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第10話 「ふぁふぁふぁ、わ、わわわ、わ私はアイリーンって言います」



 王立学園内を歩く。

 財政に強そうな人材がいないか。

 今、歩いている場所はどうやらさっきの魔法学の教授が教えているクラスがある場所みたいだ。

 あちらこちら魔法の練習をしている生徒がいた。

 

 「勉強熱心だ。こういった生徒がたくさんいる国というのがどんどん発達していくんだな」


 日本も昔は先進国に追い越せ追い抜けとひたすら先進国の技術を勉強し、真似した。その結果、今の繁栄がある。しかし、繁栄しすぎてしまうと慢心が出てくる。

 今、日本が一番みたいな番組が多く作られてきているが、それは素晴らしいことなのだが、ハングリー精神がなくなってしまうという意味では悪い。常に現状に満足せず打開していく。そういった精神があることが国の発展にあると考える。


 「ファイアーボール!」


 「アクア・ストリーム!」


 「おお」


 近くで見た魔法に驚愕を覚える。

 火の魔法。水の魔法。

 本当に現実であるとは思えない。


 「ライトニング・ボール!」


 「おい、それはやべえぞ」


 「そこのあんた避けろ!」


 「え?」


 私に声がかかった。

 反応をするが、アラフォーのおっさんにそんなとっさの反応ができるわけない。


 「うおおおおおおおお」


 誰か生徒が放った雷の魔法をまともに受けてしまった。


 「くぅ」


 全身に電気を浴びるとはこのような気分なんだな。

 雷を受けたことで全身がビリビリしている。

 元々いた世界であれば雷をくらえば命を落とす。しかし、威力が弱いのか。それともこっちの世界だからなのか雷をくらっても私が死ぬことはなかった。


「だ、大丈夫ですか?」


 雷の魔法を放った生徒だろうか。私の元にやってきた。女子だ。年齢は女子高生ぐらいに見える。


 「ああ、大丈夫だ」


 私の元に雷の魔法を放った女子生徒以外の生徒も集まってくる。その中には私のことを知っている博識ある生徒もいた。


 「ちょ、その方は宰相様だぞ」

 

 「え?」


 「マジ?」


 「宰相様!?」


 私の正体が宰相だと判明すると生徒たちはおろおろとし始めた。中でも私に雷の魔法を与えた女性生徒はかなり動揺していた。


 「わ、わわ私、さ、さささ、宰相様に魔法を当ててしまった。こ、こここ、これって死罪だよね。私死んじゃうんだよね」


 どうやら宰相に攻撃したことで死罪になると思っているみたいだ。ああ、どこの独裁国家だ。

 私はそんなことされても死罪にする気などない。

 寛容だからとかではない。

 そんな中世ヨーロッパみたいな独裁をしたくないからだ。民主主義国を目指さなければいけない。


 「君、名前は?」


 「ふぁふぁふぁ、わ、わわわ、わ私はアイリーンって言います」


 「なるほど。アイリーンさん。私は君に対して何もするつもりはない。あれはただの事故だ。故意的ではないのだから不問にするつもりだ」


 「ひぃ」


 私は、アイリーンを脅す気などまったくない。

 安心させるはずだったのにアイリーンはなぜかさらにおびえてしまった。なぜだろうか。私には分からなかった。


 「どうしておびえているんだ? 特に不問にするから大丈夫だ」


 私はこのような言葉をアイリーンにかけるもアイリーンは依然としておびえている。

 え? これってどうすればいいんだ?

 私は、どうすればいいのか本当にわからず困ってしまったのだった。


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