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異世界転移は信じません!  作者: 璃依
~本編~
16/18

16.ずっと一緒にいてくれませんか



纏わり付くような闇の中に、セレナはいた。

体が重くて、動くことができない。

誰かに呼ばれた気がして、意識はゆっくり、浮上していって・・・


天井が、見えた。光の加減から、朝だと分かる。首を傾けると、こちらを覗き込む橙色の瞳が───


「・・・クラウス?」


「っ!セレナ!」


昨日の夜の記憶がよみがえってきて、


「クラウス、大丈夫?」


「それはこっちのセリフだよ。・・・良かった」


クラウスは安堵に息をつく。


「昨日、なにがあったの・・・?」



クラウスの話はこうだ。

いつもよりだいぶ遅くなり、慌てて帰ろうとしたときのこと。

突然殺気を感じ、振り返った瞬間、クラウスは突進してきた魔獣にはね飛ばされていた。

はね飛ばされた先に木があり、クラウスは為すすべもなく気を失った。



「そこに私が行って、魔獣の爪を受けて・・・」


「・・・今回、セレナのおかげで助かったよ。でも、もうこんな危ないことはしないで」


そのとき、壁際にいて気付かなかった人物が歩み寄ってきた。


「ハイレンさん・・・!来て、くれたんですね」


「嬢ちゃんの使役してる黒猫が俺のところに来たからな」


ハイレンに感謝を述べると、クラウスが神妙な面持ちで口を開いた。


「───セレナ。話があるんだ」


「───」


「セレナには『呪い』がかけられてて、それは解呪できた」


呪いは、多量の血液が流れ出てしまうというものだったらしい。


「解呪には時間が必要で、間に合いそうになかったから・・・僕の血を輸血した」


「・・・だから、君も───僕と同じ体質になってしまったんだ」


つまり、成長速度が遅くなり、長い寿命を得たということか。


「───ごめん」


深く頭を下げる意味が分からなくて、首を傾げる。


「なんで、謝るの?」



「───クラウスがそうしたのは、私を助けるためなんでしょ?」


きっと、それをするには抵抗があったはずだ。

それでも、彼はセレナを助ける道を選んだ。───地獄に付き合わせると分かっていながら。


「むしろ私は、感謝してる」


「え・・・」


「───だって、これでクラウスとずっと一緒にいられるもの」


寿命の差というしがらみなしで、生きていける。


「僕で、いいのか・・・?」


「クラウスが、いいの」


クラウスの顔が、くしゃりと歪んだ。彼は何度か瞬きし───


「僕も、セレナと死ぬまで一緒にいたい」


クラウスは端正な顔に微笑みを浮かべ、そう言った。セレナも満面の笑みで───


「ね、約束」


───クラウスとセレナは互いの体に腕をまわし、永遠の愛を誓った。

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