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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第六章 拝啓 なりそこない様

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真夜中の報告会

挿絵(By みてみん)

 重陽の節句の祭りも終わり、すっかり朝晩は冷え込むようになりました。

 前世では秋は月眺めるのに最適とされ、お月見の名前を付けたものがあちらこちらで見られましたが、こちらではお月見という概念はあまりないようです。

 どちらかというと、信仰の対象というべきでしょうか?

 多神教なのは前世と同じなのでありがたいのですが、その神々は世界を管理している神とは別……。

 前世でいうのであれば、別天津神(ことあまつかみ)に位置するのかもしれません。

 とはいえ……。


(前世の世界よりこちらの世界の月は、大きいですね……)


 ええ、本当に……。倍ほどあるのではないでしょうか?

 この場合、えっと……引力? というのは大丈夫なのでしょうか?

 今まで大丈夫だったようなので、きっと大丈夫でしょう、たぶん。

 そんなことを考えながら空を見上げ、ゆっくりと目をつぶって息を吐き出し、そのままベッドの上にあおむけに倒れ込みました。

 ここ最近、貴族の令嬢として本格的に社交界で動き始めたからか、少し疲れてしまいましたね。

 国を挙げての節句の祭典(イベント)はもちろん、療養明けから始めた令嬢教育も、より強化されています。

 お勉強自体は前世から苦に思うことはありませんでしたので、そちらはいいのですが、やはりお茶会などの社交は気を使ってしまいますね。

 以前の服毒させられていた影響は、解毒されてなお私の体に影響を残しています。

 虚弱とまでは行きませんが、丈夫な体というわけでもありません。


「ふぅ……」


 それでも、前世でのいわゆる老体の時と比べればずっとましでしょうが、もう少しなんとかなりたいものですね。


「そう思いませんか? アングレサイト男爵令嬢」


 誰もいないはずのベランダにそう声を掛ければ、音もなく鍵がかかっているはずの扉が開き、無表情のアングレサイト男爵令嬢が姿を現しました。

 私は体を起こすと、手櫛で髪を整えてから、アングレサイト男爵令嬢にソファに座るよう勧めました。


「申し訳ありません、タンザナイト公爵令嬢。なにをどう思うのかは、私にはわかりかねます」

「いえ、もう少し丈夫な体だと便利だと思ってしまいまして」

「……なるほど」


 私の体が丈夫でないことは知っているのでしょうから、特に否定することもなく相槌を打ったアングレサイト男爵令嬢は、音もなくソファに座りました。


「オイドクシ公爵令嬢は、相変わらず甘やかされているようです。令嬢教育の進捗は芳しくなく、来年の春のお茶会に参加できるとは思えません」

「7歳で、しかも元は男爵家の令嬢が社交界デビューできないというのは、問題ですね」


 ただたんに公爵令嬢としての基準に達していないという意味なら、問題はありませんが、それ以前の問題なら無理に社交界デビューをする方が酷ですね。

 困った表情を浮かべた私に、アングレサイト男爵令嬢は相変わらず無表情で眺めてきますが、その目の奥に心配の色が浮かんでいるのが分かります。


「……少し疲れているだけですよ」

「では、要点だけを簡潔に」


 私の体調を考慮してか、アングレサイト男爵令嬢が必要事項を要点と簡易的な補足で伝えてくれます。

 オイドクシ公爵家はガラス産業で有名な家ではありますが、先日教皇がいままで見たことのないガラスケースに祝福を与えてことで、あのガラスケースを製作したのはどこだと、貴族たちは探りを入れているそうです。

 ジュエリアを除けば、信頼できる家門(・・・・・・・)にのみ、あのガラス工房の存在を教えています。

 急に多くの注文が入ってしまえば、小さな工房では対応しきれませんからね。

 これも技術を守るための手段です。


「第一王女殿下の評判については、教皇猊下の影響もあり上々かと」

「それはなによりですね」


 社交界デビュー前は、皇女に拾われた卑しい王女などと言われていたようですが、春のお茶会での姿、大人のお茶会に参加しても引けを取らない堂々とした態度、教皇の接待という実績に加え、王宮で開催する令嬢令息を集めての小さなお茶会で、徐々に評判は変わっていっているようです。

 もっとも、フロリアナの悪評……できそこないの王女、双子の兄の足を引っ張る妹という評判は、フロリアナが表に出ないことをいいことに、ジャキルピット男爵令嬢の派閥から流されていたようですから、皇女の庇護下に入って表に出るようになり評価が変わるのは当たり前のことです。

 報告を聞き終えた私は、にっこりと微笑みながら人差し指を唇の前に立てました。


「ひとつ、噂を流してください」

「なんでしょう?」

「オイドクシ公爵令嬢が、お忍びで第二王子殿下と重陽の節句のお祭りに、お忍びで遊びにいったそうです。それも途中で護衛を撒いて楽しんだと……」


 私の言葉に、アングレサイト男爵令嬢は無表情のまま頷きました。

 この噂に、平民たちは幼い恋人のロマンスを夢見るかもしれません。

 一部の貴族は、同じようにかわいらしい子供の冒険に目を細めて笑ってくれるかもしれません。

 けれども、良識があればその無謀さに別の意味で(・・・・・)目を細めて笑うでしょう。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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