第103話 お風呂にGo!!
ーーーティンク視点ーーー
「ねぇねぇ! マールの浴場って大きいんだよね?」
ミルムちゃんがわたしとヤンユさんを交互に見ながら嬉々として話す
「えぇ、とても大きいですよ、10人は余裕で入れます!」
わたしは答えます
「楽しみ~♪」
ご機嫌なミルムちゃん
可愛いですね
「馬車ではしゃぐと酔いますよ? これどうぞ」
ルミルちゃんが酔い止めのハーブを渡してくれます
「ありがとうございます」
「ありがとー!」
わたしとミルムちゃんが受けとる……囓ると少し苦いですね
「紅茶と一緒に飲んだら良いですよ」
サッとヤンユさんが紅茶を渡してくれる
紅茶を受け取り飲むとハーブの苦味と紅茶の甘味がとてもマッチする
「わぁ、美味しいですね……」
「おいしー!!」
ミルムちゃんも美味しそうに飲む
「はい、ティールさんも」
「ありがとう」
ルミルちゃんがティールさんにハーブを渡す
因みに座ってる場所はわたしの左にミルムちゃん、その更に左にヤンユさん
わたしの向かいにルミルちゃん、そしてルミルちゃんの右隣……わたしから見たら左にティールさんが座っています
「そう言えば、マールに到着してからの予定は決めてるので?」
ティールさんがミルムちゃんに聞きます
「えっ? うーん……街を見て回るくらいかな? お兄様達へのお土産買いたい!!」
「でしたら、何軒か良さそうな店を知ってます、着いたら案内しましょう」
「ありがとうティール!」
ミルムちゃんがティールさんの目の前に行って手を握りにこやかにお礼を言う
「い、いえ……」
少し照れてます?
「お土産の種類はどうします? 雑貨にするか食べ物にするか、決めた方が良いと思いますよ?」
ルミルちゃんが言う
「うーん……どっちが良いかな?」
ミルムちゃんがルミルちゃんを見る
「そうですね……正直カイト様は何を貰っても喜んでくれる気がしますね」
そうですね、カイトさんならミルムちゃんからのお土産なら何でも喜んでくれると思います!
「楽しみだなー! 早くつかないかなー!!」
ワクワクしてるミルムちゃん
「ミルム様、危ないですので、そろそろお座り下さい」
「はーい!」
ヤンユさんがミルムちゃんの手を取って座らせます
「ふんふんふん♪」
本当にご機嫌ですね
・・・・・・・・・・
「すぅ……すぅ……」
2時間経ったくらいでミルムちゃんが眠っちゃいました
「どうやら楽しみで昨日寝付けなかったみたいですね」
ヤンユさんがミルムちゃんを膝枕しながら頭を撫でます
「そういうことありますよね……良くわかります」
ルミルちゃんがミルムちゃんを見ながら言います
「全く……元気な子ですね」
苦笑しているティールさん
「それがミルムちゃんの魅力です」
わたしが答える
「…………見た目は似てないのに、やはりカイト様の妹君ですね……アッサリと相手の心の内に入り込んでくる」
ティールさんが言う
「彼女と接して不快に感じる人は少ないでしょうね」
ルミルちゃんは愉快そうに笑う
和やかな空気
「おっと!」
馭者さんの声が聞こえて、馬車が止まった
「……どうしました?」
ティールさんが小窓から馭者さんに話しかけます
「目の前に賊です、5人の賊に道を塞がれました」
「やれやれ、面倒なことで……」
「殺る?」
ルミルちゃんが聞きます
「ええ、さっさと済ませます……私が出ますのでルミルは皆さんの護衛を」
「了解」
ティールさんが外に出ます
話し声が小さいけど聞こえます
「金……出せ」
「ことわ…………せろ」
どうやらお金を要求されてるみたいですね
多分ティールさんは「断る、失せろ」って言ったんでしょうね
そして戦闘音が聞こえてきました
……だ、大丈夫でしょうか?
ティールさんが強いのは知ってますが……相手は5人……
「大丈夫ですよ、ティールさんは強いですから」
ルミルちゃんがわたしに言います
「そ、そうですね……あ、音が止みましたね」
静かになりました…………
コンコン、と小窓が叩かれます
「はい?」
ルミルちゃんが対応します
「賊は片付きました、出発します」
ティールさんの声
「馬車に入らないので?」
ルミルちゃんが聞きます
「返り血が付いたのでね、泊まる村に着くまでここに居ます」
「わかりました……なんかいります?」
「大丈夫ですよ」
そう言って話が終わり
馬車が走り出しました
窓から外を見ると、5人の男性の死体がありました
……あのままにするのでしょうか?
「ここは兵士の巡回路になってます……片付けは彼らがしてくれますよ」
ルミルちゃんが教えてくれました
「そうなんですね」
「……んー……」
あ、ミルムちゃんが起きちゃいました
「んー……あれ? ティールは?」
起きたミルムちゃんがティールさんを探します
その声が聞こえたのか、ティールさんは小窓を覗いて顔を見せてくれました
「あ、そこに居たんだ! ……なんで?」
「外の空気を吸いたいそうですよ、もう少し休んでいましょう」
ヤンユさんがミルムちゃんを膝に乗せて抱き締めます
「んー……わかった……」
心地好いのでしょうね……うとうとするミルムちゃん
そしてまた眠りました、ヤンユさんの胸を枕にしてグッスリです
…………胸枕……今度カイトさんにしてみましょうか?
わ、わたしも大分成長しましたからね!! で、出来る筈です!!
……多分
・・・・・・・・・
2日後
ようやくマールに到着しました
門をくぐり、マールに入ります
「どうしますか? このまま城に向かいますか? それとも降りられますか?」
馭者さんが聞いてきます
「降りる!! 街見たい!!」
ミルムちゃんが言います、楽しみにしてましたからね
「ミルム様、先ずは城に向かいましょう」
ティールさんが言います
「えっ? なんで?」
ミルムちゃんが聞きます
「ルーツ殿に挨拶するのですよ、無事に辿り着いたと……カイト様が事前に連絡をしているので待っている筈ですよ」
「うーん、でも街を見てからでも遅くはないんじゃないの?」
ミルムちゃんが聞きます
「いえ、ルーツ殿も色々と準備をしている筈ですよ? それに何かあっては問題です、護衛の兵を数人借りた方が宜しいでしょう」
「うー……」
不満そうなミルムちゃん
「ミルム様、街は逃げませんよ?」
ティールさんがそう言って
「……うん、わかった!」
納得してくれたみたいです
「では城に向かいますね?」
「お願いします」
馭者さんが確認して馬車を歩かせる
そして私達は城に到着しました
「ようこそ、ミルム様とティンク様! 護衛お疲れ様、ルミルとティール……おや? 久し振りですねヤンユ」
城門をくぐり、馬車を降りたらルーツさんが出迎えてくれました
「ルーツ! 元気だった?」
ルーツさんに飛び付くミルムちゃん
「っと! おわわわわ!!」
尻餅をつくルーツさん
「あ、ごめん」
「いえ……取り敢えず、長旅お疲れ様です」
近くに居た兵士さんの手を借りて立ち上がるルーツさん
「本当は直接案内をしたいのですが……私もまだ全快してませんので……荷物はメイドに渡したら部屋まで運びますよ……それと、そこに集合してる兵達が護衛を担当しますので、街に出るなら連れていってください……何か質問はありますか?」
手際よく説明してくれるルーツさん
「はい!」
「はいルミル!」
「門限は何時ですか!!」
「食事等の準備が出来たら鐘を鳴らします……鐘の音が聞こえたら戻ってきてください」
鐘が鳴るまでは自由時間って事ですね?
「他に質問は?」
「では私から」
「はいヤンユ!」
「近寄ってはいけない場所はありますか?」
「貧民街には行かないで下さいね? 最近は大分マシになりましたが……やはり治安は宜しくないので」
貧民街には近寄らない! わかりました!
「他に質問はありますか?」
『…………』
無いみたいですね、私もありませんし
「では……申し訳ありませんが私は失礼させて頂きます」
「無理させてゴメンね? ゆっくり治してね!」
ミルムちゃんが言います
「お気遣いありがとうございます……では」
そう言ってルーツさんは城に入りました
・・・・・・・・・
荷物を任せて、兵士さん達を連れて、いよいよ街に出ます!
「わーい!!」
走り出すミルムちゃん
「危ないですから!」
ティールさんが追い掛けます
振り回されてますね……
「それで、何処から行くのですか?」
ルミルちゃんがわたしに聞きます
「そうですね……ここからなら確か雑貨屋さんが近い筈です」
「でしたらそちらに行きましょう」
ヤンユさんがそう言って……
「ミルム様ー! 置いていきますよー?」
「あ、待って待って!!」
「はぁ、はぁ」
ミルムちゃんを呼び戻しました……ティールさん息切れしてますよ?
気を取り直して雑貨屋さんに入ります
ヤンユさんがミルムちゃんの手をしっかりと握ります
その2人の側にティールさんと数人の兵士さんが待機します
わたしの側にもルミルちゃんと兵士さんが待機しています
やはり護衛というのは大変ですよね……ルミルちゃんも色々と見たいでしょうに……
「ルミルちゃん、カイトさんや皆さんへのお土産を一緒に見てもらっても宜しいですか?」
「えっ? あ、はい! 喜んで!」
こうして雑貨屋さんでお土産を選んで買いました
・・・・・・・・
街中を色々と見て回り、鐘が鳴ったので城に戻りました
「食事は広間で食べられますか? それとも部屋で食べられますか?」
メイドさんに聞かれてから部屋で食べるのを選ぶ
部屋に案内されて、食事が運ばれた
部屋割りは最初は全員個室だったのですが、わたしの事のこともありますし、何よりミルムちゃんが……
「お義姉様とヤンユとの3人で寝たい!」
って言ったのでわたし達は同室になりました
そして食事を終えて……わたし達は浴場に行きました
「うわぁぁぁぁ!! 広い!!」
目を輝かせるミルムちゃん
「話には聞いてましたけど……」
周りを見渡すルミルちゃん
「これは……凄いですね」
ヤンユさんも驚いています
「湯船に浸かる前に身体を洗います、よろしいですね?」
ティールさんがミルムちゃんを見ながら言います
「はーい!!」
ミルムちゃんは元気に返事をします
「お義姉様! 洗いっこしよう!」
「ええ、良いですよ!」
わたしの手を引くミルムちゃん
楽しそうですね?
身体を綺麗に洗ってから皆で湯船に浸かります
「あー、気持ちいいですねこれは……」
ルミルちゃんが言います
「足を伸ばせるのはいいですね」
ティールさんも同意します
「…………」
「ミルムちゃん? どうしましたか?」
ミルムちゃんがわたしとヤンユさんを見て、ティールさんやルミルちゃんを見ます
そして……
「お義姉様とヤンユはどうやっておっぱい大きくしたの?」
「えっ!?」
えっ? そんな事聞きます?
「大人だからですよミルム様」
にこやかに答えるヤンユさん
「うっそだー、ティールも大人だけど小さいよ?」
「ぐっ!!」
ミルムちゃん! やめてください! ティールさんが傷ついてます!!
「私もちょっと気になります……その、大きい方が好かれるって聞いて……」
ルミルちゃんも恥ずかしそうに聞きます
「そう言われても……何も特別なことはしてませんよ?」
胸を大きくしたい……そう思う気持ちはわかります
わたしも昔はそうでしたし……あれ、いつから大きくなったのでしょうか?
…………確か13歳から膨らみ始めたような……うーん……あまり意識してなかったから覚えてませんね
「とくにお義姉様は凄く大きくなってるよ!! 昔はルミルと同じくらいだったもん!」
「そ、そう言われても……」
うーん……
「ミルム様、大丈夫ですよ……貴女はしっかりと成長します……勿論ルミルも」
ティールさんが言います
「なんで?」
ミルムちゃんが聞きます
「既に私よりありますからね……」
ティールさん……泣かないで下さい……
「むー、えい!」
「ひゃん!?」
ミルムちゃんが胸を揉んできました
「少し分けて! 主にティールに!」
「がはっ!」
「分けれませんよ! それにティールさんが立ち直れなくなるのでいい加減にしましょうよ!」
もうティールさんの心はボロボロですよ!!
・・・・・・・・・・・
「少し飲みましょう、付き合いますから」
「ありがとう……ぐすっ」
お風呂から上がり、ルミルちゃんとティールさんは部屋に戻りました
わたし達も部屋に戻り休みます
ベッドに3人で横になります
わたし、ミルムちゃん、ヤンユさんの並びです
「2人に挟まれたらおっぱい大きくなるかな?」
まだ言いますか?
「ミルム様、そろそろ自重しましょう? 淑女がおっぱいおっぱいと言うものじゃありません」
「はーい」
ヤンユさんはミルムちゃんのお腹辺りを毛布の上からポン、ポンっと叩きます
「んん……」
心地好いみたいで……少しずつ瞼を閉じるミルムちゃん
「おやすみませ、ミルム様」
「おやすみ……なさい……んん……」
そして眠りにおちました
「元気でしたね、ミルムちゃん」
「久し振りのお出掛けで嬉しかったのでしょう……さあ、私達も休みましょうティンク様」
「そうですね……明日は早目に出発でしたね……ヤンユさん、おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
こうして、わたし達の旅行は終わっていくのだった……