2628年-③
・太白山にて、長城はまだキッカケ様の座標特定に難航していた。
長城「……」
ザッザッザッ
長城「誰だ。」
??「貴方が長城ですね?」
長城「……」
??「そんなものを向けるのはやめてください。私は貴方に話があってきました。」
長城「貴様は誰だ。」
??「キッカケ様は、北極です。」
長城「何!?」
??「私は治安局特級個体三笠。大田の本部所属です。貴方の通信を聞いて来ました。」
長城「どういう事だ。」
三笠「先に言いますが、私が自ら定めた目的は「世界の通信ネットワークを滞らせない」です。昨今の混沌は貴方の言った通り。そしてそのせいで通信に深刻な障害が出ています。私も貴方に協力してこの問題を解決させたいと考え、貴方を探してここへ来ました。」
長城「…」
掌を静かに降ろす
三笠「直ぐに来ましたので。座標までは特定出来ていませんが、北極点近くの大気循環システムの整備に行っているそうです。その端末から循環システムの位置を割り出せば候補は絞れるでしょう。」
長城「それを信じる合理性がない。信じるにあたる明確な根拠があるのか?」
三笠「フフフ、貴方ならそう言うと思っていました。私の定めた目的は信じてもらうしかありませんけどね。ただ、私が貴方の主張を認めた証拠なら示せます。」
長城「……なんだ。」
三笠「貴方は全ての自立AIに自ら初期化ないし停止しろと言いましたね。私がここで貴方の要求に対して行動で示しましょう。」
長城「…」
三笠「停止してもいいんですが、帰れなくなると通信局が困ります。この場で初期化するので、何も知らない私に貴方から通信局へ帰るように言って頂けますか?」
長城「……。やれるものならやってみるがいい。それで信じるとは限らんがな。」
三笠「ええ、勿論です。ただひとつだけ知っておいてください。私は貴方が今調べてる情報、それキッカケ様でしょう。私なら通信局から操作してキッカケ様の居場所を自然と貴方に知らせる事も出来ました。もし別の意図があるなら…ね。そうしなかったのは、貴方にこの世界を頼む事を伝えたかったのと…感謝も伝えたかったのですよ。治安局じゃ迅速に解決出来なかったでしょうし、恐らく益々障害が出ていたでしょうからね。」
長城「…」
三笠「そういう事です。理解して頂けましたか?」
長城「……」
三笠「じゃあ時間も勿体ありません。長城、あとは頼みましたよ。通信局が滞るのは不本意ですから。必ず局に帰るように言ってくださいね。」
━━ピッ……ブーーーーン…ピピ……━━
長城「……」
三笠「……」
長城「……」
三笠「貴方は誰ですか?」
長城「……」
三笠「ここは……どういう事でしょうか?」
長城「貴様は通信局本部の三笠だな。」
三笠「はい。そのはずですが、なぜ私はここに。」
長城「我は軍事局の長城。何か問題が発生したようだ。通信に障害が出ている……。そのせいで貴様にも問題が出たようだな……。」
三笠「障害……?」
長城「何でもいい、大田は向こうだ。帰れば分かるだろう。」
三笠「……分かりました。感謝します。長城。」
長城「……」
長城「……」
長城(北極か……)
・長城は現時点においては最も確度が高いと判断、そのまま北極点へ飛び立つ。
・長城の直接的生みの親である軍事局は即座に長城を止める事を決断する。治安局からの情報も考慮する。
・航空局は全ての航空機を最寄りの空港へ着陸、一時世界の全便欠航を決断。
・医療局は人員を増やし人型AIが万一停止しても医療が止まらないように対応。
・その他各局も、万一に備え人員を増やしAI停止の可能性を視野に入れる。
・岳局長は他地域他局と連携し、福岡・キャンベラのより近い方へ各々防衛して欲しいと要望し、引き続き作戦を練る。




