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第107話 今後の課題と襲撃と

 翌日の昼


「……ふぅ」


 俺は執務室で頭を抱えていた


 目の前には書類の束、束、束ぁ!!


 仕事を溜めてたって訳ではないぞ?


 今日の午前中にレリスと話し合って、賊を殲滅する事を決めたからだ

 今までも治安を良くするために巡回を増やしたりしていたが……まだ甘かった


 昨日の襲撃でそれを痛感させられた


 だからもう徹底的に動く!

 オーシャン領全土の賊を潰す!

 怒った俺は怖いぞ?


 この束は過去の賊の被害報告を纏めた物だ

 その都度対処はしていたが、見逃した賊も居るかもしれない

 だから被害が有った場所を全て調べる

 そして兵を派遣する

 パストーレとの戦の前に終わらせないとな……



「それにしても……多すぎないか?」


 何年分だこれ?

 レリスも自分の執務室で同じ作業をしてる筈なのに……


「はぁ、取り敢えず手を動かすか……じゃないと終わらない」


 ……そういえば、シャルスはそろそろパストーレに到着した頃じゃないのか?

 まだ着いてなくてもパストーレの都の何処かには着いてる筈


「大丈夫かなアイツ……」


 戦闘能力では心配してない、シャルスは強い

 アルス曰く、近接なら修行仲間で1番強いらしい


 だが彼は獣人だ

 パストーレの奴等が彼を化け物と呼んでマトモに対応しない可能性を考えてなかった


「うーん、やっぱりもう1人つけた方が良かったか?」


 オーシャンの使者と名乗るオーシャンの鎧を来た獣人

 ……パストーレの連中がちゃんと信じてくれるか……

 門前払いだけは勘弁して欲しいな


「それにミルムの事もあるな……」


 いや、ミルムだけじゃない、ティンクもだ

 昨日の賊の襲撃……あれは偶々なのか?

 もしかしたら仕組まれた可能性もある

 レルガに拷問させてるが、未だに何の情報も吐いてない


 だから彼女達には専属の護衛が欲しい

 出来れば同姓のな

 その方が気楽だし


 真っ先に浮かんだのはティールだ

 彼女の忠誠はユリウスに向いているが、仕事はしっかりと果たしてくれる

 実力も確かだから護衛には適任だ


 しかし、彼女を護衛に専属させるってことは戦には出せなくなるって事だ

 それは痛い……オルベリンが抜けてる今、彼女まで抜けるのは厳しい

 だからティールは駄目だ


 次はサルリラだ

 ミルムもサルリラを気に入っているし、ティンクも彼女を信用している

 実力もある

 ……が、それはつまり彼女をオーシャンに連れてくることになる

 夫であるヘルドと引き離すことになる

 ヘルドも連れてくれば良いって話だが……彼以外にヘイナスを任せられるのがいないのだ

 それにサルリラは現在妊娠中……そんな彼女を呼び出すわけにはいかない

 産まれた子供の世話もあるしな

 だから却下だ


 次にルミルだが……

 実力は悪くはない……だが経験が足りない

 彼女はもっと戦いを知るべきだ

 それに戦力としてみても彼女が抜けるのはやっぱり痛い

 だから却下……


 女性の兵士だと頼りないし……ああー!!


「考えることが多すぎる!」


 レリスに相談するか?

 いや、レリスも既にいっぱいいっぱいの筈だ

 あぁ、もう1人か2人くらい相談できる軍師が欲しい……


 スッ

 カンッ!


「あ、やべ……」


 手から羽ペンを落としてしまった

 面倒な事に、ペンは机で跳ねて、右の方に飛んでしまった

 足下なら苦でもないが……あれは身体を傾けて手を伸ばさないと取れないな


「……うぁ、テストを思い出すなぁ」


 高校の時にペンを落としてな

 学校の決まりで机の上にはペン1つと消しゴム1つだけだから、手を挙げて先生に拾ってもらわないといけない

 あれは恥ずかしかったな……


「……こんな事でメイドや兵を呼ぶ訳にはいかないよな」


 俺はそこまでズボラじゃないぞ?

 いや、呼んだら扉の向こう側に待機してる兵が来るだろうがな


「よっと!」


 俺は身体を傾けて手を伸ばし、ペンを取る


 カッ!


「んっ?」


 後ろから……てか左って言うのか?

 まあいい、後ろから物音がしたから、俺はそのままの体勢で振り向く


「…………」

「…………」


 そこには女の子が居た

 なんか黒くて凄まじい露出の服を着た……いやそれもう紐じゃね?

 まあ、そんな女の子が少し驚いた顔で俺を見ていた

 そしてその女の子の右手は机の上

 ……あれ? ナイフ握ってない? てか机にナイフ刺さってない?


「っと!」


 ドタン!


 俺は倒れこむ、身体を傾かせ過ぎた!

 いや、ヤバくね? これってヤバくね!?


「っ!」


 女の子が机からナイフを引き抜いて俺に飛び掛かる


「うぉ!?」


 俺は咄嗟に右足で蹴飛ばす


 ゴスッ!


「ぐっ!」

「この!」


 右足は女の子の腹部に入る

 そして俺は女の子の伸びてきている左手を掴んで、巴投げの要領で俺の頭の方向に投げる……てか転がす


「誰か! 誰か早く!!」


 俺は叫びながら立ち上がり、女の子の右腕を右足で踏み、左足で女の子の胸元を押さえる

 女の子の右手からナイフが離されるのを確認して馬乗りに体勢を変えて両腕で女の子の両腕を押さえる

 対格差があるから割りと簡単に押さえられた、もがく女の子

 少し心が痛むが、こっちは襲われたんだ! 放すつもりはない!


「カイト様! どうしましっ!? ……えと……」

「カイト様!? あ、えっ? ……お楽しみでしたか?」


 兵士2人が入ってきた

 そしてそんな事を言う……そうだよな、ぱっと見では俺が女の子を押し倒してる風にしか見えないよな!!

 ボケてる余裕は無いぞ!!


「侵入者だ!! 襲われた!」


 俺が叫ぶ


「っ!? 確保!!」


 兵士が落ちてるナイフに気付いて加勢する

 もう1人も加勢する


 3人がかりで取り押さえて捕縛する

 兵士の片割れが女の子の口に布を咥えさせる……舌を噛み千切っての自決を防ぐためだ

 もう1人が常備してる縄で女の子の両腕を縛る

 そしてもう1人の縄も取り出して両足を縛る

 これで女の子は身動きが出来なくなる


「油断するなよ? 縄抜けとかするかも知れないからな……」

『はっ!』


 男3人が女の子を拘束する……危ない光景だな

 取り敢えずティールあたりを呼ぶか……この子の事を調べたりしないと……


「何の騒ぎですか? …………っ!?」


 ヤンユが紅茶をトレイに乗せてやって来た

 そして目を丸くする


「ヤンユ?」

「カ、カイト様……申し上げにくいのですが……その様なプレイをお好みでしたら奥様と相談して」

「違うからな!?」


 そんなプレイじゃない!!

 まあいい、ちょうど良い


「ヤンユ、ティールと女性の兵士を数人呼んでくれ?」

「えっ?」

「侵入者だ、殺されかけた……」


 俺はナイフを拾う


「!? 畏まりました」


 察してくれたようだ

 ヤンユは直ぐにティール達を呼びに行った


「さて、この子は何処から入ったんだ?」


 唯一の出入口である扉にはこの2人の兵士が警備していた

 窓も閉まってるし、勝手に開いたら気付くぞ?

 後ろに立っていたから……俺の背後の何処かか?

 でも本棚しかないし……少し調べるが不審な所は無い


「んっ?」


 あ、天井の板が外れてる!? ここから侵入したのか!?

 てか人が入れる隙間が天井裏に有ったのか!?


「良くあんなところから音も立てずに入れたな……」


 俺は女の子を見る

 両腕と両足を縛られて、更に兵士に押さえられてる

 てかこの服やっぱりおかしいだろ……胸元がずれて見えてるし……何? 露出狂なの? 機能性重視にも限度があるぞ?


「失礼します、ティール参りました」

「あぁ、良く来てくれた、事情は聞いたか?」

「カイト様が女の子を襲って、凌辱してると……」

「…………」

「冗談ですよ、それでこの子ですか?」


 勘弁してくれよ、流石に怒るぞ?


「ああ、天井から侵入した様だ……その子を尋問して誰が雇ったのかとか色々聞き出してくれ」

「わかりました」


 そう話していたら女性の兵士達がやって来た

 押さえていた兵士と交代し、女の子を連行していった


「カイト様、必要ならば拷問もしますか?」

「……それは少し可哀想じゃないか? 見た目的に10になるかならないかだろ? いや、でも殺されかけたし……むむ」

「カイト様、彼女は恐らく暗殺ギルドの者です、見た目に騙されてはいけませんよ」

「えっ? なに? あれって変装なの?」

「いえ、暗殺ギルドでは幼い見た目の暗殺者を作るために、幼い頃から毒を飲ませたりして身体を壊すんですよ、成長しないように……彼女も恐らく」

「つまり20代とか30代とか?」

「可能性はあります、ですので見た目で情けをかけないでください」

「……わかった、ティール、拷問の事とか全て任せる、俺は良くわからないからな」

「はっ!」

「あ、でも……」

「?」

「お前が辛いと感じたら止めていいからな? 無理はするなよ?」

「……ええ、ありがとうございます」


 そう言ってティールは執務室を出ていった

 俺と2人の兵士だけが残る


「さて、俺は仕事に戻るか……あー君達、悪いけど、どっちかはここに居てくれないか? 流石に1人になるわけにはいかないし」

「はっ!!」



 後は……天井の修理と、警備の強化も必要だな……

 ……やることが増えやがった!!













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