第2話 幼なじみ襲来、そして同じ高校へ
第2話へようこそ!新しい展開を楽しんでいただけると嬉しいです
ヒロトはバイトを終え、更衣室で制服を私服へ着替えると、大きく身体を伸ばした。
「はぁ……マジで仕事嫌いになりそうだ……」
すると、後ろを通りかかった店長が声をかける。
「今日もご苦労さん。あと田中くん、次は遅刻するなよ?」
「はいはい、気をつけますよー」
適当に返事をしながら店を出ると、外ではユウトがスマホを弄りながら待っていた。
相変わらず道行く女子たちが彼をチラチラ見ている。
「待ってるとは思わなかった」
ヒロトが言うと、ユウトは頭をかきながら笑った。
「今来たとこ。そんな待ってねぇよ。ほら、行こうぜ」
二人は並んで歩き始める。
「なぁヒロ、マジでなんでそんな働いてんだ? 親から仕送りあるんだろ?」
「あるにはあるけど、生活費と学校代でほとんど消えるんだよ。シルヴィアグッズ買えないし」
「お前まだそこまでハマってんのか……」
「当たり前だろ。シルヴィアは俺が人生で見た中で一番可愛い女なんだから」
ユウトは呆れ顔になる。
「でも二次元だぞ? 高校入ったら彼女とか作れよ。青春ってやつ」
「無理無理。現実の女って外見ばっか気にするし、恋愛脳だし、面倒くさいだろ。その点シルヴィアは違う!」
ヒロトは急に熱く語り始めた。
「シルヴィアは魂を見てくれるし、細かい気遣いも完璧なんだよ!」
「……なんでそんなこと知ってんだ?」
ヒロトは胸を張る。
「限定ドラマCDの特典エピソードだ」
「だから彼女できねぇんだよ」
「やめろ、心に刺さる」
二人は顔を見合わせ、同時に笑った。
しばらく歩き、近くのカフェへ入る。
ユウトはコーヒーを、ヒロトはオレンジジュースを注文した。
雑談をしながら日常の話をしていると――。
突然、後ろから小さな手がヒロトの目を覆った。
「ふふふ……田中ヒロトよ。神々の会議によって、可愛くて優しい幼なじみを放置した罪で罰を与える!」
わざと低い声を出している少女。
ヒロトは即答した。
「……リリカ、お前だろ」
「きゃー!? なんで分かったの!?」
少女――森戸リリカは驚きながら手を離す。
黄色がかった金髪を今風に結び、オシャレな服を着た美少女だった。
彼女はそのままヒロトを押しのけるようにベンチ席へ座る。
「お前バカか?」
「ひどっ!」
リリカは頬を膨らませ、ヒロトの腕を弱々しくポカポカ叩き始めた。
「こんな可愛い女の子に向かってバカって言う!?」
「悪かった悪かった」
適当に謝るヒロト。
するとリリカは向かい側へ視線を向けた。
「あっ、ユウトくん久しぶり! 中学卒業以来?」
「おう、久しぶり。元気そうだな、リリカちゃん」
「うん!」
しかし次の瞬間、リリカはジト目でヒロトを睨む。
「ていうか、このバカ今日遊びに行くなら連絡くらいしなさいよ」
「悪い悪い。シルヴィアの夢見て遅刻しかけてた」
「まだあの架空キャラ好きなの!? 本当にバカなんだから。少しは現実見なさいよ」
そう言ってそっぽを向くリリカ。
だがヒロトは即座に反論した。
「シルヴィアはバカじゃない! むしろ聖女レベルだ! お前が魅力を理解してないだけ!」
「はいはい、また始まった」
ユウトが吹き出して笑う。
「そういや二人とも、高校どこ行くんだ?」
「あ、私は私立新月高校!」
リリカが元気よく手を挙げる。
「マジ? 俺もそこ」
「えっ、本当!? やったー!」
二人は盛り上がる。
そして同時にヒロトへ視線を向けた。
「……俺も新月」
一瞬静まり――。
次の瞬間、リリカがニヤリと笑った。
「へぇ〜? また私を追いかけて来たんだ?」
「誰がお前追いかけるかアホ!」
「でも三人同じ高校か。なんか楽しそうだな。また同じクラスになれたらいいな」
ユウトが笑う。
ヒロトも少しだけ笑みを浮かべた。
「まぁ……話せる相手いるのは助かる」
するとリリカは呆れた顔をする。
「あんたほんと友達少ないわね。夏の間に少しくらいコミュ力鍛えなさいよ? 高校には《隣人部》なんて都合のいい部活ないんだから」
「分かってるっつーの……その例えやめろ、地味に恥ずい」
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