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エピ5 そんな戦時中の1942年のことらしいです。


 ***


 1939年から1945年は第二次世界中です。日本は1941年に参戦して敗戦しました(悲しい)。


 そんな戦時中の1942年のことらしいです。


 ***


 第二次世界大戦が始まった後、アメリカでは高速な計算機の必要性ニーズが、特に火器管制システム(弾道計算)のために高まり、1942年8月頃に電子式の高速な計算機(electronic high-speed computer)の検討が行われて、そしてENIACエニアックの開発が決まりました。

 ENIACとは世界初と言われていたコンピュータです。


 その少し前のことです。


 1942年4月、科学研究開発局(OSRD)の部門会議に出席していた(ベル研究所の)ジョージ・スティビッツは、火器管制システム用の計算機の分類カテゴリが「アナログ」と「パルス」となっているのをみて、「パルス」ではなく「デジタル」の方がよいんじゃね?と提案したらしいです。


 これが「デジタル計算機」という用語のはじまりとされています。


 スティビッツが「デジタル」を提案したという記述は探してみるとあちこちの Wiki で見つかります。ですが提案された「デジタル」の定義や具体的意味等は見つからなくて。

 それにデジタルを提案したとして採用されたのか? ...、採用されたんでしょうけど。提案の後に何がどうなったのか? 戦時中の軍関係の会議での話だから今も倉庫の奥に眠っているのか、それとも当時は記録に残すべき事だとは思いもしなかったのか。


 *


 1943年7月1日から開発が始まったENIACですが、スティビッツが提案したという「デジタル」という用語を採用していたのか気になりますね。


 ENIACは Electronic Numerical Integrator and Computer の頭文字です。Numerical Integrator は数値積分器です。デジタルが入っていないのは意図的?


 *


 1945年11月30日付けの "DESCRIPTION OF THE ENIAC AND COMMENTS ON ELECTRONIC DIGITAL COMPUTING MACHINES" というENIACに関する文書がアメリカの国防研究委員会(NDRC)で配布されました。

 この文書ではENIACのことを the first general purpose automatic electronic digital computing machine、つまり汎用的・自動式・電子式の計算機であると説明してます。

 そしてENIACの特徴は、まず第一に、電磁リレー式の計算機に対するスピートで、第二に、デジタル式でない計算機(微分解析機など)に対する柔軟性フレキシブルと精度の高さだと述べています。


 更に探すと1945年9月の文書でもENIACを electronic digital computer と説明しているようです。


 1945年6月のノイマンの報告書では very high speed automatic digital computing systems という表現があります。これより古い文献は探した範囲では見つからず。デジタルであることの価値に気がついたのはノイマン?


 *


 なお、前述の1945年9月の文書ではノイマンの報告書について触れていて、


  "In his report, the physical structures and devices proposed

  by Eckert and Mauchly are replaced by idealized elements

  to avoid raising engineering problems ...."


 ですって。あれを考案したのはエッカート達だと主張している感じ?


 ノイマンがENIACに絡んできたのは原爆計画マンハッタンに従事していて多々の計算をしたかったから。ENIACの最初の計算は水爆に関することだったとか。ノイマンは原爆は京都に落とすべきと熱心に主張していたとか。...。ノイマンは。


 *


 1946年2月のENIACの報道発表後の文献です。


 1946年2月14日付けの New Youk Times 誌の記事 "Electronic Computer Flashes Answers, May Speed Engineering" では、ENIACのことをデジタル計算機ではなくて、電子計算機(Electronic Computer)と紹介してます。

 この頃は電子式であることが最大の特徴だったのでしょう。

 本文を読み進めると「a digital counter」という表現があって、加減算などの際のパスルの個数を数えるカウンタをデジタルと説明してます。うーん、このプレスリリースを見たい。


 1946年7月8日〜8月31日には、ペンシルバニア大学のムーアスクールで "THEORY AND TECHNIQUES FOR DESIGN OF ELECTRONIC DIGITAL COMPUTERS" が開催され、デジタル計算機に関する48件の講義が行われました。


 1947年1月、ハーバード大学で "Large Scale Digital Calculating Machinery" というシンポジウムの第1回が開催。34件の発表。デジタルですね。


 1948年9月のネイチャ誌に "Electronic Digital Computers" が掲載。電子式デジタル計算機です。イギリスのマンチェスター大学で開発された Baby に関する記事。Baby では最大素因数を求めるプログラムが動いたんです。


 1949年4月には "DIGITAL COMPUTER, NEWSLETTER" の第1号が OFFICE OF NAVAL RESEARCH から発行。デジタル計算機のニュースレター! NAVAL は海軍です。


 *


 整理すると、


  ・デジタル計算機は、論文や講演では1946年7月から。雑誌記事では1948年9月のネイチャ誌が最初かも。


  ・それより前から軍関係と開発に関わった大学でデジタル計算機は使われていて、1942年4月が最初とされているが、見つけた文献では1945年6月。


 見つけた範囲での最初なので...、よろしくお願いします。


 ***

 **

 *


 この頃の計算機コンピュータは、機械式(歯車)から、電気機械式(電磁リレー)と電子式(真空管)へと進化をしてきたところです。この後、トランジスタが発明されて、集積回路(IC)になって、高速化・小型化・省電力化していきます。


 レジスタやメモリの実装方法(水銀遅延管や磁気コア)、命令セットや数値の表現方法、プログラム内蔵式、それから様々な入出力装置(パンチカードや磁気テープ、磁気ドラム、プリンタ)などが考案されて実装されました。


 スタックメモリにリターンアドレスを格納して、サブルーチンをコールすると言った仕組みができて、ソフトウェアのライブラリが誕生したのこの頃です。インデックッスレジスタもこの頃からあります。


 これらの計算機が「デジタル」とされたのでしょう。...、数値をそのまま数として計算するからデジタル?


 *


 ENIACは10進数の1桁をパルスの個数で表現します。パスルが3個と記憶しているところに4個のパスルを加算すると7個のパスルになる感じです。10個を超えるとキャリーパルスを発生して隣の桁のパルスを1つ増やす。これは歯車式計算機と同じ仕組みらしいです。


 指折り数えるのと似ているからデジタル?


 *


 なお「パルス」というのは、真空管式の計算機はパルス回路と呼ばれる方式で実装されていたからパルスと呼ばれたのかも知れません(個人の憶測です)。


 トランジスタが登場する前は真空管の時代で、パルス技術という分野があって、戦時中はレーダーシステムのために開発されていたそうです。その標的は日本軍、...。


 真空管には、パルス発生管・計測管・演算用管・記録管などがあったそうです。演算用の真空管は二進数の加減算ができた。


 二進数の1・0はパルスの有無で表現し、数値をメモリから読み出すと(シリアルで1ビット毎の)パルスの列になって出てきて、これを入力パルスとして演算用の真空管で加減算などをして、出力パルスをメモリに書き込む感じです。メモリをパラレルで実装する計算機もあったとか。


 ***

 **

 *


 余談になりますが。


 1947年のベル研究所のPCM実験に関する論文では、量子化のことを(信号を)ONとOFFからなるパルス列に変換することと説明しています。PCMのPはパルスだからかな。現在ならアナログ・デジタル変換(Analog to Digital Converter)というのですけど。本シリーズの(8)も見てね。


 ベル研究所の論文(Bell System Technical Journal)を見る限りではパルスは多々見つかりますが、デジタルは1950年になるまで見つかりません。ベル研究所では1940年以降、スティビッツが(電磁リレー式の)計算機の開発をしていたのですが...、戦時中だったし秘匿されていたのかも。


 1950年になって、


  R.W.Hamming, "Error Detecting and Error Correcting Codes", Bell System Technical Journal, April, 1950.


 にて、digital computer が出てきます。


 あれ? Hamming ってハミング符号やハミング距離の人では? 近代的な符号理論の始まりとなる有名人だ! ベル研究所にいたんだ。


 ***


 間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!


 ***

2025.9.8 推敲。

2025.9.9 推敲と微加筆。

2025.9.10 微推敲。

2025.9.12 微推敲。

2025.9.14 微推敲。

2025.9.27 微加筆。

2025.9.30 微推敲。






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