第15夜
おや、こんばんは。いらっしゃい。
ちょっと、おひさしぶりでしたね。
「ぼくももうすぐ2年生になりますからね。いろいろと、いそがしいのです!」
ああ、そうでしょうねぇ。
「でも、きょうは、たくさん、おみやげをもってきましたよ」
おお、リュックいっぱいですね。
ありがとうございます。
「まず、まっくらドラゴンにあげる、ハブラシでしょう」
えっ……まっくらドラゴン、はみがきするの?
「おほしさまの子ですからね。いつもピカピカにしてあげるのです!」
なるほど。
「それから、ねこカンでしょう」
これは、まっくらねこちゃんに?
「そうです! ねこカンがあれば、なんでもできますからね!
バクバクたべたらおっきくなって、わるいヤツらをやっつられますよ!」
おお。それはきちょうひんだ。
「そうなのです。ぼくはこれを、がんばってためたのですよ。」
どうも、ありがとうございます。
「それから、てんちょうさんには、いろいろな色のくもと、ながれぼしをいっぱい!」
おお、これはどうもありがとうございます。
またクッキーが作れますね。
「はい、つくりましょう!」
よし、じゃあ……
まずは、くもをこねこねして、のばしますよ。
「はい」
それから、かたぬきです。
「いろんなかたちがありますね! ぼくはかわいいから、ハートにします」
じゃあ、ハートと、おほしさまのかたち。それから……おはなと、木もかな?
「そうです! ほら、みてください!
木にいっぱい、ちっちゃくしたくもをつけたら、クリスマスツリーみたいになりますよ!」
おお。ほんとうだ。
やきあがったら、ながれぼしのかけらもつけましょう。
「ぜったい、きれいなツリーになりますね」
そうですね。たのしみです。
じゃあ、そのあいだに、すこし……
「たねまきしましょう!」
ええ? たねまき?
「はい。ぼくは、いろいろなたねをたくさん、もってきたのです!
まっくらトナカイにのって、おそらにまきにいきましょう!」
あれ? サンタさんのトナカイじゃなくて?
「サンタさんのトナカイの、かげをごうだつしたのです!
ごうだつ、って、なにかしってますか?」
……あとでちゃんと、かえしにいきましょうね。
「そんなことわかってますよ! れりごー!」
まずは、くものはたけにまくんでしょう?
どのたねですか?
「ぜんぶです! たくさんあるので、ぜんぶまいてもなくなりませんよ!」
……ごっちゃになるんじゃ?
「だいじょうぶです。いろいろはえたほうが、たのしいですよ!」
なるほど。
「ばばばばばばば! よし、ぼくのスーパーテクニックで、あっというまに、まきおわりました」
すごいですね。
「とうぜんです! さあ、こんどはぎんがにいきましょう!」
おつきさまは?
「そこもです! れりごー!」
よし、これでたねまきもおわりましたね。
ぎんがにもおつきさまにも、たくさんたねをまけましたよ。
「ふふふ。ぎんがにまいたのからも、いろんないろのはながさきますよ」
ちきゅうからみると、きれいでしょうね。
「もちろんです! あ、でもおつきさまのは、みんなが見るまえに、うさぎさんがたべちゃうかもしれません」
……そうかもしれませんね。
きっと、うさぎさん、おいしいごちそうありがとう、っていうんじゃないかな。
「ふふふふ。もう、しょうがないなぁ」
さぁ、かえったら、クッキーがやけてますよ。
ながれぼしでたくさんトッピングして、おちゃにしましょう。
……おや、もう、ねてしまったようですね。
それでは、こんやはもう、おやすみなさい。
おやすみなさい、よい夢を。
おやすみなさい、また、いつか。