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第18話 レムレの1日

レムレ視点です

 オーシャン領の本拠ヘイナス


 そこにあるカイト・オーシャン様のお城で召し使いとして働かせて貰えることになりました



 そんな城内ですが……


「ヤンユさん!これはどこに運びますか!」

「それは2階の空き部屋に運びなさい!」

「ヤンユさぁん!壺は飾りますかぁ!」

「見映えが良いものをね!」


 とても忙しいです

 普段も掃除とかで忙しいですけど……今日はとくに忙しいです


「ヤンユさん!シーツを持ってきました!」

「ありがとうレムレ、それは3階の空き部屋に運んでもらえる?」

「はい!!」

 メイド長であるヤンユさんの指示に従う


 今、城内は食事会の準備手一杯なんだ


 詳しくは知らないけど……

 ベスス領の人を招いて食事会をするんだって

 その人達が泊まる部屋の準備とか飾り付けとかで皆動き回ってるんだ!



「んしょ……んしょ」


 僕はシーツを3階の空き部屋に運ぶ


「ここだね」


 僕は空き部屋に入り、シーツをベッドに敷く

 シワが入らないように慎重に……できた!


「よし!」


 僕はヤンユさんに報告するために戻る


 ・・・・・・


「ヤンユさん!次は何をすればいいですか?」

 僕はヤンユさんに聞く


「そうね、ルミルが薪割りをしているから薪を運んでくれる?それが終わったら2人とも今日は自由にしていいわよ」

「わかりました!!」



 僕は薪割りをしているルミルの所に行く



 パカン!

 パキン!


 薪が斧で割れる音が聞こえてくる


「やってるやってる、おーい!ルミルーっ!?」


 ルミルを呼びながら角を曲がり、薪割りの場所に着いて僕は目を見開いた


 だって……


「ほぉ……」

「やるっすね」

「よっ!はっ!」


 だってルミルの側にヘルド様とサルリラ様がいるんだもん!!



「ひゃ!?ひゃの!?」

「むっ?……お前は確か弟の方だったか?」

「ひゃ、ひゃい!!レムレでひゅ!!」

 緊張して噛みまくる


「旦那、怯えてるっすよ?」

「何故だ!?」

「ごめんなひゃい!!」

「レムレ落ち着きなよ」


 薪割りをしながらルミルに言われる


「あ、あの、お二人は何故ここに!?」

「暇潰しっすよ、薪割りの良い音がしてたすっからね」


 暇潰し……訓練が終わったのかな?


「ふむ……お前達は何か武芸はやっていたのか?」


 ヘルドさんが聞いてくる


「やってないですよ!」

 パカン!


「や、やってましぇん!」


「そうなのか?」


 ヘルド様は割れた薪を拾う


「この綺麗な断面からも素質がわかるのにな」


 ヘルド様は薪の断面を撫でる


「素質、ですか?」

 パコン!


「そうだ、力任せに割れば……」


 ヘルド様がルミルから斧を受け取り、薪を


 バキン!


 割る……って言うより砕けたぁぁぁ!?


「旦那旦那、極端すぎっすよ、力任せとかそんな話じゃないっす」


「そうか?まあこんな風にボロボロになる」

 ボロボロっていうか粉々……


「それなのにルミルの薪は綺麗に割れている……斧の特性を理解して、薪の斬れやすい筋を見つけないとこうはならない」


「あんまり意識してないですよ?」

 パコン!


「ル、ルミルは昔から薪割りをしてましたから……慣れだと思いましゅ!?」

 あぅ……


「そうなのか……しかし本当に筋が良い……お前達が兵士になるのが楽しみだな」


 愉快そうに笑うヘルド様


「ところでレムレ君は何しに来たっすか?」

「あ、そうだった!」


 僕はルミルにヤンユさんから言われた事を話す


「わかった!もう少しで終わるからそこの束を持っていって!」

「うん!」


 僕は薪の束を持っていった



 ・・・・・・


 仕事も終わって城の庭を歩く僕


「うーん……訓練は終わってたし……どうしよう」


 ヒュッ!

 ドス!


 そんな音が聞こえてきた


「んん?弓の音?」


 僕は音のした方に向かう




「はっ!」

 ヒュッ!

 ドス!


「まだブレておりますな」

「うーん……」


「…………」


 そこにはオルベリン様とアルス様が弓矢の訓練をしていた


「こうかな?とう!」

 ヒュッ!

 ドス!


 矢は的の端に当たる


「まだブレています!」

「くそ!えい!えい!えい!」

 ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!


 矢は当たらない


「うーん……んっ?」

「ひゃ!?」


 アルス様が僕に気付いた


「あんたは兄さんが雇った……」

「レ、レムレでしゅ!!」

「どうした?そんなに萎縮するな」

「あわわわ!!」


 オルベリン様に頭を撫でられる


「なんでここにいるんだ?」

 アルス様に聞かれる


「その、仕事が終わって……あ、歩いていたら音が聞こえて!!」

「やって来たんだ?」

 アルス様は椅子に座る

 そして水を飲む


「オルベリン!ちょっと休憩!」

「わかりました」


 オルベリン様が僕を見る


「ふむ、暇なら君もやってみるか?」

「ふぇ!?い、良いんですか!?」


 オルベリン様から弓と矢を渡される


「え、えっと……」

「あの的を狙ってごらん」

「ひゃい!!」


 僕は弓を構える……

 的を狙って……


 ヒュッ!

 トン!


 よし!命中!


「…………」

「…………」

 アルス様とオルベリン様が的を見ている


「もう一回射ってもらえるか?」

 オルベリン様に言われる


「ひゃ、ひゃい!」

 僕は弓を構える


 ヒュッ!

 トン!


 的の真ん中に命中する


「ほぉ……」


 オルベリン様からそんな声が聞こえる


「……嘘ぉ」


 アルス様がそう言って立ち上がる


「もう一回見せてくれ!」

「ひゃい!」


 僕の側に来て言われる


 僕は弓を構えて

 ヒュッ!

 トン!


 的の真ん中……さっきの矢の隣に当てる


「どうやってるんだ!!教えてくれ!」

 アルス様が僕に聞かれる


「えっと、指をこうして……腰を固定して……こう!」

 ヒュッ!

 トス!


「こうか!」

 ヒュッ!


 ……………



 アルス様の矢が的に何回も当たるまでそれは続いた


「はっ!」

 ヒュッ!

 ドス!


 アルス様の矢が的の真ん中に当たる


「よし!!」

「やったぁ!」

 喜ぶ僕とアルス様


「ふむ……レムレは弓をやっていたのか?」

「あ、はい!狩りの手伝いをしてました!」


 お父さんが死んでからは僕も狩りに参加していたから……


「そうか……良い腕だな」


 そう言って片付けを始めるオルベリン様

 気付けばもう夕方だった



 ・・・・・・・・


 食堂で晩御飯を食べてから与えられた部屋で休む


「明日も……頑張ろう」


 僕はそう呟いて眠った




 ・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「えっ?ルミルとレムレを?」


「はい!ルミルには戦士としての才があります!」


 ヘルドが熱弁する


「レムレには弓兵として逸材かと!」


 オルベリンが語る


 ……ふむ、この2人がいうなら確かかもしれないが


「悪いが2人が成人するまでは兵士にはしない、それは変わらないからな」


 変えるわけにはいかない


「そうですか……」

「うむ……」


 残念そうな2人


「あーまあ、2人が活躍できる舞台は用意してみよう……」


 試して見たいこともあるし

 この際だ!実行に移してみるかな!!




 俺はそう決めたのだった











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