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勇者の隣は、茨道。〜能力無しから、自分の力で望んだ未来を切り拓く〜  作者: とい


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自由時間3日目、得意属性

 アベル、自由時間3日目、朝。


「何も変わらないんだけど‥‥‥」


 開口一番、アベルは眉を下げて不安そうに呟いた。

 ギルド本部の魔水晶は、綺麗な水色をしている。

 アベルは手をかざして魔力を流しているが‥‥‥何も変化しない。


「それはたぶん、あなたがまだ幼いからよ。普通、属性の診断する人の殆どは魔術学院の入学時‥‥‥つまり15歳くらいね。身体がもっと成長しないと、得意属性も顕現しないかもしれないわ」


 隣のフィーアが、自慢の魔術知識を存分に披露する。

 アベルは得意属性を知れず、脱力する。


「分からないのはね、悪いことじゃないわよ。もしかしたら‥‥‥あなたの得意属性が希少属性の可能性も出てきたからね!」


 すると、フィーアが目を輝かせて話し出す。


「‥‥‥希少属性?」


 アベルは咄嗟に聞き返すと、彼女が待ってましたと言わんばかりに話し始めた。


「魔術は主に火、水、風、土の4属性に分けられる。これを基本属性っていうの。大半の生物はこの4つの属性を宿してるわ。ちなみに私は水属性」


「じゃあ、無属性魔術は?」


「無属性魔術はね、魔力を持つ人間なら練習すれば誰でも使えるから分類されないの。いわば基本属性よりも、さらに基本ってわけね」


 笑顔のフィーアが意気揚々と説明する。魔術の事を語って、少しずつ早口になっている。


「あれ? アリシアの氷属性は? 基本属性じゃないってこと?」


 そしてアベルは、ふと疑問に思った事を聞き返す。


「ふっふっふ。いい疑問ね」


 その質問に対し、フィーアがさらに目を輝かせる。


「ーーー氷は水から派生した属性ね! 氷を生成したり、対象の温度を意図的に下げることができるの! これが得意属性のアリシアちゃんは本当に凄いわよ!」


 そして彼女はペラペラと早口で捲し立てていく。アベルは困惑し、反応に困った。


「そ、そうなんだ。じゃあさっき言ってた希少属性って?」


 だがアベル自身、かなり興味あることなので質問を続ける。

 フィーアからすれば、格好の餌が目の前にぶら下がってきた状態。 


「さっき言った基本属性の理から外れた属性があるのっ。具体例を挙げると闇、光、雷、時空、聖属性とかねっ。これらは基本属性に比べて極端に少ないから、希少属性って呼ばれてるわ!」


 つまり、早口で解説を始めるのが目に見えていた。


「その希少属性が、僕の得意属性‥‥‥?」


 アベルは自分の両手を見る。体内に宿る魔力の属性が、自分自身でも分からない。


「可能性はあるわ。希少属性と言えば、どれも優れた強魔術ばかりよ。特に聖属性はね、高度な治癒魔術も使えて重宝されるわ」


「聖属性‥‥‥もし僕の得意属性だったら、もっと強くなれるんだ」


 アベルは両手を強く握る。


(セリカにも負けないような‥‥‥強い属性があれば)


 そんな言葉を、アベルは飲み込んだ。

 ふと思い出した彼女の事で、アベルは口を開く。


「‥‥‥じゃあ、勇者はどんな属性魔術を使うの?」


 アベルは極力‥‥‥素朴な疑問であるように、抑揚を抑えた声で質問していた。


「! 勇者の属性‥‥‥それは分からない。でも、特別な力が宿ってるのは間違いないわ。こればかりは本人に聞かないと分からないわね」


 フィーアの言葉に、アベルは息を呑む。


「私たちじゃあ、話しかけることさえ出来ない雲の上の存在だけどね」


「‥‥‥うん、だよね」


 やがて、アベルは笑顔で声を返す。

 だが両手は更に力強く握り締め、震えていた。


「それじゃ、私も試験の準備あるから!」


「‥‥‥うん。付き合ってくれてありがとう」


 その後フィーアと別れるまで、アベルは感情を顔には出さなかった。




 数時間後、昼。

 最北端の街、ベールバーナ。


「そっか‥‥‥まだ属性は分からなかったんだね」


 アリシアが目を細めて下を向く。

 だがアベルは、落ち込まずに前を向く。


「だから今は無属性魔術と、アリシアに教えてもらった氷属性魔術を練習することにしたんだ」


 『強くなってセリカと再会する』という、人生を懸けた目標を達成するために。


「アベルくん‥‥‥うん、それじゃあ今日もやろっか! まずは昨日と同じように氷の生成からね!」


 アリシアが花が咲き誇ったような笑顔で話す。


「あのエルフ‥‥‥なに楽しそうに笑ってるんだよ」


 第三者の視線に、2人は

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