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第11話 オルベリンの帰還

 メリアスト平原の戦いから4日後


「カイト様!カイナスとガガルガが停戦しました!!」


 玉座で俺はその報告を聞いた


「そうか停戦したか……ガガルガが金を動かしたのか?それとも領土を?カイナス側が疲弊したのか?」


「カイナス軍が常に優勢でしたが……『ヤークレン』が介入しました!戦を止めろと!」

「……待て、ヤークレンがか!?」


 ヤークレン……このノースブリード大陸の半分を所有している領主……そのヤークレンが介入した?


「……ガガルガはヤークレンと同盟を結んでいたか?」

「そんな話は聞いたこと無いですが?」

 レリスが答える


「だよな……何を企んでるんだ?」

 このノースブリードの国王を名乗るほどの領主が……


「ガガルガとヤークレンは繋がっているよな?」

「間違いないでしょうね」

「……くっ!」


 ガガルガと戦う時はヤークレンも警戒しないといけないのか!!

 くそ!


「オルベリンは?無事だよな?」

 アイツが殺られるとは思えないが


「オルベリン様は砦を4つ攻略されたそうです」


「ほぉ、大活躍じゃないか!」


 ガガルガが所有している砦の半分だぞ?


「まもなく帰還されるかと!」


「そうか!レリス、戦の準備と同時にオルベリン達を労う準備もしておこう」

「畏まりました……では酒と……オルベリン殿の好物の焼き菓子を大量に作らせましょう」

「そうだな……よし!」


 張り切って仕事するか!



 因みに俺は今ルーツからの提案でメリアスト平原に砦を建てる事を許可している所だった

 オーシャン領……今は1つも砦が無いからな……また攻められた時の事も考えたらな……

 投石器をまた運ぶのは大変だしな……

 砦の近くに村も作れるしな!!

 戦の事ばかり考えててそこら辺が抜けていた

 やはり持つべきは優秀な部下だな!助かるよ本当!


 ・・・・・・・


 停戦の報告から1週間後

 オルベリン達が帰還した


「オルベリン!御苦労だったな!」


 城門の前……いやオルベリンから見たら城門の後ろか?

 まあいい、そこで俺はオルベリン達を向かえた


「坊っちゃん!」


 オルベリンが馬から飛び降り、俺の前で膝をつく


「ガガルガの者共にオーシャンの強さを見せつけてやりましたぞ!」

「あぁ!砦を4つも攻略したそうだな!良くやった!」

「坊っちゃんの方もマールマールの軍を見事に撃退したと!ベススとの同盟も結べたそうですな!お見事でございます!!」

「皆の助けがあったからだ……とにかく話は中に入ってからにしよう!皆には休息が必要だ!」


 そう言って俺は城の扉を開かせる


「ほお……これは……」


「全員は入れないからな……大広間から庭園まで運んでいるからな!皆に振る舞おう!」


 メイド達が酒や料理や焼き菓子を運んできた

 焼き菓子を見てオルベリンの目が輝く


「お兄様!!」


 ミルムが駆け寄ってきた


「見てみて!これ私が作ったんだよ!」

 手には不格好な焼き菓子がある


「そうか、可愛らしい……鳥だな!」

「ウサギさんだよ?」


 ………………えふん!


「ミルム様」

「あ!じいじ!」


 ミルムがオルベリンに駆け寄る……じいじ呼びか


「見てみて!」

「素晴らしいですな!」

「じいじにあげる!!」

「ありがたい……早速いただきましょう」


 サクっと笑顔でオルベリンは焼き菓子を食べる

 ミルムは嬉しそうにオルベリンに肩車される


「すまんなオルベリン……」

「いいえ、坊っちゃん達やミルム様にこうして労われる……騎士冥利に尽きます」


 嬉しそうに微笑むオルベリン

 その表情は『化物』とは程遠いものだった



 ・・・・・・・


 数時間後

 労いの食事も終わり、玉座の間でオルベリンからの報告を聞く

 俺は明日でも良いと言ったんだがな……


「以上が援軍としての役目の報告です」

「そうか……被害も少ないのに更に兵を増やすとはな……流石だ」


 3千の兵は負傷者は出たが死者は出なかったそうだ

 更に降伏した者や、オルベリンの強さに感服した者が加わった

 結果兵は4千5百人に増えていた……感服した奴等はともかく降伏した奴等はカイナスに送らなくて良かったのか?


「それで、カイナスの様子はどうだった?」

 俺はオルベリンに問う


「そうですな……では『人』の報告を……ハッキリと申しますとケーミスト・カイナスに忠誠心から従ってる者は少ないと思いました」

「そうなのか?」

「はい、ケーミストは領主としての役目を果たしておりません、此度の戦もマトモな指示は出していませんでしたな……基本軍師の男かゲルド殿が指示を出しておりました」

「…………」


 ケーミスト・カイナス……お前なぁ……いくらカリスマが0でもそれは無いだろ……


「つまりカイナスの軍の(かなめ)は軍師とゲルドって事か……てか『人』の報告でそれかぁ……」

「次の報告をしても?」

「頼む」

「では『領』の報告を……停戦の後、我等はカイナスの本拠の『ゲルナル』の都に招待されました」

「ヤークレンの介入での停戦とはいえ、カイナスは多量の領土を手に入れたからな、戦勝の宴でもしたのか?」

「はい、その通りです」

「ふむ、それで?」

「…………酷い有り様でした……貧富の差が激しく……貧民は飢えておりました」

「……都なんだよな?」

「はい」


 カイナスはベススと違って食料が不足してるなんて事はないのに?


「……つまりケーミストは民から搾取してると……」

「そうですな、貴族以外は人とも思ってはいないかと……」

「…………よく内乱が起きないな……」

「ワシもそう思います……」

「……カイナスに味方したのは間違いだったか?」

「坊っちゃんを責める者はいないかと……」

「しかし……いや、この話は止めよう……」


 しかしケーミスト……民や部下は大事にしないと痛い目みるぞ?

 ……俺がやるべきか?


「以上が報告になります」

「わかった……」

「それとこちらを」


 オルベリンが俺に紙を渡す


「今回の報酬の領地か……この村は…」

「カイナスの端にある『マイル』という村です……現在は病が流行っており……村人は苦しんでおりました」

「そうか……レリス!」

「はっ!」

「100人の兵と何人か医者を、それと出来る限りの食料を手配しろ!マイルの民を救うんだ!」

「はっ!!」


 レリスはすぐに動いた


「やはり坊っちゃんは素晴らしい領主ですな!」

「これくらい当たり前の事だ」


 しかしカイナスも酷い状態だな……


 ・・・・・・・・


 2日後


「……よし、全員準備はいいな!!」


『オオオオオオオオ!!』


 俺達はマールマールに向けて進軍する

 連れていく兵は5500人

 そして一緒に来る将は

 ヘルド

 オルベリン

 ルーツ

 の3人だ

 サルリラはお留守番だ


「あの時パーを出していればあっしは……悔しいっす!」


 っと公正な勝負(じゃんけん)で決まった


「よし!出陣だ!マールマールを手に入れるぞ!!」



『ウオオオオオオオオ!!』



 さて、初めての攻める戦だ

 しっかりと進めないとな!!




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