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第117話 始まりと終わり

 焔暦146年 11月


 オーシャン城 玉座の間



 そこには将が集められていた

 将だけではない、外には兵が整列している


「…………」


 玉座にはカイト・オーシャンが座っていた


 そして……


「時は来た!!」


 立ち上がり叫ぶ


「収穫も終えた! 兵糧も用意できた! 装備も兵器と調整済みだ!」


 玉座の前にある階段を降りる

 1歩、1歩、ゆっくりと降りる


「狙うはパストーレ!! ……思えば始まりもパストーレだった……」


 カイトは思い出す……滅亡寸前だった過去を


「あの時の勝利から始まったのだ……そして、この戦で終わる!! この東方を、我等の物とする!!」


『うぉぉぉぉぉ!!』


 歓声をあげる将達


「今回の戦は完全なる侵略だ! マールマールの様に報復の為でも、ガガルガの様に力をつける為でも、カイナスの様に民を救う為でもない!!」


 静まる……


「それでも、共に戦ってくれるか!!」


 カイトの問い


『うぉぉぉぉぉぉぉ!!』


 大きな歓声

 それが答えだった


「よし! では、明朝に出撃する!! 各自! 英気を養い! パストーレとの戦を、共に勝利で迎えよう!!」


 こうして、カイトの演説は終わった

 オーシャン軍の士気が高まった



 ・・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー



「ふぅ……今回は皆、気合いが入ってるな……」


 将達が玉座の間を出た後に、俺は玉座に座る


「これが東方での最後の戦になりますからね……遂に……ここまで来ましたか」


 レリスが嬉しそうに言う


「ああ、思えば……あの時は3人しか将は居なかったよな……」


 オルベリン

 ヘルド

 ルーツ


 彼等が奮戦してくれたから……今のオーシャンがあるのだ


「レリス、この戦が終わったら……5人で酒でも飲まないか?」

「……5人? カイト様、オルベリン殿、ヘルド殿にルーツ殿……4人では?」

「お前もだろ?」


 俺はレリスを見る


「……私は大したことしてませんが?」

「何言ってるんだ? お前はずっと俺を助けてくれたじゃないか、戦ってないって言うなら俺だってマトモに戦ってないぞ?」


 俺の弱さを嘗めるなよ!!


「……ふふ、それでしたら、最高の酒を用意しておきましょう」

「それは楽しみだな……レリス、パストーレとの戦は長引くと思う……任せたぞ?」

「ええ、貴方様が不在の間はお任せを……全て、こなしてみせます……カイト様はパストーレに集中してください」

「ああ……」


 俺は玉座を立つ


「それじゃあ、俺も休ませてもらう……」

「ええ、暫く会えないのですから、ティンク様と熱い夜を過ごされて下さい」

「お前なぁ……いや過ごすけどさぁ……」


 からかってくるのやめてくれよ


 ・・・・・・・・・


 さて、俺は自室に到着した

 

 部屋に入る


「うーん……」


 ティンクが椅子に座って考えていた


「ティンク?」

「あ、カイトさん……」


 ティンクは俺を見上げる


「どうしたんだ?」


 何か悩んでるような……


「その、なかなか出来ないのが気になって……」


 ティンクは自分のお腹を見る

 行為をするようになって数ヶ月

 回数は多いがなかなか出来ない……それをティンクは悩んでいた


「いつも言ってるだろ? こういうのは時の運だって……まだティンクも俺も若いんだから、焦ることは無いんだ」


 俺は19

 ティンクは15


 慌てる必要なんて無いんだ


「そ、そうですけど……」

「なんだ? 誰かに嫌味でも言われたのか?」


 誰だ? 俺が直接言ってやるよ


「いえ、皆さんはいい人ですから、むしろ励ましてくれますよ」

「それじゃあなんでだ?」

「わたしが早く欲しいんです……その、カイトさんとの赤ちゃんが……そうしたら……その、戦の間も耐えれるかなって……寂しいですから」


 欲しいんですって言った後から赤くなって俯くティンク

 狙ってます? 俺の理性を狙い撃ちしてます?

 クリティカルヒットだよ!!


「ティンク!」

「ひゃあ!」


 俺はティンクの前で屈んで抱き締める


「ティンクがそう望むなら、俺は張り切るぞ?」

「え、えっと……あの……ひゃう!?」


 ティンクの耳を『はむっ』っとあま噛みする

 ピクンと震えるティンク


「カ、カイトさぁん……その、出来ればベッドで……」

「たまにはここでも良くないか? てか正直もう我慢できないんだ……1秒でも長く、君を愛でたいからね」

「……もう、そう言うのはズルいです! わ、わたしだって……その……カイトさんと……」


 潤んだ瞳で見つめてくるティンク


「ひゃ!?」


 興奮した獣には効果は抜群だった


 ・・・・・・・・・


 翌朝


 シャワーを浴びて汗を流す

 身支度を整えて


「それじゃあ、行ってくるよ」

「はい……」


 一緒に着替えたティンクに行ってきますと挨拶をする

 因みに、俺もティンクも服の下はお互いの唇で付けた印だらけだ


「あの、カイトさん」

「んっ?」

「必ず、無事に帰って来て下さいね? 帰って来て……またわたしを抱き締めてください」

「ああ、必ず帰ってくる……何かお土産も持って帰るよ」


 俺はティンクを抱き締める

 そしてキスをしてから部屋を出た

 死ねないな……絶対に



 ・・・・・・・


 オーシャンの都を出る

 そこには既にオーシャン軍が揃っていた


「……凄いな」


 思わず呟く


「ヒヒヒ、お久し振りです、カイト様」

「ブルムン、兵達の調子は良さそうだな」

「ええ、漁港との取り引きも再開されて、食料が手にはいる様になりましたからね、昔よりはマシです」


 漁港からの魚

 そして今年の他の村や都の収穫

 これで旧カイナスは少なくとも餓死者は出ないくらいには回復できた

 ……まあ、それでもまだ危ないが……自給率が少ないからな

 まあ、それはこれから解決していく


「それで、兵数は?」


「我々は計9万の兵を連れてきました、編成は進軍しながら説明します」

「そうか、頼む」


「カイト様」

「ああ、ケーニッヒ、来てくれたか!」

「ええ、ヘルドが来ようとしたのを無理矢理止めて来ました」


 ヘルド……お前まだ安静だろうが……


「ヘイナスからは2万の兵を連れてきました、訓練はしっかりとしてますから、他の軍に編成しても連係は問題ないかと」

「そうか! なら後で編成しよう!」


「兄さん! 準備は出来てるよ!」


 アルスが駆け寄ってくる


「アルス、オーシャンの兵は何人だ?」

「えっ? オーシャンからは4万だよ?」

「4万か、ははは、凄いなぁ……」

「兄さん?」

「あ、悪い……感心しててな……本当に増えたなぁ……」


 今で既に150,000の兵だ……

 これにマールマールとガガルガからの合流で更に増える

 ……圧倒的な兵力だな……

 信じられるか? 昔パストーレと戦った時は5,000だったんだぜ?

 30倍の兵力だ


「兄さん……」

「おっと、感動してる場合じゃないな」


 俺は前に歩く

 兵が俺の馬を連れてくる

 俺は跨がり


「全軍! 進めぇ!!」


 叫ぶ


『おおおおおおおおお!!』



 兵達の歓声

 こうして、俺達はパストーレに向けて出撃した





















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