かった……」


 俺は周りにバルバルバ兵が残ってないのを確認してから剣を仕舞う


「ちっ! つまらねえ!」


 ガイルクは不満そうだった……

 お前結構血気盛んなんだな……


 ・・・・・・・・


 ブルムン達から報告を聞きながら防衛軍との合流を目指す


「アルスが行方不明!?」

「それとシャルスとゲルドとマーレスが居ません、ヘルドは橋を守りながら待つと言ってましたが……」

「…………」


 嘘だろ?

 ルーツを失って……くっ!!


「まさか戻ろうとか思ってませんよね?」


 ブルムンが言う


「戻るさ! 援軍を連れてな!!」

「……ヒヒ!!」


 順番を間違えたりはしない

 今は防衛軍との合流が先だ

 今引き返したら、ヘルドの頑張りが無駄になる!!


 ボゾゾやブライといった強い将と多くの兵を引き強れて行くべきだ!!



「皆! 急ぐぞ!!」

『はっ!!』


 俺達は馬を全力で走らせる



 ・・・・・・・・


 ーーーヘルド視点ーーー


「はぁ……はぁ……」

「流石にキツいな……」


 モルス達が橋を渡って少しした頃

 マーレスが単独でやって来た

 そしてアルス様はシャルスと一緒に居ること

 ゲルドは先に逃がした2人を探していることを聞いた


 その後に西方の連合軍がやって来た……数は1000人


 橋の狭さを利用して、俺とマーレスは1000人の猛攻をなんとかしのいだ


 のだが……体力が限界を迎えた……



「おいヘルド……奴等を見てみろよ……寛いでやがる」

「こっちは後3人……向こうは多勢……余裕なんだろうな……」


 カシウスは俺とマーレスの後ろで膝をついている

 完全に限界を越えているな……


「どうするよ? 一旦逃げるか?」

「無理だろ、俺達が背を向けたらすぐに追いかけて来るだろう……それに逃げる体力も無いだろう?」

「……まあな」


 くっ……厳しい状況だ……

 アルス様達が来ても……これだけの敵が居たら突破するのは難しいだろう

 カイト様が援軍を寄越すまで俺達が耐えれるかも難しい


「マーレス……奴等が攻めてこないうちに休んでおけ」

「お前こそ休んどけよ……お前の方がキツいだろ?」

「まだ大丈夫だ……」

「説得力ねえよ……」


「なんだ? まだやってたのか?」


 敵兵を掻き分けて敵将が現れた


「ちっ」


 マーレスが舌打ちする

 敵将が2人も現れたからな……


「あんなボロボロになって……醜いですね」


 おい、なんだあの優男……なんでバイオリンなんて戦場に持ってきてんだ?

 馬鹿なのか?


「あー『ケイロス』、それは本当に武器なんだな?」


 相方も疑問に思ってたか


「ええ武器ですよ、ここがこうなってて……」

「なんだこれ……作った奴イカれてるな!!」


 なんか御披露目してるんだが?

 別の所でやってくれないか?


「それて『パイアン』殿、どうするのですか?」


 ケイロスが聞く


「無論、突破する」


 パイアンが槍を構える


「では私は応援してます」

「なんだ? 戦わないのか?」

「血で汚れちゃうじゃないですか」


 …………うぜぇ


「それにどちらも死に体……1人で充分なのでは?」

「そうだな! よし、やるか!!」


 そう言うとパイアンは馬を走らせて単独で突撃してきた


「ちっ! ヘルド! さがって……」

「お前がさがってろ!!」


 俺は前に出る

 そして……


「ふん!」

「おるぁぁぁぁ!!」


 パイアンの振るう槍を掴む


「むぅ!?」


 バランスを崩したパイアン

 俺はパイアンの槍を引っ張り、パイアンを引き寄せて……


「戦を嘗めてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 ドゴォ!!


「ぐぶっ!?」


 右の拳をパイアンの顔面に叩き込んだ

 ぶっ飛ぶパイアン……飛んだ先は……


「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 橋の下だ


「……素手で殺りやがった」


 マーレスが呟く

 流石にあんなのを見たらな……普通にキレるだろ?


「次はてめぇだ!!」


 俺はケイロスを見る


「ふむ……困りましたね……流石に今のを見て、単独で挑もうとは思いませんよ……」


 ケイロスが呟いたその時


「ヒヒーン!!」

「おや!?」


 無人の馬が敵軍を突き抜けて現れた

 馬はケイロスを跳び越えて、俺達の側で止まった


「……これはゲルドの鎧? お前ゲルドの馬か?」


 マーレスは馬を撫でる

 そして鎧に何かを見つける


「紙? ……ああ、成る程」

「なんて書いてる?」

「人探し、必ず戻るだと……」

「……つまりどういう事だ?」

「時間はかかるが、必ず見つけてくるって事だろ? これしか書いてないからよくわからんが……」

「ようするに、心配するなって事か?」

「だろうな」


 そうか……なら、後はゲルドに任せるか……

 今、目の前の連中を片付けたら、俺達も撤退するとしよう


「さぁ、かかってこいやぁぁぁぁ!!」


 俺は叫ぶ


「……仕方ないですね」


 どうやらケイロスはやる気になった様だ

 早くしろ! 増援が来る前に終わらせないと退けねえんだよ!


「待て、ケイロス殿」


 静かに……しかし重い声が聞こえた


「おや? カルスト殿? お速いですね」


 ケイロスは振り返る

 敵兵の間を抜けて、1人の敵将が現れた


「貴殿は戦闘は不向きなのだろう? 無理はするものではないだろう」


 そう言ってカルストは馬から降りてこっち来る


「狭い橋の上とはいえ、大軍を相手した貴殿を私は敬意を表しよう」


 そう言って礼をする

 ……なんだこいつは?

 こんな隙だらけな筈なのに……隙が無い

 訳がわからない……


「貴殿の名を聞いても?」

「……俺はオーシャンの将、ヘルドだ」

「そうか……ヘルド殿、我が軍に(くだ)る気は無いか? 貴殿程の将なら、我が主も歓迎するだろう」

「断る、俺の主はカイト様のみ!」


 俺はハッキリと断る


「……そうか、心変わりはしないと?」

「ああ!」


 俺は槍を構える


「……残念だ、とても残念だ」


 カルストは2つの長斧を構える


「マーレス! さがってろ!!」

「またか? 2人でやった方が……」

「こいつは2人で挑んでもキツいだろうが! 下手したら橋から落ちるぞ!」


「シルテンの将……カルスト、参る!!」


 ドン!

 そんな音を出してカルストは突っ込んできた


 2つの長斧が襲いかかってくる


「くっ!!」


 ギィン!!


 俺は槍でなんとか防ぐ


 バキィ!!


「!?」


 カルストの長斧が橋にめり込む

 石にめり込むってどういう事だ!?

 しかも、カルストはめり込んだ長斧をアッサリと引き抜いたぞ!?


「……ふぅぅぅぅ」

「…………」


 ……実力差は明らか

 …………しかし、退けないよなぁ!!


「うぉぉぉぉぉ!!」


 槍を構えて

 今度は俺から突撃した



 ・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


 ゴーリスの襲撃をしのいでからは敵襲は無かった


 やっと防衛軍に合流した俺はバルセ達に現状を伝える


 バルセはすぐに軍を編成した


「ボゾゾ! ユルクルとブライと共に2万の兵を連れて向かうんだ!」

「わかった」


「俺も行く!!」

「カイト様!?」

「ヘルドだけじゃない! アルス達も迎えにいかないと行けないんだ! 止めないでくれ!!」

「……ボゾゾから決して離れないで下さい」

「ああ!!」



 俺達はすぐに橋に向かう


 ・・・・・・・・・


 ーーーカルスト視点ーーー



「…………」

「がっ……ぐっ……」


 驚いた……私と戦う前から疲弊していた筈なのに……


 ヘルドは数時間も私と戦っていた


 既に左腕を失い……右目も失明し……

 マトモに戦える身体ではない筈なのに……彼は今も立っていた


「見事だ……ここまで長く戦ったのは貴殿が初めてだ」

「そうかよ……」


 ヘルドの左目が私を睨む

 彼はいまだに闘志を失ってはいない……

 成る程……強いわけだ


「うぉぉぉぉぉぉ!!」


 キィン!

 ガッ!


 ヘルドの槍は私を殺そうと襲ってくる

 勢いは弱るどころか増してきている

 戦い始めた時より、今の方が強く感じる


「そこまでカイト・オーシャンが大事なのか?」


 私はつい疑問を口にしてしまった


「当たり前だろうが! カイト様はいずれ天下をとる方だ!」


 ハッキリと答えるヘルド


「天下を? ……随分と夢見た事を言うのだな」

「なにぃ!?」


 天下をとる……それはつまり『我々』や『南方』……そして『ヤークレン』を打ち倒すこと……

 そしてまだ見ぬ『他の大陸の猛者』を打ち倒すことだ……


 そんな事が出来るわけがない


「世界はとてつもなく広い、数十年で果たせるとは思えんな」

「はっ! カイト様を嘗めるな! あの方は絶望的な状態からひっくり返してきたんだ!! そこらへんの連中とは違うんだよ!!」

「妄信しているな……」


 冷めてきた……

 もう決着をつけよう……


「終らせよう……」


 私は構える


「……」


 ヘルドも構える


「妄信かどうか……確かめてみろよ!!」


 ……?

 なんだ? 雰囲気が変わった?


「………………すー」


 ヘルドは息を大きく吸い


「……はぁぁぁぁ!!」


 突進してくる

 ……速い!?


「くっ!!」


 ドスッ!!


「ぐっ!!」


 ヘルドの槍が私の左肩を貫く


「ちっ! 避けたか!」

「はぁ!!」


 ザクッ!


「がぁぁぁぁぁ!!」


 ヘルドの右腕を斬り落とす


 これで……終わりだ、両腕を失っては戦いなど


「うぉぉぉぉぉ!!」

「なに!?」


 ヘルドは強く踏み込み、頭突きをしてきた


 ゴスッ!


 咄嗟の事に反応できずに、私の顔にヘルドの頭突きが入る


 ドサッ!


 そのままヘルドは地面に倒れる

 しかし、寝返りをうち、私を睨む……まだやる気なのか!?


 ダン!


「かふっ!」


 私はヘルドの胸元を踏みつける

 これで身動きが出来ない筈だ……両足を動かして抜けようとするヘルド

 私はヘルドの両足を斬り飛ばす


「がぁぁぁぁぁ!!」


 四肢を失えば……最早何もできは……


「……………」


 何故だ?

 何故闘志を失わない!?

 最早戦える身体では無いと言うのに!


「貴殿は諦めを知らないのか?」

「最後の最後でも諦めないのが……俺達の強さなんだよ!」

「……そうか……一応聞こう、言い残すことはあるか?」

「はっ! いつか、お前達はカイト様にひれ伏すさ! それをあの世で見ててやるよ!!」



 ・・・・・・・


 ーーーヘルド視点ーーー


「それをあの世で見ててやるよ!!」


 ああ、駄目だな、もう意識が殆んど無い

 身体中の血が無くなる感じだ……もう感覚はない


 カルストが長斧をゆっくりと振ってくる

 いや、カルストだけじゃない……世界中がゆっくりと動いている


 死に間際に時間が遅くなるって話は本当だったわけか……


 後悔はしていない

 将として戦うんだ……死ぬ覚悟は出来ていた


 ただ……心残りがあるな


 サルリラ……ベルを悲しませる事……約束、守らなかったな……

 ユーリ……傍に居てやれなくて悪い……お前の成長を見守りたかったよ


 そして……カイト様

 貴方が天下に号令をかける所を……見たかった……



「ヘルドォォォォォォォォ!!」


 ああ、カイト様の声が聞こえる……

 これは幻聴か?

 それとも……これは……



 ・・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「ヘルドォォォォォォォォ!!」



 ザシュ!



 飛んでいく……何が?

 あの高く飛んでいるのは……


 なあ……なんだよこれ……


 ボト!


 落ちる……


 それが何か理解した瞬間……俺は叫んだ


「奴を殺せぇぇぇぇぇ!!」


 これは俺の声か?

 この……憎悪しか含まれてない声が……俺の声なのか?


「がぁぁぁぁぁぁ!!」


 突っ込むボゾゾ


「む、流石にこの数は無理だな……全軍撤退せよ!!」


 奴は逃げ出す


「待て!! 逃げるなぁ!!」


 俺は奴を追おうとするが……


「あんたが待て!! 何1人で追おうとしてんだよ!!」


 マーレスに止められた


退()けマーレス!! 奴を……」

「落ち着け!! お前じゃ勝てないのはわかってるだろ!!」

「~~~~っ!!」


 俺は馬から降りる

 そしてヘルドの頭を拾う


「ヘルド…………くそ……くそぉ!!」


 間に合わなかった……俺がもっと速く行動していれば……


「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 俺は叫んだ

 俺の叫び声は遠くまで響いていった……








 










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