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デジャブ

ゴリ可愛い。



「ふぅ~疲れたぁ~」

「お疲れ~」


俺は食料(戦利品)を運んでいたので、いつもの100倍くらいきつかった。ふと思ったけど、運搬クエストって1番きついのでは?Amazo●とかに配達を頼んだ時はもう少し労ってやろ・・・


「それじゃあ、やりますか」

「ちょっと待って。汗が滝のように出てきちゃう」


ゴリを見てみると、確かに、Tシャツが水分を吸ってべったりしていた。なぜかそこに官能的なエロスを感じてしまったのは俺だけではないだろう。


「なら、先にシャワーでも浴びて来いよ」


ゴリは俺の方を見て、ニヤリといたずら小僧のように笑い、


「『先にシャワーを浴びてこい』はテンプレのセリフだから言ったんだろうけど、狙いすぎてキモイよ」

「デジャヴュ~」


何で俺の周りの人間は俺の思考を読み取ってくるんだよ・・・いいじゃん!テンプレって創作の世界では当たり前に出現するけど、現実世界では言える機会なんてほぼないんだぜ?なら一瞬のチャンスを逃しちゃダメだろぅ


「?よく分からないけど、まあいいか。とりあえず、風呂借りるね」

「了解、ごゆっくり~」


ゴリは自分の部屋においてある着替えをもって、風呂場に行く。その間俺はやることがないので、モンハ●のランク上げを先にやっておこうと思った。が、

「ん、小山か}

===============================================

『先生、ナウフリーですよね?』

『今暇ですよねをそんな風にいうやつ初めてだよ』

『まあまあ、そんなことは置いておいて、お話しましょうよぉ』

『いや、忙しいんだが・・・』

『実は今日新しい彼氏ができたのです』

『無視すんなよぉ・・・おお~おめでとう!』

『ありがとうございま~す、で、デートをすることになったのですが、どっちの服の方がいいのかっていうご相談で~す』

『・・・なんで俺なの?』

『童貞の先生の方が素直な感想が聞けそうだからで~す』

『その枕詞いらんやろ・・・そんなこと言うなら選んでやらないぞ?』

『へぇ~、私でエロゲのシチュエーションを楽しんでたことを塾長に言っちゃいますよ?』

『さぁ早く画像を寄越しな。時間は有限なんだからな』

『はい、大好きです♡』

『おいおい、照れるじゃねぇか///』

『ごめんなさい、彼氏に送るLIN●をこっちで送ってしまいました(てへぺろ』

『純情な童貞心を弄ばないで( ;∀;)』


画像を送信しました。

===============================================

「翔子から2枚の写真を送られた来た。正直どっちも似合っている。ただ、コーデのコンセプトはよくわかる。ざっくり言うと可愛い系とカッコいい系で迷っているのだろうというのがよくわかった。

===============================================

『なるほどな、なぜ迷っているのかはわかったわ』

『流石先生です。女性とのかかわりがほぼゼロなのにこういうところは察しがいいですよね』

『褒めるときに貶すのはやめてくれよぉ~、まぁここまであからさまだとなぁ。ちなみに彼氏君の好みはどうなん?』

『それが分かったら苦労しませんよぉ~』

『ま、そうだよな』

『ですですぅ』

『まぁ俺個人の感想を言うと、かわいい系だと思うぞ。お前はどっちかというと美人っていうより親しみやすさのあるかわいいタイプの人間だからな』

『30点。私を口説くなら、愛の言葉がないとダメですね。加点の分はおまけです』

『口説いたわけじゃないんだが・・・まあいいか・・・デート楽しんで来いよ』

『はぁい!ありがとうございましたぁ~』

===============================================

「伊織~空いたよぉ」

「おっ、了解」


ゴリが風呂からあがって、俺に声をかけてきたので、LIN●を閉じた。


『あっ伊織先生!明日デートに行く前に先生の家に寄りますねぇ~特別に一番最初に見せてあげまぁす』


という連絡を見ることは明日までなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴリがソファーの上で長い髪を乾かす。翔子とは違い、真っ黒な髪色なので、水滴と黒髪が反射し合って髪の色に光沢のある艶をもたらしていた。

上下セットの淡いエメラルドグリーンのパジャマを着ていて、半袖よりも若干長い五分袖のシャツと半ズボンを履いていていた。上下ともに袖の部分にフリルが付いているので可愛いという印象を受けさせららる。


「ん~どうかした?」


ゴリが聞いてくるが、俺は咄嗟に反応できなかった。が、なんとか言葉を紡ぎ出す。


「馬子にも衣装だなってさ」

「どういう意味だコラ?返答次第ではただではおかないよ?」

「ゴリをその格好を可愛いと思ってしまいました!!!すいません!!!」


ヤバい、ちょっと本音過ぎた。あ~あこれはいじられる案件だなぁ~覚悟を決めよう。そして、嵐が過ぎるのを水底でそっと待つのだ。と覚悟を決めていたのだが、追撃が来ない。


「そ、ありがとう。なら、さっさと風呂にでも入ってくれば?」

「お、おう」


なんだ?全くいじられなかった。珍しいこともあるもんだと思って浴室に向かう。俺が部屋からいなくなると、


「はぁ~、我ながら単純すぎる・・・///」


全身が赤くなるのを感じて、体育座りの姿勢から顔を膝の中に埋めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ~さっぱりしたぁ」


俺は風呂を出た。翔子の時と、同じ失敗を繰り返してはいけないと思い、エロゲはすべてロフトの金庫に封印した。俺は過去に学ぶ男。前回はパソコンが置いてあったために、エロゲの存在がバレてしまったが、そもそもそんなものを思い浮かばせなければ勝ちなわけだ。これで今夜は乗り切るしかないな。


「お待た~、ご・・・・り?」

「おお~伊織、長湯だったから物色させてもらっていたよ」


俺は目の前の光景を見て時が止まった。ゴリは俺が厳重に封印していたエロゲの封印をたったの20分以内で解いたというのだ。しかも、暗証番号は俺の誕生日とかそんな簡単なものではない・・・なぜバレた!?

その答えはゴリが自分から話してくれた。


「最近凄腕の強盗を捕まえてさ。そいつは年間200件以上の金庫の鍵を開ける天才でね。私たちも捕まえるのに苦労していたの」

「ほぉ~すげぇな。そんな奴を捕まえるなんて。どうやって捕まえたん?」

「エロゲショップで物色していたところを捕まえた」

「どこかで聞いたことがある話だな」


しかもすげぇ最近。身に覚えもあるからちょっと冷や汗ものだな。


「ちょうど誰かさんがエロゲを選んでいたときよ。あの時不審人物は2人いたんよ」

「マジか。てかまさかとは思うけど、実は俺をその強盗と勘違いしたとかそういうことか?」

「まあ、そういうこと」

「え?じゃああの後、そいつを捕まえたってこと?」

「そう、といっても私が伊織を捕まえている間に、後輩が捕まえてくれておいてくれたんだけどね」

「そいつも運が悪いな」

「話を聞いたら、『テントが張っていて動くと恥ずかしかった』とか言っていたらしいよ」

「あらぁ~」


まさかその状況で捕まるとは・・・男としては同情を隠し切れない。てか凄腕の強盗が俺の隣でエロゲを物色していたことの方が恐ろしかったわ。世の中隣を歩いている奴が殺人鬼なんてことは意外とあるのかもな。


「でさ、その事情聴取のときに、鍵開けの手口を教えてもらったのよ。凄いわあの人。マジで、ピッキング、金庫の暗証番号、パソコンのパスワードを解除する技術が半端ないよ」

「おれからするとそれを実践しているゴリの方が化け物だけどな」


こいつそろばんといい吸収能力高すぎない?こりゃ教える方も楽しいだろうな。


「それでそいつは今何してんの?」

「それがさぁ、自分を捕まえた私の後輩に恋をしちゃったらしいんだよねぇ」

「ほうほう」

「なんでも、取り調べ中に『俺の心のドアをピッキングしたのはあんたが初めてだぜ。俺の性癖の扉のパスワードも教えてやるよ』って言われてアピールされたらしいよ」

「普通にキモイな」

「でしょ?後輩もキレて金●を蹴り上げらしいんだけど、『一生仕えます。我がマジェスティ』って信望されちゃったんだってさ。その人はもう無期懲役だから仕えるのは仕えることなんてできないのにね」

「あらぁ~」


犯罪者って頭おかしいやつしかいないのな。人間って業が深い生き物だよ。


「ま、そんなことはどうでもいいのよ。まさか『義姉のススメ』以外にもこんなブツを隠しているとはねぇ~」


滅茶苦茶ニヤニヤしながら、こっちを見てくる。もうやめてくれよぉ~そんなに俺の性癖を暴露して楽しいのか?暴露系●ouTubrにさらされた人間ってこういう気持ちになるのかなぁ


「呆れるわ・・・もうちょっとリアルを見たらなの?」

「リアルにはこんな乳がないんよ」

「おい、なぜ私を見ながら絶望した表情をしている」

「だってよぉ~2次元には山みたいでスイカみたいな双子山をいっぱい見れるけど、リアルは絶壁だらけだろう・・・どっちが2次元なのか分からなくなってきたわ・・・」

「次、私を見ながら言ってきたら、八重山(日本最南端の刑務所)で一生地下労働に沈めるぞ?」


俺はリアルに絶望していた。というよりも自分の住んでいる埼玉に絶望した。埼玉は貧乳ランキングで圧倒的にトップを走っているのだ。平均A、そんな関東平野を体現している埼玉県は俺たち(ビック大好き人間)にとって地獄に相異なかった。ああ~京都行きたい・・・理由は・・・語らずともわかるだろ?


「なんで、私のは・・・姉貴と同じ血を引いているはずなのに・・・(ボソ」

「全くだよな。和葉さんは埼玉の関東平野にそびえる希望。秩父山なのにな。お前はなんでおばさんの子宮の中に大きくなる遺伝子を捨ててきたんだよ・・・馬鹿じゃねぇの?」


俺はゴリの独り言に辛辣なツッコミをいれた。本当にあきれてものもいえないぜ・・・やれやれ


「なんで私の独り言が聞こえてんのよ!///」

「誰が鈍感系主人公じゃ!」

「いや、今コウモリでも聞こえなさそうなくらいの音量だったんだけど・・・」

「和葉さんの話になれば、コインが2キロ先で落ちようとも聞こえてくるわボケ!!」

「普通にクソ気持ちが悪いわ!!逆切れすんじゃねぇよ!」


                     閑話休題


「そんじゃ始めますか・・・」

「そだね・・・まだ始まってもいないのに物凄く疲れた・・・」


俺とゴリは結局最後までギャーギャー話して終わった。まぁゴリがおばさんのお腹の中に巨乳の遺伝子を忘れたことはどうしようもない。俺はそう自分を納得させて、モンハ●を起動させる。が、中々ゴリと通信ができない。


「お~い、ゴリ、オンラインにしてるか?」

「してるよ。伊織こそどうなん?」

「俺の方もできてるんだが・・・」

「これで合ってるよね?」


ゴリは俺に画面を見せてくるが、俺はそれでゲームが起動できない理由がわかった。


「おい、ゴリ・・・お前が買ったゲームの名前を言ってみてくれ」

「え?サンブレイ●(・・・・)でしょ?」

「じゃあこの画面を読んでくれ」


俺はゴリに画面を見せて読ませる。


「あっ・・・サンライ●(・・・)になってる・・・」


俺とゴリは目を合わせる。そして、


「ははっはははっはははははっははははっははははははっはははっはっはははは」


腹の底から大笑いをした。ゴリは最新作ではなく一歩手前のゲームを買ってしまっていた。


「やっちゃったなぁ(笑)」

「ちゃんと確認しろよ(笑)」

「いやいやでもさぁ、似てるじゃん!(笑)」

「気持ちはわかる(笑)」


やっちまったなぁ(笑)。意外とゴリはこの手の勘違いを昔からやっていた。美術の教科書と技術の教科書を間違えたり、筆箱を持ってきたつもりが、おじさんの眼鏡ケースを持ってきたりと。

俺たちは狩りのことを忘れて、昔話に花を咲かせた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2時ごろ

俺たちは昔話をしながら、買ってきたつまみと酒でべろんべろんになっていた。近所迷惑なレベルで話をしていたのだが、明日にでも苦情がくるのでは?という思考は完全に消えていた。


「結構話したな(笑)」

「だねぇ(笑)完全に狩りのことが抜けてたわ」

「確かに(笑)あっ、それならこの2Gやらん?ゴリも持ってるやろ?」

「それなら、持ってる!てか中学生の時にやったやつじゃん(笑)」

「いいだろ(笑)ちょうどその頃の話をしていたんだから」

「まぁね(笑)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺たちはシリーズ作の中学時代にやっていた狩りゲーをやることになった。

「ああ!!亜空間タックルで死ぬ!!!伊織!!回復!!」

「合点承知!!」

「危ない危ない・・・」


回復してHPがマックスになって安心したが、


「ってゴリ!油断するな!」

「え?」


『力尽きました』


「ああ~あの『勃ち魚』!!!!ぜってぇぶっ殺す!!!」

「あ~あ(笑)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3時

「うぜぇあの風!弓が通らん!!」

「私に任せろ!!って、風で近づけん!!って竜巻に巻き込まれるぅ」

「逃げろぉゴリ!!」

「ああ・・・」


『力尽きました』


「ドンマイ」

「うう~( ;∀;)やけ食いじゃあ!!」

「おい!俺のイカの燻製を食うんじゃねぇ!!」

「うっせぇわ!伊織は自分の●子を飲めばいいでしょうが!イカ臭いんだから味も同じだわ。きっと」

「そんなヤバいことをするくらいなら死を選ぶわ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

5時

「●ージャン2匹・・・どう倒せばいいんだ・・・」

「ね・・・かれこれ40回くらいトライしてるけど、全く勝てる気がしないね・・・」

「せめてフロアがわかれていればいいんだけど、そんなこともないしなぁ・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6時

「zzzz」

「寝ちまったか・・・」

日が丁度登ってきたくらいの時間にゴリはついに力尽きて、俺の胡坐に頭を入れて寝てしまった。無理もないな。久しぶりに夜通し遊んだのだ。疲れてしまうだろう。だけど、体勢がよくない。これだと俺が寝れない。だが、それにしても、


「無防備すぎるやろ・・・」


いくら幼馴染とはいえ、ここまで密着されればいくらか意識してしまうものだ。このままだと俺の精神衛生上に支障をきたすので、俺はゴリをソファーに運ぶことにした。


「んしょって軽いな・・・」


思った以上に軽すぎてビックリした。こいつもっと飯を食った方がいいのではと思うぐらいだった。おれはゴリをお姫様抱っこのままソファーに運び、そして、客用の掛布団をかける。いくら夏とはいっても何もしなければ風を引くからな。


「さて、俺も寝るかな~」


最後に残った『とろ酔い』をグイっと一気飲みして俺もロフトの布団に向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピンポーン


「なん・・じゃ」


どれくらい眠っていたのだろうか。スマホを起動して時間を確認すると、14時近くになっていた。

にしても頭が痛い。ちょっと飲みすぎたかもしれん。


ピンポーン


何か配達か?頼んでいたものはないはずだが・・・俺はロフトを降りる。


ピンポーン ピンポーン


「はいは~い、今出ますよぉ~」


俺はソファーで眠るゴリを起こさないように静かに移動して、家の玄関にたどり着いた。そして、そのまま鍵を開けると、


「伊織先生こんにちはぁ!返信がないので来ちゃいました♡」


満面の笑みで玄関に立っていたのは小山翔子だった。

『重要なお願い』

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