この時を待っていました
煌びやかな、というよりも子供たちに合わせたからなのかわかりませんが、シンプルだけれども品のいい飾りつけのされた会場に入れば、一斉に私に視線が集まります。
本来であれば昨年この場に参加し、社交界デビューをしていたはずの私。
体調不良で欠席しただけではなく、その後にもあった子供用の社交界デビュー用のお茶会にも、両親の離縁、そしてお母様の再婚で身動きが取れず参加しなかったのですから、やっと登場したと気にかけられているのでしょう。
けれど私の目当ては有象無象の貴族の子女ではありません。
まっすぐにこちらを見つめてくるペツォッタイト色の特別な瞳。
本来なら暗い中で光るはずのその瞳は、明るい今も光っているように見えるほど、私をまっすぐに強く見つめてきている。
(ええ、私もあなたに会いたかったですよ)
私もじっとフロリアナを見つめ、ふわりと笑みを浮かべると、一瞬だけ驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに何事もなかったように私から視線をそらしました。
けれども、こちらを気にしている気配は変わらない。
だから私はそのまままっすぐにフロリアナの方に歩いていくと、私に挨拶をしようと近づいてきていた子女は、意図に気づいたのか歩みを止めて道を開けてくれます。
一歩ずつフロリアナに近づいて行けば、今気づいたというようにフロリアナが私に向き直り、無表情の中に不安を混ぜたような表情を浮かべています。
(そのような顔が見たいわけではありませんよ)
私は瞳にその意思を込めてフロリアナを見つめながらすぐそばまで行きます。
「……」
この国では上位者から声を掛けられるか、発言の許可を得るまで話すことはできません。
礼儀にのっとり淑女の礼をしたまま頭を下げていれば「ごきげんよう、タンザナイト公爵令嬢」と声がかかります。
「お初にお目にかかります。ヴィヴィアナ=オネルヴァ=タンザナイトと申します。本日はご招待を戴きありがとうございます」
「……遅れましたが、お母様のご再婚、お祝いを申し上げさせていただきますわ」
何かを含んだような言葉に、私はにっこりと笑みを浮かべました。
「ありがとうございます。以前より母も健康で幸せにしており、笑顔を浮かべる日も多くございます。本当に、以前の生活が嘘のようです」
「そう、ですか……。それはなによりですわ」
フロリアナは少し何かを考えた後、「後でお時間を戴いてもよろしくて?」と言ってきましたので、私は「もちろんです」と頷き、他の方に挨拶の順番を譲るために場所を移動しました。
しばらく他の子女と談笑を楽しんでいると、王宮のお仕立てをきっちりと着込んだ侍女が近づいてきたため、会話をしていた方々に挨拶をしてからその場を離れました。
そのまま侍女について行けば案内されたのは休憩用の一室。
中に入ればそこには予想通りフロリアナがいて、私の入室を確認して侍女がお茶を用意してすぐに人払いをなさいました。
「…………」
「…………」
お互いが口を開かない僅かに空気が重い状況でしたが、先に話し始めたのはフロリアナでした。
「貴女は、誰なのでしょうか? わたくしの知っているヴィヴィアナ様とはまったくの別人でいらっしゃいますので……もしかして、ヴィヴィアナ様も回帰をなさっておりますの?」
目を細めて、けれどもどこか縋るような視線を向けてくるフロリアナに、私はクスリと笑いかけました。
「いいえ? 夢でお話ししたのに、忘れてしまいましたか? 私のファタール、そしてツインレイの大切なフロリアナ」
「っ!」
私が口にした瞬間、フロリアナの目が大きく開かれます。
その目に浮かぶ感情は喜びと希望、そして……。
「夢じゃ……なかったんですの?」
「ええ」
私が肯定した瞬間、フロリアナの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちました。
それが狂気の運命から解放されるという喜びの涙だと理解しているのは、今この場にいる私だけなのでしょう。
よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m
こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。
あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




