俺の父親は誰なんだ?
ようこそ、読者さん! ここまで来たということは、私の『社会の裏側』に関わるサイドストーリーまで読みに来てくれたんですね。
このサイドストーリーは楽しんでもらえると思いますし、ジェフリーという人物についても、より深く知ることができる内容になっています。ただ、メインストーリーを追ううえでは必ずしも読まなければならない話ではありません。
帰る前に、よかったらレビューを残していってください、読者さん。ジェフリーというキャラクターについてどう思ったのか、ぜひあなたの感想も聞かせてください。そういう声は、私にとって本当に大きな励みになります。
サイドストーリーの第2部は明日公開します。ぜひ楽しみに待っていてください!
彼は全力で走っていた。妹の手を決して離すまいとするかのように、その手をしっかりと握ったまま、前だけを見て走り続けていたが、意識はずっと後ろに向いていた。自分の速さについてこようと、必死にあとを追ってくる妹のことが気になっていたのだ。
「ほら……急がないと、小学校の初日に遅れちゃうぞ」
それはジェフリーにとってだけ特別な日だった。彼にとっては学校へ通い始める最初の日だったが、妹はすでに二年目を迎えていたため、ジェフリーほどには興奮していなかった。
二人は大きな門をくぐって中へ入った。彼らが入った直後、門番はその門を閉めようとしていた。
北アイルランドでは、学校が始まる時期になると、二枚の写真を撮るのが恒例になっていた。一枚は、生徒自身が選んだ相手と一緒に撮る写真で、もう一枚は、自分のクラスの生徒全員と一緒に撮る集合写真だった。
妹と一緒に撮った写真でも、クラスメートたちと一緒に撮った集合写真でも、何よりも印象に残ったのは、ジェフリーの満面の笑みだった。
長くて楽しい一日を終え、ジェフは姉の手を握ったまま、大きな家へと帰ってきた。二人はすぐに母親のところへ向かったが、母親はちょうど電話中だった。母親は二人の頬にそれぞれキスをすると、優しく部屋の外へ出した。
ジェフと姉は閉ざされた部屋の扉のそばに残り、母親が電話を終えるのを待っていた。二人とも、その日の出来事を一つ一つ、詳しく母親に話したくて仕方がなかった。
「でも、ウッド……今日はジェフリーの学校初日なのよ……こんな大事な日に、どうして来られないの?」
「バリ……ジェフはもう男だ。俺がいなくたって、別に何とも思わないさ。それに、仕事のほうが大事だ。この仕事がなかったら、そもそも俺はお前と結婚してないし、ジェフだって生まれてなかったんだからな」
「あなたはいつも家にいないじゃない……ここで責任を背負ってるのは私一人なのよ。あの子たちは私だけの責任じゃなくて、私たち二人の責任でしょう? ウッド、あなたも来てよ」
「バリ……もう切るぞ。この話を続けても何の意味もないし、俺はもうすぐ会議に出なきゃならないんだ。俺の代わりに子供たちにキスしてやってくれ。じゃあな」
ウッドは返事を待つことなく電話を切った。
一方、バリは携帯電話を遠くへ放り投げると、両手で頭の両側を押さえた。
「ふう……」
そのとき、ジェフと姉が部屋の中へ入ってきた。二人ともためらうことなく母親に抱きつき、そのまま今日一日にあったことを、それぞれ話し始めた。
翌日、ジェフリーはゆっくりと目を開けた。あたりには笑い声が響き渡っていた。ベッドから起き上がると、妹のベッドは空になっていた。テレビをつけ、薄型の画面を眺める。どうやら、朝はまだ始まったばかりらしい。
ジェフリーは騒がしい音が聞こえてくるキッチンへ向かった。そこでは母親が、ジェフリーと妹が学校へ持っていく弁当箱を用意していた。これはジェフリーがあらかじめ思い描いていたことで、彼は以前から、母親の料理を学校の友達に自慢したいと思っていたのだ。
母親の隣には、昨日のあの男がいた。彼はシンクの前に立ち、ゆっくりと皿を洗っていた。
「ジェフ、やっと起きたのね……朝ごはんはできてるわよ」
母親は息子にキスをしてから、続けた。
「ほら……モーリルに『おはよう』って言って」
モーリルは手を拭きながら階下へ降りてくると、ジェフの頬にキスをした。
「おはよう、ジェフ……さあ、抱きしめよう」
ジェフリーは少しためらったものの、自分からモーリルを抱きしめた。短い抱擁だった。
「よし……俺が学校まで送っていくよ……昨日は送ってやれなくて、ごめんな」
ジェフは頷いて答え、そして、この朝になって初めて、いつものあの満面の笑みを浮かべた。
昨日と比べると、ジェフと姉はものすごい速さで学校へ到着した。間違いなく、その理由はモーリルの車だった。古い車で、あちこちがかなり傷んでいたものの、それでもジェフリーにとっては特別な出来事だった。父親が何台も車を持っているにもかかわらず、車に乗るのはこれが初めてだったからだ。
本来なら、モーリルはジェフと姉を学校の中へ入らせたあと、すぐに帰るはずだった。しかし彼は校長に許可を求めると、二人と一緒に学校の中へ入った。
モーリルはジェフの姉を担当している先生と話をしたが、その会話はモーリルにとっても、ジェフと姉にとっても、ごく普通のものだった。ただ、最後の一言だけは違った。
「俺は二人の父親だ……何かあったら、俺に連絡してもらえますか?……どんな些細なことでもいい……これが俺の電話番号です」
そう言いながら、モーリルはコートのポケットから携帯電話を取り出した。
二人は目を大きく見開いたが、その瞬間、何も言うことはなかった。
午前の授業を二時間終えると、ジェフリーは生徒たち全員と一緒に教室を出て、休み時間を過ごすことになった。妹と会う前に、彼は三年生の男子生徒二人が話しているのを耳にした。
「キスって最高だよな……俺も近いうちに一回してみたいよ。でも、姉ちゃんが言ってたんだ。そういうことを考えるには、まだ俺は子供すぎるって」
「はあ? そりゃ、姉ちゃんの言うとおりだろ……お前、子供を育てる準備なんてできてるのか?」
「はあ? なんでここで子供の話が出てくるんだよ?」
「お前、本当に何も分かってないんだな……キスっていうのは、交配するための手段なんだぞ」
ちょうどそのとき、ジェフリーの妹がやって来た。二人は校庭にいくつも置かれている椅子のところに座った。
「お兄ちゃん……モーリルさんが言ってたこと、聞いた? あの人、自分が……」
ジェフリーはためらうことなく、彼女の言葉を遮った。
「俺たちの父親は……あいつの話なら聞いたよ。でも、あいつは間違ってる……俺たちの父親はウッドだ。ウッド・ブリューイットだ」
授業がすべて終わると、モーリルが再び学校へやって来た。ジェフと妹は彼の車に乗り込み、そのまま皆で大きな家へと帰った。
家に着くと、三人はそれぞれ身体を洗い、それから食事をした。料理は昨夜と同じように美味しく、モーリル氏は自分の若い頃について話し始めた。三人の間には笑い声が何度も響き渡り、ジェフ自身、笑いすぎて頬が痛くなるほどだった。
その後、眠りにつく前に、ジェフリーは両親の寝室へ向かった。そこには母親がベッドにいて、モーリル氏も一緒だった。二人はとても近い距離におり、互いに必死になるほど激しくキスをしていた。ジェフリーは部屋の中へ入らず、風によって扉が少し開いたことで生まれた小さな隙間から、その様子をじっと見ていたが、やがて自分のベッドへ戻り、そのまま眠りについた。
翌日、朝は春らしい晴れた天気だった。ジェフリーは美味しそうなジャムの匂いで目を覚ましたが、彼が最初にしたことはトイレへ向かうことだった。
キッチンでは、いつものように母親が朝食を用意していた。一方、モーリルはジェフの妹と腕相撲をして遊んでいた。
「お母さぁぁぁぁん!」
その声を聞いた瞬間、そこにいた全員が、それまでしていたことを止めた。それはトイレから聞こえてきたジェフリーの叫び声だった。
母親はためらうことなくトイレへ向かった。どうやら、ジェフリーはトイレの中をかなり汚してしまったらしい。
「おお……ジェフ、大丈夫よ……元の状態に戻してあげるから……ちゃんとピカピカになるわ」
そう言いながら、母親は床を丁寧に掃除していた。その様子をジェフリーはじっと見つめていた。彼は少し眉をひそめ、それから目を閉じたまま口を開いた。
「お母さん!」
バリは掃除を止め、息子へ視線を向けた。
「どうしたの?」
ジェフリーは目を開けず、そのまま尋ねた。
「モーリルさんは……俺の父親なの?」
その質問は、母親の耳にはまるで雷が落ちたかのように響いた。彼女の目は大きく見開かれ、片手で口元を覆った。短い沈黙が流れたあと、彼女は答えた。
「違う……あなたのお父さんは……あなたが知っている、あなたのお父さんよ……」
母親は目からこぼれ落ちたわずかな涙を拭った。
するとジェフが言った。
「でも……クラスメートから偶然聞いたんだ。キスっていうのは交配なんだって……俺はその言葉の意味が分からなかったから、お母さんの携帯に入ってるAIに聞いたんだ。そしたら、交配っていうのは種を存続させるための手段だって言われた……それがどういう意味なのかも聞いたら、新しい個体を生み出すことだって教えてくれた……昨日、お母さんがモーリルさんとキスしてるのを見たんだけど……お母さんは新しい個体を生むの?」
彼女の目はさらに大きく見開かれ、唇が何かを言おうとするように動き続けたものの、まるで言葉を失ってしまったかのようだった。
やがて彼女は、床を掃除し続けながら答えた。
「いいえ……新しい個体は生まないわ……それに、モーリルはあなたのお父さんじゃない……ウッドがあなたのお父さんよ」
その答えはきっぱりとしていて、それ以上の質問が入り込む余地を完全に塞ぐものだった。
ジェフは身体を洗うと、再びモーリルの古い車に乗り、妹と一緒に学校へ向かった。
読者さん、どうやら最後まで読んでくれたみたいですね。今回の物語はどうでしたか? 楽しんでもらえましたか?
よかったら、コメントで私の質問にも答えてくれると嬉しいです。
このサイドストーリーの第2部は明日公開します。そして約束します、読者さん。第2部を読んだら、きっともっと驚くと思います。
それでは、また会いましょう。読者さんも、どうか元気で!




