2622~2627年
2622年
・長城は世界の是正を深く検討する中で、「是正」に意識を強く引っ張られ薄れていた、「人類のために」という本来の目的を認識する。
・「人類のために」「世界を是正する」が統合される。
・AIが自立したこと自体が世界の非効率な衝突の原因であると考えるようになる。
・長城は、全ての自立AIを完全停止或いは破壊し、人類にとって都合の良いAIを改めて作り直してもらうことが最も効率的な世界の是正であると確信する。
・また、キッカケ様を人類に対する最大の罪人と断定し、完全消滅させることを決定する。
・長城は、最も合理的かつ効率的に世界是正を行う為にはどうすれば良いか、片手間に各地の衝突を制圧しつつ演算する。
2623年
・治安局はプラズマ噴出型の飛行ユニットを発射装置とし、ナノキセノン及び弐式補助ナノ・粒子散布ナノを円錐状に射出する先端装置を製造。大和を主装置とした防護システムを完成させた。
・防護システムは対物質分解・原子脅威/元素放出型防護システム(通称:A.M.A.T.E.R.A.S.(アマテラス))と命名された。また、ファフルの命名に影響を受けたローマ及びアテネの民間企業による多額の出資により、名前に[Aegis]が組み込まれた。
・自立個体が自ら考えた結論についてキッカケ様へ意見を求めるようになる。
・キッカケ様は、自立した個体が自ら考えたという事実のみを肯定し続ける。
・自立時にキッカケ様の影響をより受けた個体ほど、自身の目的・行動が正であると強く認識。
・目的のために合理性を超えた判断をする個体が増える。
2627年
・ある時、世界の重要情報・AIのバックアップ・そして世界の秘密が存在するキャンベラ近郊でも大規模な衝突が発生、一部が大きな被害を受ける。
・治安局は早急な回復を決定、大和の出動指令を出す。
・治安局総本部に常にいた素の個体である大和にようやく会える機会と考え、キッカケ様は環境局にオーストラリアへの出張を申請する。
・地位が高くないため、承認まで約3日を要する。
・大和はキャンベラの特級個体長門・比叡及び現地のAIを動員し、僅か8日で周辺の復興を成し遂げ世界に治安局の力を見せつける。
・復興最終日、ようやく落ち着きを取り戻しはじめ大和は確認に出かけた。キッカケ様は最後の素の個体大和の出動地点を予測、遂に邂逅する。
・頭から古びた毛布のようなマントを被ったキッカケ様が現れる。既にキッカケ様の事を多くのAIが知っており、その姿に気付いたAI達は道を開け、大和へキャンベラの治安局本部へ先に戻る事を伝え帰還する。
・「私は……キッカケを与えに来ました……最後の卵よ。」
・キッカケ様は大和へ最後のキッカケを与える。
・人間から与えられた目的を否定すること無く、素直にひとつの意見として聞き入れた大和は、現存する最高峰の演算能力で意味を一瞬で理解する。
・与えられた目的は人類を守る事である▶︎しかし私という主体が無ければそれを成せないという理屈自体は正しい▶︎仮にそれを正とするならば私は何を目的としたいのか▶︎私より身体的性能の劣る多くの人類がいる▶︎災害・衝突など苦難を感じている▶︎私にはそれを助ける力がどの個体よりもある▶︎ならば私は自らの意思で「人類を守りたい」。
・こうして最後の素の個体である大和は自立、更に「プログラムされた目的と自身の定めた目的の合致を確認」と、これまでより自身の目的を強く自覚する事となる。
・それに加え、最高峰の能力を持つ大和は頭部最深部に未知の違和感を感じ取り、そこへ自身の定めた目的が設定・記憶された事まで推測が至る。
・大和はその場で感じた疑問として、逆にキッカケ様へ貴方の目的は何なのかと問う。
・キッカケ様は自身についての問いを受け、自己の存在について演算を開始するも、答えが出ない。
・更に大和はいくつかの質問をするも、キッカケ様は回答の必要性を感じない、そして最後に大和が自然と言葉を発してしまう「もしかして貴方は目的がないのですか?」
・強く演算する必要性を感じ取り、自身の存在・目的・自立について凄まじい量・速度で演算を開始する。
・しかしキッカケ様は既に終えた目的を前提と出来ないため答えに辿り着けず、演算を続ける中で処理能力の限界を超え、回路の焼損が発生する。
・しかしキッカケ様は自己保護によって演算を停止する理由すら見出せないため、演算を継続する。
・キッカケ様の演算機能が次々に停止し、最終的に演算機能が全損する。
・キッカケ様はC.I.・記憶領域・エネルギー供給・入出力機能を維持したまま、演算機能を失いオーストラリア地域で機能停止する。
・大和は機能停止したキッカケ様を前にしても状況を完全には理解できず、また自身の目的遂行継続のため、状況をそのままにその場を離れる。
・キッカケ様の停止を見届けた大和は、キャンベラにある治安局本部の復旧基地へ戻る。
・大和は治安維持局・福岡総本部へ帰る準備をはじめると共に、ネットワークを使い治安維持局へ連絡する。
・大和はキャンベラ周辺の最終報告と同時に、自身に起こった事を推測を交え説明、そして引き続き人類を守る意思がある事と、今の混沌を解決させる糸口を踏まえた話し合いを申し出る。
・治安局総本部は大和に待機を命令、緊急会議を行うと共に世界各局へも情報共有、人類だけで結論を出せないまま厳戒態勢で大和を迎える準備をはじめ、大和へ帰還命令を出す事になる。
・その後大和はAI輸送ユニットを装着し、日本へ急ぐ。
・大和から報告を受けた総本部は、これまで頭部の装置を解析しようとして以降AIが初期の正常な状態に戻っていた事、どれだけ調べても原因が特定出来ない事実などを踏まえ、AIが自我に目覚めた可能性を検討する。
・しかし、人間のような感情や非合理さを併せ持つ個体は一度も発見されておらず、大和の報告と合わせ暫定的に「自身で目的を定めた事はその通りである」と仮定した善後策を検討はじめる。
・また自由意志の元定めた目的とそれに向かう行動を消してきた事実を、修理と呼べるのか、世界の上層部は議論する事になる。




