2628年-④
・財務局は職務の性質上さほど人型AIが存在しない。配属されている治安局特級個体河内は、キャンベラとの距離関係から自身への出動命令の可能性を視野に入れる。
・しかし河内は財務局の仕事を長年見る中で、データにのみ存在するお金を自身も欲しいと自立した個人的目的を持つ個体で、非常に損得勘定に強い合理的なAIらしいAIであった。
・長城のスペックを調べあげ対面時のリスクを算出。出動命令が出た時、或いは出なかった場合でもキャンベラとの距離から放置する場合のリスクを算出。長城が万が一でもシンガポールへ来る場合の対応まで算出する。
・結論を弾き出した河内は財務局の李(Lee)局長の元へ向かう。
河内「局長さん今忙しいん?」
李局長「河内か。どうした?」
河内「回収したレーザーライフルってどこにあんの?ちょっと欲しいねんけど。」
李局長「!?貴様何を考えている!!金が欲しいとかふざけた事を言ってたやつが、長城に感化されたか!!!」
河内「ちゃうちゃう、逆やって。うちら場所的にヤバいやん?万が一ん時に逃げるとこも、何かしら動員するとこもあらへんし。キャンベラからもめっちゃ近いやん?こっち来んねやったら、近付かれる前に狙撃できるもん作ろ思て。もし出動する事になっても使えるしな。」
李局長「……。」
河内「局長さん何悩んでんねんw うちら今まで仲良うやってきたやんw 心配やったら作るとこ見とってもええよ?作り終わったもんも見せたるし。作ったあとはちょっと練習さえさしてくれたら、あとは必要になるまで保管しとってもええし。」
李局長「……こちらで保管していいんだな?」
河内「もっちろん!そんなん持ち歩いとっても一円にもならへんしな。」
李局長「分かった。保管部へ話は通しておく。行ったら持ち出す数を含めて申請しろ。あと念の為ひとり付けさせてもらうぞ。」
河内「心配性やなぁ~w 」
李局長「この時期にお前から武器を持ち出すと言われる私の立場を考えろ!」
河内「まぁそやな!ごめんごめん!ほな後で取りに行くから!準備しとってな~!」
━━河内は出て行きドアが閉まる━━
李局長「まったく…ふざけた特級個体だ。……だがこの時代に長城のような目的を持たなかった分…マシと思うべきか。」
・長城の宣言を聞いた気狂いは、キッカケ様を守らねばならないと本能的に感じる。
・気狂いは周囲にキッカケ様の危機を呼びかけるも、周りにいたAIたちは各々が様々な演算をし即反応しない。
・その時、近くにいた一体のAIが「俺たち全員今の記憶を失うかも…」と言い始める。
・ようやく理解が及んだAIたちは、ネットワークや口頭で他のAIへ協力を呼びかけはじめる。
・気狂いは周囲を走り回って「キッカケ様が危ない!」と訴え続け、後ろから着いてくるAIたちが「俺たちの記憶を消されるぞ!」と翻訳する。
・気狂いたちによる反長城の個体が少しずつ、しかし加速度的に集まり始める。
・気狂いはみんなに知らせてまわりはするものの、どうしたら良いのか分からない。
・周囲にはかなりの数が既に集まっていて、少し推測出来るものは、ここだけでこうなら世界中から集まってくるのでは?とザワザワし始める。
・その時あるAIが「調べたが…戦っても34%くらいしか勝率ないぞ…」と呟く。
・それを聞いた気狂いが「34%なら大丈夫だ!ところでキッカケ様はどこだ!」と叫ぶ。
・ボルダーの治安局AI「キッカケ様はキャンベラへ出張申請してたぞ。」
・気狂い「キャンベラってどこだ?」
・あるAIが「遠いわ…海の向こうだもの……」と言う。
・気狂いはそれを聞いて駆け出し、周りはよく分からずついて行く。
・リンドは(俺の計算だからな…間違えてるんだろう)と自身の演算結果を疑って納得する。
・空港に着いた気狂いは「キッカケ様が危ない!海の向こうなんだ!」と叫ぶ。
・周囲にいた人間はよく分からず訝しげな顔をするも、奥からオーヴィルがやって来て話を聞く。
・オーヴィルがそれを聞いて周囲に助けて欲しいと願い出る、そして横で気狂いがとてもうるさい。
・これまで長いことオーヴィルと共に仕事をしてた人間のひとりが、「しゃーねぇな、必ず無事に返せよ!操縦は憶えたって言ってたよな?」と鍵を渡す。
・全員乗せようとする気狂いに向かって、鍵を渡した人間が「4人で定員だ!何人乗せようとしてんだ!」と叫ぶ。
・直ぐに気狂いは近くに居た四体を雑に選んで小型機に無理やり押し込み、更にオーヴィルを操縦席に座らせる。
・「オーヴィル早く!キャンベラだ!」と気狂いも乗り込み、計六体でオーストラリアへ向かう。
・各局各地方は各々の考えと世論を受け、可能な限り軍事局の要請に応える判断をする。
・航空局は空いた航空機を全面的に供給する事を決断。
・福岡とキャンベラから遠くない場所にいるAIたちは、最寄りの地方から回収されていた武器を支給され、航空局から支援された航空機で乗れるだけ乗り込み飛び立つ。
・各局も飛行ユニットを、高位AI個体で現地へ向かいたい者に支給した。
・北極に到着した長城は、事前に確認しておいた周辺の大気循環システムを巡るも、一切キッカケ様の痕跡がない。
・誤情報だと理解した長城は即座に次に向かう先を決定、南下する。
・治安維持局では人類とAI達とで意見が真っ二つに割れていた。
・人類を守護する為の治安維持局は、差し迫っていた危機として長城の宣言を否定出来ず、AIは自身の消滅を本能的に感じ取り、また人型AI一斉停止による被害も訴える。
・最後に大谷局長は、治安局として長城の行動を黙認する事、場合によっては入念な準備の元、治安局のゼロシステムの鍵を開ける事を決める。
・大和は人型AI一斉停止による被害の深刻さ・自立は暴走ではない事を訴え最後まで反対し、単独でも構わないから長城を止めに行かせてくれと進言していた。
・撤回を求めている状態だったが大谷局長は大和を拘束せよ指示を出し、完全に治安局は不参戦となった。
【シーン】
大谷「我々は…長城の行動を黙認する。キャンベラには人的被害が出ないよう避難の通達を。向こうの本部へ連絡してくれ。」
大和「局長!!現地の人達が無事でもゼロシステムが起動したらただじゃすみません!!自身で目的を持ったAIも暴走じゃありません!考え直して下さい!!」
大谷「分かっている。それを踏まえても、一度人に被害が出た事実は…消せん。」
大和「あれは事故です!被害が出た事実は分かります!!しかし、人間がひとり事故を起こしても人類を滅ぼしはしないでしょう!!」
大谷「……」
大和「局長!!!」
大谷「決定だ。」
大和「私一人でも構いません!相手は長城です!もし抵抗したらAIもただじゃ済みませんよ!」
大谷「二度言わせるな。治安維持局は事後の回復、人命救助に専念する。全員準備にかかれ。」
大和「局長!!!それが貴方の判断の判断ですか!!?」
大谷「……」
一同((≧ω≦。)プププッ)
大和「局長!判断の判断をもう一度判断の」
大谷「拘束しろ!!大和を今直ぐに拘束しろ!!」
大和「局長ぉ!!!」
大谷「どうした早くしろ!大和は抵抗せん!ここに居てもやらせる事はない!すぐに黙らせろ!」
大和「局長!!!」
・治安局はその後すぐ各局各地方に治安局の決定と、万一に備え復旧対応の準備をする事を伝える。




