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序章~寝落ちしたら~

 ーーー東京ーーー



「あ~つっかれたぁぁぁぁ!!」



 バン!と俺は帰宅して玄関で倒れる


 俺の名前は高橋(たかはし)海人(かいと)

 年齢は29歳の世間的にはおっさんの部類になるサラリーマンだ


 今日も俺は、係長からの無茶な注文で深夜まで残業していた

 いくらバイクで通勤してるからって……酷くね?


「う、うう……だが……明日は日曜日! は、ははは!乗りきった!俺は乗りきったんだぁぁぁ!!」


 フラフラしながら立ち上がる


 そしてスーツを脱いで、楽な格好に着替える

 てか下着だけだ! これは楽なんだよ!


 冷蔵庫からビールを出して!

 冷凍の唐揚げや枝豆をチンして!

 百均で買ったちゃぶ台に乗せて!


「宴じゃぁぁぁぁ!!」


 俺は、ゲームの電源を入れる


「これが唯一の楽しみだよなぁ……」


 恋人もいない

 友人も田舎に帰ってるか海外に行ったか……東京に残ったのは、俺くらいだ


 そんな俺も、都会の厳しさに揉まれながら7年生きてきた!

 家と会社の往復ばかりだけど!そんな状況でも頑張れるのは、こうやってゲームをしながら酒を飲むことが出来るからだ!

 てかこれしか趣味がない!金も貯まる一方だ!使う時がないからな!!


「さて、どうするかな……」


 俺は起動したゲームのタイトル画面を見る


『サーリスト戦記』

 今から5年前に販売された、サーリストと言う架空のファンタジー世界を舞台にした戦略シミュレーションゲームだ


 プレイヤーは、6つの大陸から1つの大陸を選ぶ

 そして、選んだ大陸の数ヶ所ある国から1つを選ぶ

 それから、選んだ国から更に領主を選ぶ

 その選んだ領主を操作して、天下統一を目指すゲームだ


 天下統一と言っても2種類がある

 選んだ大陸を制覇する『大陸統一』

 他の大陸に侵攻して全ての国を手に入れる『天下統一』

 この2つがこのゲームのエンディングパターンだ



 例えば、1番大きな大陸だと『ワードベール』という大陸がある

 ここは、国も多くて常に戦が発生している大陸だ

 『兎に角戦争したい!!』ってプレイヤーはこの大陸から始めたりする


 他の大陸には

『ベスルユ』

 内政関係のコマンドの効果が高く、他の国よりも素早く国力を整えるかが重要な大陸


『ナハール』

 将の育成がしやすい大陸だ、他の大陸に侵攻するときも将が強いから無双できたりする


『カルドガル』

 ここは兵力を増やしやすい大陸だ、国の戦いでも大戦力での戦いが出来て迫力が凄い

 大陸侵攻でも、ここさえ手にいれておけば兵力には困らなくなる


『ノースブリード』

 ここは国が他と比べて少ない大陸だ、『ヤークレン』という領主が大陸の半分を手にいれている……初心者はこのヤークレンから始めるのが王道だ、大陸統一もしやすいしな


『ジュラハル』

 ここは他の大陸を足して割ったような大陸だ

 つまり平均的な場所だな



「うーん……」


 俺は悩む

 実は、このゲームは既に何十回もクリアしているのだ

 人気の領主から不評な領主、強い領主や弱い領主

 全てをプレイしてクリアしたのだ……色々考えれて楽しかった


「完成度高いのに、続編が出る話は無いんだよな……勿体ない」


 俺はコレクションモードで今まで獲得した実績を見る


「……んっ?」


 あれ? 100%クリアにしたと思ったのに、クリア率は99%か?


「…………あーこいつかぁ」


 俺は実績の確認をする

 1つだけクリアしていない領主がいた


『カイト・オーシャン』

 俺と同じ名前の領主で大陸はノースブリード

 オーシャン家の人間で強キャラの『ベルドルト・オーシャン』の長男だ



 ベルドルトはストーリーを始めると2年で病死してしまう

 カイトはベルドルトの後を継いで領主になるのだが……


 カイトは最弱キャラだった


 武力も知性もカリスマも最低のFランク

 領もベルドルトが死んだ後のイベントでかなり奪われる


 ベルドルト時代の兵力は10万近くあったのに

 カイト時代は僅か5千だ


 案の定というかゲームを始めたら1番最初に滅ぶ領だ


 初めてのプレイの時に俺と同じ名前だから選んだが……直ぐにゲームオーバーになって

 それからは一切触ってなかったな……そっか……こいつか……


「……今の俺ならクリア出来るか?」


 あの時は何も知らなかった……でも今なら……何十回もクリアした今なら……


「よし、今回はお前だカイト!」


 俺はカイト・オーシャンを選ぶ

 こいつステータスは最低なのに見た目はイケメンなんだよな……


「ゲームスタート!!」


 俺はテンションMAXでボタンを押した



 ・・・・・・・・・



「カイト様!カイト様!!」


「……んっ?誰だ?」


 いつの間にか寝てたようだな

 あーゲームどこまで進めたっけ?


 俺は眼を開く


「……はっ?」


 目の前には大量の兵士が居ました

 てかなんだこれ!?


 周りを見渡すと、なんか部屋が豪華な城の内装みたいになっていた


「ど、どうなってるんだこれは!?」


「カイト様?どうなさいましたか!?」


「レ、レリス?」


 俺に声を掛けていたのは、オーシャン家に仕える男性軍師……というなの進行役である『レリス』がいた

 ゲームでは其々のキャラに仕える軍師が、たまにアドバイスをしたりしてくる

『今回は内政を行いましょう』とか

『ここが攻め時です!』とか


 そのレリスが俺に話しかけていた……えっ?な、生身!?


「う、うぇ?」

「カイト様?本当にどうされましたか?寝惚けているのですか?」


 俺はレリスの肩を触る

 感触がある……温もりもある……えっ?本物の人間?


「す、すまない……レリス、か、鏡を持ってきてくれないか?」


 俺は、自分の服を見る

 豪華な服……嫌な予感がする


「どうぞ、カイト様」


 メイドが鏡を持ってくる


「………っ!!!!?」


 俺は鏡を見て驚く……腰が抜けて後ろに座り込む

 ……あ、これ、玉座だ……


 いや……そんな事より……


「マジかよ……」


 俺は再び鏡を見る


 鏡には見覚えのある顔がそこには映っていた

 しかし見慣れた顔ではない


 鏡に映っていたのは『高橋海人』ではなく

『カイト・オーシャン』が映っていた



 俺……カイトになってるぅぅぅぅぅぅ!?


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