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リィーネ森の魔女  作者: にのまえ


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79話

 殿下たちと別れた私と兄は、ルルーカの街の肉屋で土産のギューギュー肉を山ほど買い込み、転移魔法で家から少し離れた森へ戻った。


 なぜかというと、使い魔の兄にお礼のすりすりをするため。だが次の瞬間、鼻をつくむわっとした酒の匂いが風に乗ってやってきて、思わず鼻をつまむ。


「兄、お酒の匂いがする」


「ああ……これはリシャン師匠が作った酒だな。種類は森の葡萄で作ったワインに、林檎、レモン、各種ベリーに柑橘……漬け込んだ果実酒の匂いだ」


「……ということは」


 私は家の方角に視線を向ける。


「そうか。今回は早めに来たみたいね」


「早めに? 誰がだ?」


(あの人が来るようになったのは、五年前だから、リィーネの森を離れていた兄は知らないよね)


 五年前の夏の終わり、リシャン母と父が呼んだのか、エルフの行商人、セロが大荷物を背負い、


『君が魔女リシャンと使い魔キョンの娘、シャーリーかい? ご挨拶代わりにどうぞ。花の髪飾りと花のワンピース、それから靴だ』


 といきなり現れて、私にプレゼントを渡した。次に彼は大荷物を地面に置き、大きな布を広げ、魔導具、魔導書、少女向けの品を並べた。


『シャーリー、他に欲しいものはあるかい? 代金はもう貰っている。好きなのを選びなさい』


 私は初めてみる魔導書と、部屋を照らす魔導具のランタンを手に取ったが。その隣に、赤黒い染みのついたナイフと、くすんだバレエシューズが置かれていた。


『ふふ、見つけてしまったね。そのナイフは、とある殺人鬼が使っていた逸品。一生血が落ちない。それからその靴は有名な踊り子のものさ。履けば脱げない。死ぬまで踊り続ける呪い付きだよ』


 怖いものが苦手な私は恐怖に悲鳴を上げ、その場で腰を抜かした。次の瞬間、森の枝がうねり、セロをぐるぐる巻きにして木へ吊るし上げる。


 そして父と母が走ってきた。


『シャーリー、大丈夫!? セロ、あれを見せたの? この子は怖いものが苦手なのよ!』


『待て待て待て、リシャン! もしかしたら好きかと──』


『バカか、十代の娘がそんなもの好きなわけあるか!』


 父と母にこってり絞られたセロだったが、最終的に笑い合い、酒を酌み交わし外で酔いつぶれて朝を迎えていた。


 ……それが、いつもの流れ。今回はリシャン母がいないから、そこまで飲まないと思うけど。


「兄、あのね。セロっていうエルフの行商人が来てるの。兄は初対面ね」


「エルフの、セロ……?」


 私は兄の手を引き、家へ向かった。

 いつものテーブルの下に、父、魔王、ドラゴン夫婦、そしてセロが酔っ払って転がっていた。

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