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第46話 闘技大会:Ⅳ(二日目)


どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅ…





どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅ………





どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅ……………






どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅぽっぽぽー どぅーどぅ

「うるっさい!!!」


……


なんであんなに規則正しくリズム刻めるんだろうね。

お腹の中、いやハト胸の中にメトロノームでも入ってるのかな。

あと、どぅ……で終わるのって何なんだ。こだわり?


って、この世界にキジバトっていたんだ。驚き。



おっと、おはようございます。清々しい朝。

わりと珍しく、6時半という空が明るくなってきた時間に起きました。

リュー・ベテルギルです。

久々に自分の苗字を言った気がする。

ベテルギウスだったりペテルギウスじゃないので、そこのところはよろしく。

爆発の予兆は無いし、狂信者でもないから。


あ、そういえばベテルギウスってすでに超新星爆発してる説もあったっけ。どうなんだろうね。

もしもーし、爆発してるー?



…なんだ、このノリ。


ええと、今日は割と気温的には低そうな感じかな。昨日よりは冷え込んでるような。

試合の時には指先が冷えないように注意しないと。かじかんだ指で握る剣は危ない。すっぽ抜けてどこに飛んでいくかも分からないからね。まあ、そうなったらそうなったで魔術で操れば……

あ、これ意外と良い戦術なような気が。

剣を弾き飛ばしたと思ったら、後ろからサクッ。みたいなね。

気配も殺気も無く飛んでくるのは中々脅威だと思うんだ。まあ、飛来する音はするだろうし、魔術で操ってるのが看破されればどうしようもないんだけど。

1回だけの奇策、とかになら使えそうな気はする。

ま、考えるだけ考えておこう。

とりあえず起きて、身なりを整えよう。

朝食までは1時間くらいあるから、ゆっくりでも大丈夫だね。



どぅーどぅぽっぽぽー。






同室で寝ているエルを横目に見ながら、着替えを済ませた僕は食堂へと降りていく。

その道すがら、朝食の準備途中だった宿の従業員から話しかけられる。

なんでも、リーナが早朝に宿を出たために、伝言を言付かっていたのだとか。

そして聞くところによると、リーナは闘技場に早めに入るために城へと向かったのだそうだ。今日は2回戦。そのオープニングを飾る第一試合には「白百合」が出て来る。……つまり、いちファンとして何としても間近でその戦いを見るために、早朝から城の開門を待っているわけだ。

なんというか、コミ……いや、あの夏の祭典を幻視してしまうような。

門が開いた途端に猛ダッシュとかしないよね、リーナは……?

いや、持ち前の敏捷性をここぞとばかりに発揮してそうだなあ。



食堂スペースはまだ人もまばらで、ティファも起きて来てはいないようだった。

そんな中窓際の一席に座ると、間もなくして給仕の青年がやってきた。そしてテーブルの上へと湯気の立つお茶を置いた。


「えっと、僕何も頼んでませんよ?」


間違って置かれたのだろうと思いつつ、そう疑問の声を上げる。が、彼はにこりと微笑む。


「いえ、こちらサービスになっております。今朝は冷えますし、この間の肉のお礼も兼ねているそうですよ?」


チラリと彼が向けた視線の先を追うと、厨房で忙しそうに料理をしているおじさんの姿が目に入る。年齢は50ほどであるにも関わらず筋肉質な彼はグレゴさんといって、奥さんと共にこの宿を経営し、自ら厨房に立つ人物だ。寡黙な人で、『おう』だとか、『ああ』ぐらいしか言葉を発するのを聞いたことがない気がする。しかしそれがやたらと似合ってもいて、なんというか、良い雰囲気の渋いおじさまである。シブオジである。


ちなみに肉のお礼、というのは、1週間ほど前に僕たちが依頼で討伐した、鹿型の魔獣から切り出した肉を持ち込んだ件のことだ。持ち込んで調理してもらったのだが、自分たちに出してもらう分以外は手間賃の意味も篭めて宿に提供した。それをいたく喜んでもらえたのだろう。ここ数日、なんとなく食事の量がボリューミーになっているような気はしていたが、そういう理由だったのか。


こちらを見てはいないが、グレゴさんに会釈をして、青年にもお礼を言う。

もらったお茶は、ディーベというお茶だそうだ。何度か飲んだことはあるが、ジャスミン茶に少し似ていてすっきりとした味わいだ。

ティーカップの脇にはハチミツが添えられているが、まずは入れずにいただく。

…うん、おいしい。一番近いのはジャスミン茶だと思うけど、なんとなく緑茶っぽい風味もあって懐かしさを覚える味だ。

次はハチミツを入れて。

…こちらも美味い。ほどよい甘さと香りがプラスされて、後味も爽やか。

これでケーキなんかあったら最高だ。


そうしてしばらく穏やかにお茶に舌鼓を打っていると、飲み終わる頃には見知った姿が食堂に現れた。


「おはよう」


先んじて声をかけたのだが、反応は鈍い。辛うじて『は…よ……』という返答が聞こえたのみだ。

低血圧なのか、ティファは朝が辛そうなことが多い。今も半分ほどしか開いていない瞼を擦りながら、のそのそと席に着いたところだ。


「今朝はリーナが早くから席取りに行ったらしいよ」


と教えておくが、それについても反応があまり見られない。あまりにぼうっとしているので、大丈夫なのかと聞いてしまうほどだ。……あ。よく見ると二重なはずのまぶたが三重になっている。

それを伝えたところ、ようやく返事らしい返事が聞こえる。


「……治癒……魔…」と、それだけだったのだが。


「治癒魔術、僕は使えないってば…。ま、代わりに他の手段を試してみるけど。良い?」


そうだった。おねがい。

絞り出すように聞こえた声に応じて、まずは治癒系のスキルを試してみるが、ほぼ変化が無いよう。

まあ怪我や病気ではないから仕方ない。完全治癒は最後の手段として、『健体化』というものを使ってみる。これは、対象の正常な健康状態を事前に読み取っておくことで、いつでもその状態に戻すことが可能、というスキルだ。

ただし死亡した者には当然使えない(魚で試した)ので、蘇生なんかは不可能だ。


スキルを使用すると数十秒をかけてじわりとティファの様子が変わっていく。

開ききっていなかったおめめはパッチリ二重に。髪についてしまっていた寝癖も取れた。低血圧もよくなった。彼氏もできたし宝くじにも当たったし年収も1000万円を超えた。




うん、なんでもないです。



しかし効果の程は大きかったのか、パチパチとまぶたを瞬いて驚きの表情を……たぶん、露わにしているティファ。分かり辛いけど一応目を見開いている感じはするので、驚いているんだろう。


「良く、なった」


うんうん。満足してもらえてるようでなにより。

頭も冴えたのだろう、どういう能力なのか、時間を巻き戻せているのか、などと矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。

僕はそれにひとつひとつ答えてゆき、ティファはそれを聞いて自分でも考察を始める。それは僕たちの朝食が運ばれてきてからも続くこととなった。


ちなみにティファもサービスのお茶を貰い、満足そうな雰囲気で口にしていた。





エルが食堂に現れたのは、2人が朝食を終える頃だった。

おーす、早いな、と声をかけながら席に着くと、エルが寝すぎなだけだとリューとティファは口々に言う。

「まあそう言うなって。それはそうと、リーナはまだ寝てるのか?めずらし……あ、ちょっと待て…」

彼はそう口にすると、額に手を当ててしばし何かを考える。


「…。よしわかった。白百合の試合を一番先頭で観たいばかりにリーナが早朝に起きて席確保に向かったからお前らだけでまったり飯食ってると。そんな感じか?」


大当たり、とリューがお茶を飲みながら答えると、リーナらしいなとエルは苦笑した。


しかし、その表情は一瞬で真剣なものへと変化する。

「…見られるな。最高峰の『強さ』を」


そこにあるのは憧憬と、そして期待。

どんな風に闘うのか、そして自らへ吸収できる事はあるのか。気になって仕方がないと言わんばかりの面構えをしている。


「珍しい、ね。エルのそういう顔」


付き合いはそれなりに長そうなティファがそう言うということは、本当に稀なことなのだろう。

そしてそのエルの様子に触発されたのか、ティファとリューもどこか期待に胸膨らませるような面持ちだった。





所変わり、王城前。

昨日以上の人混みに辟易しながらも、3人は受付を済ませて第一闘技場の客席へと向かう。

席は既に満席状態であり、通路にも人が立って開会を今か今かと待ちわびている。それもそうだろう。今大会においてSランクパーティは特別な位置づけをされており、彼ら彼女らが関わる試合が行われるときにはもう一方の闘技場で試合は行われない。観客・選手両者への配慮がなされているのだ。

今頃、第二闘技場には人が疎らにしか座っていない事だろう。


売り子の掛け声やら優勝予想の討論やらがあちこちで上がる中、3人は少し落ち着ける場所を求めて歩き、壁際の空いたスペースを見つけた。

そこになんとか収まり、一息ついて改めて場内を眺める。

どこを見ても人ばかりで、その多くは笑顔で今日の試合に心躍らせている。祭りのようだと思いながら、リューはどこか喜色をはらんだ表情でいた。

そうしていると、ふと隣のエルから肩を叩かれ、彼はそちらを向く。

なんでもリーナを見つけたということで、リューとティファも確認しようとするが、身長という格差の元に阻まれてかなわない。

仕方ないのでリューが魔術で小さな踏み台を足元に作り出し(※後でちゃんと元に戻しました)、エルが指差す左前方を目を皿にして探す。

すると、一番真ん前の席で揺れる金色の頭が見つかった。それはどこかそわそわと動き、まだ始まらないのかと開会を心待ちにしている様子があからさまに見て取れる。

なんとも彼女らしいその姿に、リューは思わず吹き出してしまった。


そうして10数分の時間が過ぎ、開会の時間がやってきた。

今日は国王の挨拶は無く、解説の2名が会場を盛り立てる。


〔皆さまたーいへん長らくお待たせいたしました!!私としては準備が整っているなら早く始めたかった所なのですが、いくら圧力をかけようと横の人が頷かなかったために定刻よりの開会となりました。大変遺憾なことです〕


『えー、会場へお越しの皆さん、おはようございます。圧力をかけられた者です。早く始めましょうと朝っぱらから詭弁を振り回して説得しようとしてくるオルタスさんを宥めるのに疲れました。誰か代わってください』


〔そんなこと言わずにー。仲良く楽しく解説していきましょうよ。それでは闘技大会二日目、スタートです!〕


『打ち合わせ無視ですか!?み、皆さん盛大な拍手を!』


観衆は笑いながら拍手を送り、大会二日目の始まりを告げた。




〔さあさあさてさて!焦らすことなく行きましょう!誰もが待ちわびていた、今日の第一試合に登場するのはこの人たちだーっ!〕


『はい、そうやってサクサク行く流れなんですね。順応しました。それでは紹介しましょう。まず1番ゲートから入場するのは、Bランクパーティの"トランド・フェルド"です。結成から6年目になる中堅どころのパーティになります』


〔なにやら人名のようにも聞こえるパーティ名ですね。由来に関しての情報はありますか?〕


『はい、こちらに。なんでも、大陸西方の地域に伝わる二人の英雄にあやかってつけられたそうです。人名みたいという意見がばっちり正解だったわけですね』


〔おっと私の冴えわたる勘が真実を導き出してしまいましたね!才能が怖い!〕


『私はあなたのテンションが怖いです。さて続いて、2番ゲートから入場するパーティは、もちろん皆さんお待ちかねの』


〔Sランクパーティ、"白百合"でーす!!〕


会場が割れんばかりの黄色い歓声に包まれ、白百合の面々が堂々とした歩みで入場する。こういった歓声には慣れたものなのか、それぞれが観客席へと手を振ったりもしていた。



『ええ、見事に台詞を奪われましたね。気にせず解説いきましょう。白百合はアルテイル王国が誇るSランクパーティで、今までの功績は数知れず。また、所属するユニオン、女帝の花園クイーンズガーデンは国内最大規模のものとして有名です』


〔6人のうち2人がSランクであり、国内のパーティでは戦闘力が随一ともいわれているんですねえ。ああ、リーダーのマリアベル様に踏まれたいっ!!〕


『ええと、話の流れが見えないんですが。そろそろ警備の方に連れて行ってもらった方が良いんでしょうか、この人。100人近いユニオンを束ねるマリアベル女史は、ユニオン内の最高戦力であり、統率力も高い水準であると知られています。それだけでなく気品に溢れ、美しさも兼ね備えているという、まさに完璧な女性です』


〔ギルドの一部で行われている毎年のランキング大会では「踏んでいただきたい女性冒険者」や「女だけど抱かれたい女性冒険者」、「姿を見たら祈る女性冒険者」といった項目でナンバーワンを取り、その他の項目でも上位に名を連ねております〕


『一つ目の項目には確実にオルタスさんの票が入っていることでしょう。さて、両パーティの紹介も済んだところで、場内中央ではそれぞれの代表者が固い握手を交わしました』


〔私も握手がしたいです!!!〕


観客席では何故か、その言葉に同調するように歓声が上がる。


『はい、それでは両者が所定の位置につきましたので……2日目第一試合を始めましょう!皆さんご一緒にカウントを!』


10からカウントが減っていき、それに比例するように会場の熱気が高まっていく。


そして試合が開始された直後、トランド・フェルドの選手が一名、地に伏した。


それと同時に聞こえてきたのは、何かが風を切るような音。その発信源には、レイピアを振り切った姿で静止する白百合のリーダー、マリアベルの姿があった。

一瞬訪れた静寂の後、マリアベルは武器を少し引き、言い放つ。



「―――すまないが



私の可愛い花たちに、良いところを見せなくてはならないのでね」



今日一番の嬌声が会場に響き渡る。

ついでに、パーティメンバーの表情もうっとりしているように見えた。



〔なんということでしょうか、マリアベル選手!!開幕1秒で1人を撃破!今のはどうやってやったんでしょうか!?分かりますかコールさん!〕


『はい、はっきりと見えたわけでは無いですが、恐らくは魔力をレイピアの先に集中させて飛ばしたんでしょうね。魔力が瞬間的に高まったのは何とか分かりました。かなり高度な魔力操作の技術、そしてレイピアの突きの速さも相当なレベルでないと実現ができない技でしょうね。実に見事です』


〔なるほどですね!そして、女性たちを黄色い声に変える美麗なセリフ回し!この人に言われると性別関係なく乙女になってしまいそうです!――さてさて、そんなことを言っている間にも状況は動いています。マリアベル様が切り込む形で白百合が接敵しています。すでに人数有利な上に、マリアベル様は前衛2人を相手取っていますね。そのうちに他のメンバーが確実に屠って―――ああ!マリアベル様が隙をまさに突いて1人を倒しました!〕


そこからは最早試合にもならないと言っても良い。一人、また一人と減っていく敵は、気づけば残り

は1人となり。

戦意を完全に失ったその最後の1人が降参の意を示し、第一試合はあっけなく終わった。その間20数秒。


〔二回戦第一試合を華々しい勝利で飾ったのは、Sランクパーティ白百合でした!皆さんどうぞ惜しみない拍手を!〕


こうして闘技大会二日目は始まったのだった。



ちなみに、試合終了直後には必死に拍手を贈るリーナの姿があったとかなかったとか。






マリアベルさんのイメージは宝塚の男役

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