第7話 「優秀な人材というのはどのように集めればいいのか?」
国王から複数の大臣がいる体制を作っていいと許可を得た。
私はさっそく自分の補佐になりそうな人材を探すことにした。
だが、人材を集めるにしてもどのようにして集めればいいのか。
「君、少しいいか」
私は執務室によく来る官僚に声をかける。
「何でしょう宰相殿」
「君の名前は何という?」
まずは、相手の名前を知らないと話がうまく進まない。なので、名前から聞くことにする。
「私はユースケと言います。どうかよろしくお願いします」
ユースケというのか。何か日本人っぽい名前だな。
そう思ったが、日本人という言葉を彼にいったところで理解してもらえないと思うからわざわざ口にしない。
「さて、この国の識字率というのはどれぐらいかわかるか?」
「識字率とは?」
「ああ、文字を読み書きできる人の割合だ。この国でどれぐらいの人が書いたり読めたりするかな?」
識字率という言葉は存在していないようだ。
なので、識字率とは何かという説明をした。ちなみに日本の識字率はほぼ100%。これは世界でも優れた基準になる。日本の教育には様々な問題があるというが一律の水準以上の人間を育てることができるという点では素晴らしいものだと思う。
「え、ええっとこの国で教育を受けているのは貴族の子弟か村の有力者の子息ぐらいです。私も下級とはいえ貴族出身のため教育を受けて文字の読み書きができます」
「……本当に中世ヨーロッパのような世界だな」
日本の江戸時代は、ヨーロッパに比べれば識字率が高かったと言われる。庶民でも寺子屋で簡単な計算や文字の読み書きを習っていた。
つまり、この王国は日本の江戸時代以下という教育レベルなのか。
優秀な人材をどうやって見つけるか。
文字の読み書きができることが最低条件にしたかったのだが。だが、読み書きができなくてもある程度のレベルの人間はいるはずだ。
だが、そういった人材をどのようにして見つけるか。
「優秀な人材というのはどのように集めればいいのか?」
「それならば、王立学園に行けば見つかると思います」
「王立学園?」
私はその王立学園とやらに行くことにした。




