元凶のつぶやき
この人が初手を間違えたのでは?というお話。
なぜ、息子ジャックが離婚をして、すぐさま再婚しているのだ?
新聞の社交欄を読み、妻と久しぶりに帰宅した。
私が見いだした嫁を蔑ろにしただと?
実家は後妻が幅をきかせているから、前妻の子には無関心。実家が口を出してこないのは、わずらわしくなくていいだろう。
ろくに小遣いをもらっていないから、ドールハウスの組み立てで小銭を稼いでいた娘。
平民になってもやっていける人生設計、腐らない根性は素晴らしい。
くだらない悪評はあるようだが、実体との乖離を見れば一目瞭然。騙される馬鹿はおらんだろう。
学生だからひっそりとやっていたが、成人して仕事にするなら、あっという間に人気作家になるに違いない金の卵。
そんな娘だと聞いていない?
少しでも会話をすればわかることだろう。
すべて親にお膳立てされるより、一つ一つ知っていく方が絆が深まると思ったのだが。
それを離縁して、ライト家だと?
よりにもよって、乗っ取る気満々のハイエナ野郎と縁を結ぶか?
お前につけた執事はどうした?
は? 嫁を冷遇したからクビにした?
その冷遇の原因はお前ではないのか。
教育し直すとか、罰を与えて妻の許しを請うとか色々あるだろう。
それに、クビにしたなら儂に返そうと思わなんだのか。
手間暇かけて鍛え上げた執事だぞ。
お前には、その価値もわからなかったのだな。
それで、執事養成学校の卒業生を雇ったと。
卒業したばかりで実績もない若造を。
お前のやることに反論しないでいいだと。はあ。
なぁ、妻よ。
貴族の身分に未練はあるか?
慰謝料で財政が逼迫した倅を援助して清貧生活をするか、平民として豪勢な暮らしを続けるか。
そうだな。
では、息子よ。
この家はすでにお前に家督を譲っている。好きにするとよい。
見捨てる?
できた執事と未来のある嫁を用意してやったのに、台無しにしたのはお前だろう。
しかも、浪費家で性格が悪い新妻がいたのでは、儂にだってお手上げだ。
領民が困らぬよう、適当なところで国に爵位と領地を返還するがいい。
だいたい、連絡も寄越さず、再婚を新聞で知ったのだぞ。
そんなヤツの尻拭いをするとでも思ったのか。愚か者め。
念のため、言い分を聞こうとしただけだ。
時間の無駄だったがな。
帰りの馬車で、妻に「いつも説明が足りないのですよ」と苦言を呈された。
そう言われても、現状を見て普通に判断できることばかりだ。何がわからないのか、わからない。
直感が鋭い人は、人にコツを教えるのがうまくないですよね。
ちゃんと後継者を育てられなかったケースです。
領地経営より事業が面白くなって、早々に引退。
無責任に楽しく生きていく、猪突猛進タイプでした。




