↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ギタリストは異世界で音を鳴らす  作者: 神凪狐龍
1章 失った音、始まる音

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/39

14話 小さな波紋


 スキルを使い始めてから――数日。

 

 音は、確実に変わっていた。

 ジャラン――♫

 弦を弾くたびに、音の輪郭がはっきりする。  以前のような曖昧さは、もうない。

(……見える)

 

 《音響構築(サウンドクラフト)》

 

 音が、線として視える。 弦の振動。 空気の揺れ。  それらが、重なり合って“形”を作っている。

(ここを、少しだけ……)

 指の位置を、ほんのわずかにずらす。

 ジャラン――♫

(……合った)

 音が、ぴたりと収まる。

 

「すごい……」

 

 隣で、カノンが目を輝かせていた。

 

「なんか、前よりずっと綺麗!」


「……調整できるようになったから」


「調整?」


「音を、直せるんだよ」

 

 言葉は少ない。でも、感覚ははっきりしている。


 一方で――

 

「じゃあ、わたしも!」

 

 カノンが目を閉じ。すぅ、と息を吸って――

 

「〜〜♪」

 

 歌った。

 その瞬間。

 

(……来る)

 音が、広がる。

 ただの声じゃない。 周囲の空気ごと巻き込むような響(・)き(・)。

 

 《共鳴歌(レゾナンス)》

 

 音と音が、自然に引き寄せられる。

(合わせやすい……)

 いや、違う。

(……勝手に、合う)

 ギターの音と、カノンの声が――

 

 ぶ(・)つ(・)か(・)ら(・)な(・)い(・)。

 

 むしろ、自然に重なるように導かれる。

 ジャラン――♫

 声が重なる。

 揺れが、消える。

(……すごいな)

 これはもう、技術じゃない。


 力(・)だ。

 

「ねえシオン!」

 

 歌を止めて、カノンが笑う。

 

「今の、すっごく良かった!」


「……うん」

 

 短く頷く。

 でも。

(……まだいける)

 もっと、できる。

 

「もう一回」


「うん!」

 

 今度は、最初から。

 音を組み立てる。流れを作る。

 そして――

 歌が、乗る。

 今までよりも。 さらに、自然に。

 さらに、深く。

 響く。

 曲が、完成に近づいていくのが分かる。

 時間を忘れて、音を重ねる。

 何度も。何度も。

 

 やがて――

 

「……ねえ」

 

 カノンが、ぽつりと言った。

 

「これ……また、誰かに聴かせたら、びっくりするかな?」


「すると思う」

 

 私は、即答した。

 するとカノンが、くすっと笑った。

 

「だよね!」

 

 少しだけ間を置いて――

 

「じゃあさ」

 

 こちらを見る。

 

「もっとすごいの、作ろ?」


「うん」

 

 迷いはない。

 音は、まだ成長する。

 もっと遠くまで行ける。

(……この音なら)

 この世界で。

 まだ誰も知らない場所まで。

 ――届く。

 その時だった。

 遠くから、誰かの声が聞こえた。

 

「……あの音、また聞こえるぞ」


「最近よく聞くな……」

 

 通りすがりの大人たちが、足を止めて話している。

(……広がってる)

 少しずつ……確実に。

 私たちの音は――外へ広がり始めている。

 まだ小さい波。


 ……でも。


 それは、やがて大きくなっていく。

 そんな予感が、私にはあった。

読んでくださりありがとうございますm(_ _)m


この小説を読んで面白いと少しでも思って下さったのなら、↓の★★★★★、ブックマークで応援してくれると嬉しいです(ㆁωㆁ)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。