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第161話 ティールの見合い 2

 ーーーユリウス視点ーーー



「~~♪」


 さあってと!

 訓練も終わったし、報告書も出したし

 今日の仕事は終わった!


  「どうするかな~♪」


 今は夕方、もう少しで夜になる

 うーん……酒場でも行ってみるかな……


「そういえば……最近ティールと飲みに行ってないな……」


 最後に行ったのは3ヶ月くらい前か

 お互いに忙しくてなかなか予定が合わなかったんだよな……


「確かティールも今日は帰ってるはず……」


 誘ってみるかな


 そう決めて僕はティールの家に行く


 ・・・・・・・・


 ティールの家に着く

 ドアをノックしようとした所で


『はぁぁぁぁぁぁぁ!?』


「うおっ!?」


 家の中からティールの叫び声が聞こえた

 何かあったのか!?


「おっ、開いてる!」


 鍵は掛かってなかった

 僕は家に入る


 そしてリビングに向かう


「ティール! 何かあったのか!?」


 そこには……


「……ユリウス様」

「おや? ユリ坊かい」

「えっ? おばさん?」


 椅子から立ち上がって僕を見てるティールと

 椅子に座って僕を見てるティールの母親がいた


 ・・・・・・・


「見合い!?」


 僕はティールから状況を聞いた


「ユリウス様からも何とか言ってください!!」

「ユリ坊! あんたも言ってやってくれ!!」

「えっ、ちょ、んなこと言われても!」


 俺は2人の視線から逃げるように、1枚の絵を取る

 なんでこれだけ他の絵から離れてるんだ?


「あれ? こいつ……『カールサルス商会』の『カイナン』?」

「カールサルス商会!?」


 ティールが驚く

 カールサルス商会……ノースブリード大陸で1番大きな商会だ

 全ての領と商売しており、勿論、オーシャンとも商売をしている


「えっ? 見合い相手の候補になんでこいついんの?」


 僕はおばさんを見る

 カイナン……カールサルス商会の当主である『ブラスイン』と次男坊

 次男でもかなりの影響力を持ってる……彼が言えば貴族の1つや2つくらい簡単に没落させられるくらいだ


 ハッキリ言ってティールよりも何処かの貴族の娘か領主の娘と結ばれる方が似合ってる人物だ


「私がティールの見合い相手を募集したら送ってきたんだよ」

「……マジで?」


 おばさんがしつこく迫ったとかじゃないよね?


「…………」


 ティールは頭を抱えている

 そうだよな、普通の相手だったら気楽に断ったりできるのに……

 カールサルス商会じゃあなぁ……見合いせずに無理ですなんて出来ないよな


「これを狙ったわけ?」


 僕はおばさんに聞く


「んっ? 何が?」


 あ、これ本当にわかってない顔だ

 ……本気で他のお見合い相手と同じ感覚で候補に入れたな


「それで……どうするのティール?」


 僕はティールを見る


「はぁ……受けますよ、会うだけ会って断ります」

「断る前提かい!?」


 おばさんが驚く


「ティール、今回を逃すと本当に婚期を逃すよ? 独身のままでいたいのかい?」

「いや、私も結婚には興味があるけど……見合いはちょっと……」

「見合いの何がダメなんだい? 出会いの場を用意されたってだけじゃないか!」

「おばさん熱弁するね……」

「私もお父さんとは見合いだったからね!!」

「それ産まれて初めて知ったんだけど?」


 ティールが呆れる

 そしてティールとおばさんが口論を始めた


 僕は2人の口論を聞き流しながら他の見合い相手の絵を見る


 へぇ、色々居るんだな……商人に貴族に軍人に……おいおい、西方や南方の方からも来てるのかよ……

 ティールってモテるんだな……いや、このうち何人かはティールの立場が目的かもしれないが……


 ……まあ、この中で選ぶならやっぱりカイナンかな

 格が他と違う

 ……何を目的に見合いを申し込んだか気になるが


「おばさん、ティールは会うとは言ってるんだから今回はそれで良くない?」

「ユリ坊は黙りな!」

「いやいやよく考えて、ティールは断るつもりだと言ってるけど……実際に会ったら考えが変わるかもよ? あまりしつこいと会うのも止めるかも知れないから、ここらへんで妥協しないと……」

「むぅ……」

「……それ、本人の目の前で言います?」


 言うよ


「よし、そうと決まったら会う日付や場所を決めて僕に教えてよ」

「んっ? なんでユリ坊に教えなきゃいけないんだい?」

「カイト様とかには僕から連絡しておくから、ティールは見合いに集中してもらわなきゃ」

「ユリウス様……」

「ティールもそれでいいだろ?」

「はい」

「よし、だったら今日は僕は帰るよ」


 とても飲みに誘える感じじゃないし


 ・・・・・・・・・


 数日後


 ーーーカイト視点ーーー


「ティールが見合いね……なら仕方ないな、ティールが休む間の代わりは用意しておくからこっちは大丈夫だと伝えておいてくれ」

「了解!」


 俺はユリウスからティールが見合いで暫く休むことを聞かされた

 てか見合いか……ティールがね……

 まあ、彼女も大人だしな、彼女の母親の気持ちもわからなくもない



「それで? 見合いの相手は?」

「カールサルス商会のカイナンです」

「……マジで?」


 カイナン……彼とは何度か会った覚えがある

 俺の印象では好青年って感じだった

 誠実だし、見た目もいい……彼が来たときのメイド達の視線の熱いこと

 そんな彼がティールとね……確か24歳だったよな……

 ティールと結婚したら姉さん女房だな


「それにしても意外だな……」

「んっ? 何がです?」


 俺はユリウスを見る


「いや、お前が見合いに賛成だとはね、てっきり反対するかと思ってたよ……『ティールが離れるのは嫌だ』っとか言ってさ」

「いやいや、僕もそこまで子供じゃないですから……まあ、寂しいって気持ちはありますけど、ティールは身内()みたいなものですしね……幸せにはなって欲しいですからね」

「そっか……」


 あ、でももしティールが結婚したらどうしよ

 彼女が将を続けてくれるだろうか?

 もし彼女が抜けたら……結構厳しいぞ……

 ……色々と考えておかないとな



 ・・・・・・・・・・


 更に数日後


 ーーーティール視点ーーー


「とうとう……来てしまった」


 見合い当日……私は着なれない服を着てオーシャンの都を歩いていた


「はぁ、こんな服を着ることになるとは……」


 カイト様に報告された時点で、私の見合いの話が広まるのは予想していた

 私の代わりを探したりするのだから

 でも……まさかルミルやミルム様に呼び出されて色々されるとは……


『ティール……まさか男装して行くつもりなの!?』


 ルミルからそう言われて女性用の正装を着せられ……


『素っぴんはダメだよ! ヤンユ!!』

『はい!』


 ミルム様の指示でヤンユから化粧を施された……

 お蔭で顔に潤いが……な、慣れない


 そうしてる間に……カイナン殿が待っている店に着いた

 着いて……しまった……

 はぁ、気が重い



 私はお店に入るのだった……



 ・・・・・・・・・


 ティールは気づいていなかった


「さてと……どうなることやら……」


 少し離れた所でユリウスが見ていることに


「ねぇユリウス……なんで僕を巻き込むの?」


 何故か巻き込まれたレムレが聞く


「んっ? レムレの目を頼りにしようかと思ってさ、お詫びに色々ご馳走するからさぁ」

「はぁ……言っておくけど、ティールさんのお見合いを邪魔するなら」

「それはないって、カイナンがティールに危害をくわえないならな……」

「そう……なら良いけど……それで? これからどうするの? ティールさん、お店に入ったけど? 僕達も入るの?」

「いや、多分店からすぐに出てくると思う、お茶を飲みながら簡単な自己紹介をするだけだろうし」

「……そうなの?」

「そうそう、だから店から出て来たら行動開始だ」

「わかったよ……」



 こうしてティールの見合いが始まったのだった












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