表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/52

第43話 闘技大会:Ⅰ(一日目)

白の月9日。待ちに待った闘技大会の当日が訪れた。


この日の王都は早朝から賑わい、いつもに増して人々の往来が多くなっていた。商人、貴族、平民、そして冒険者。多種多様な身分、種族人種が入り乱れている。


「マスターピース(仮)」の4人は早めに宿を出て、市街地を隔てる数層の城壁を通過し、中心地―――王城へと向かっていた。



「だいぶお城が大きく見えてきたわねー」


「だな。それにしても……こう……白いなあ」


「白いって。そのままか。」


「――それはまさに白亜という言葉が似つかわしい城であった。一点の曇りもない城壁は、まるで新雪のごとき美しさを誇っていた」


「えっ」


「あの…急にどうしたの…?エル」


「……乱心?」


「いや、なんとなく反抗心で」



いつもの如く、とりとめもないことを話しながら歩いていく。そして城門へと続く人の列に並ぶこと約15分。入城の手続きを済ませると、4人はついに城の敷地内へと入った。


大きい、すごいなどと率直な感想を洩らしつつ城内を進んでいき、案内されるがままに王宮闘技場へと向かう。


王宮闘技場はローマのコロッセウムを思わせるように壮大な―――いや、単純な大きさでは更に大きいであろう、非常に立派な造りをした建物であった。


入城の際に手渡された小冊子によれば、この闘技場は地上1階の第一闘技場、地下1階の控え室などのスペース、地下2階の第二闘技場の3層から成り、約1時間後に第一闘技場にて開会式が行われるとのことだ。


人でごった返す闘技場内を進み、第一闘技場の観客席へと歩を進めていく。どうやら席にはいくつか種類があり、来賓席、一般席、参加者席と分かれているらしい。まだ割と空いている参加者席の方へと向かい、4人分の固まった席を確保してそこに落ち着いた。


「さてと、だ」


席に着くや否や、4人は一斉に小冊子を開き直す。


何故ならそこには、彼らが今最も知りたい情報が載っているからだ。



つまりそれは、トーナメント表。


4人は示し合わせるまでもなく、自分たちのパーティ名を探していく。


トーナメント表はABCD、4つのブロックに分けられているようで、AとBのブロックは第一闘技場、CとDのブロックは第二闘技場で対戦が行われるようだ。


「あった」


ティファが短く呟く。早々にパーティ名を発見したらしい。


「Dブロック」


再びの呟き。


釣られて3人も同所に目をやる。


「お、運いいね僕ら」


リューがそう言ったのは仕方のないことだった。つまり、彼らのブロックには―――Sランクパーティが居なかったのだ。


「つっても、他の所より高ランクのパーティが多いみたいだがな。パッと見ではあるが」


「あ」


トーナメント表にはパーティ名の横に括弧書きでパーティランクが記載してあるが、DグループにはAランクパーティが6組。出場が12組なので、半数が居ることになる。Sランクパーティが居ない分我こそはと意気込み、さぞ士気も上がっていることだろう。


「ついてるのかついてないのか……ちょっと分かんないねえ」


困ったように笑うリーナ。


「順当に行くと…4回戦で最初のAランク、5回戦と準々決勝もAランク、勝ち進んでも準決勝でSランク。相当な辛さだな……。」


「まあ仕方ない。私達は勝つことを考えるだけ」


「だねー」


話しながらも各々が対戦表に目を通してゆく。


Dブロックには居なかったSランクのパーティだが、ABCそれぞれのブロックにはシード枠として一チームずつ入っているようだ。


Aブロックには白百合、Bブロックには狂乱の嵐、Cブロックにはウェルビス。


また余談ではあるが、白百合と同じクラン『女帝の花園クイーンズガーデン』に所属している「桔梗」、「楓」という2つのパーティも今大会に参加しており、それぞれBブロックとAブロックに組み分けられているということだ。

このふたつのパーティはどちらもAランクで、クラン内では白百合に続くNo.2を競い合っているのだとか。


相も変わらず饒舌になるリーナ。何が彼女を駆り立てるのだろうか…。



その後も4人は小冊子に目を通し、ここの試合は観に行きたいだの賭けにも一枚咬みたいだのとあれこれ話していた。


そうして喋ること数十分、すり鉢状になっているコロシアムの底から拡声されたアナウンスが響く。


『約15分後より、闘技大会開会式を開始致します。出場選手、ならびに各関係者の方は第一闘技場までお越しください。繰り返します―――』


遠くでも薄らとアナウンスがされているようにも聞こえるため、外でもこの声は流されているのだろう。


それを聞きながら、エルが一言呟く。


「15分か……やることねえし寝るか」


3人は唖然としていたが、数秒後にはすでにエルは寝入っていた。


「は、速すぎる……っ!!」


「目を閉じた瞬間すら捉えられなかったわ……!?」


「…ふたりとも、どした?」


珍しくもティファのつっこみが入った。




15分後、再びアナウンスがされる直前にエルは目を覚ました。


「そろそろ始まるか」


そしてまるで今まで起きていたかのような自然さでそう呟く。


「そうね、もうすぐ……っていつ起きたの!?」


「は、速すぎ」「目を開けた瞬」

『一同、静粛に』


リーナもリューも押し黙った。その顔はどこか悲しげにも見えた。


『ただいまより、第52回、アルテイル王国闘技大会の開会式を執り行います。初めに、現国王陛下よりお言葉があります』


自然と北側の主賓席――その辺りだけは豪華な席で貴族が多く座っている――に会場の注目が集まる。

一般の民衆は普段なかなか目にすることのできない国王。4人も姿を見るのは初めてのことだった。


主賓席中央から一人の男性が立ち上がる。頭髪には白髪が半分ほど混じるもののしっかりと撫で付けられており、またその体躯は年齢を感じさせない壮健さがある。服はその威厳を際立たせるに相応しい煌びやかさで、それでいて嫌味を感じない落ち着いた雰囲気を持っていた。


アルテイル王国第29代国王、ブレンドル・ユーフォニウス・アウクレス・アルテイル。かつては自身も騎士として国の為に働き、のちに「剣王」とまで呼ばれた生粋の戦士、その人であった。


その国王ブレンドルが重々しくも口を開く。


今日こんにちは国内外より実に多くの人々が集まってくれ、大変に喜ばしく思う。この大会の企画、設営などに携わってくれた関係者一同には多大な感謝の意を贈ろう。


さて、大会出場者諸君。私は諸君らに問いたい。

君たちは今日、何を欲し、ここに集まった?

名声か?金か?賞品か?それとも、ただただ強者との出会いを求めて?

望みを果たすのは誰だ?最後に勝鬨を上げるのはいったい誰だ?


大いに競うが良い。己の全身全霊全てを篭めて戦い果てよ!更なる戦いを!

情け容赦の無い戦いを望め!!!

今こそ、心躍る力と力のぶつかり合いを始めようではないかッ!!!!!』


その言葉に、会場が揺れた。



「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」」」」」」



耳が痛いほどの大音量が辺りに響く。闘技場内のボルテージは最高潮に達した。


ここまで人々の気持ちを盛り立てるとは、やはり国王というだけのことはあった。








少し時間が経ち、観衆の興奮も少し収まってきたころにアナウンスが再開された。


まずは競技上の注意から。


『競技上の注意と致しましては、お手元の小冊子をお読みください。また、今大会ではそれとは別に一点、お知らせがありますので注意してお聞きください。今大会では出場者全員に、ある魔導具を装着していただきます。その魔導具とは―――運営本部にご注目ください―――こちらの鉢巻になります』


主賓席の右側にある運営本部に目をやると、一人が両手で黄緑色の鉢巻を掲げて立っていた。


『こちらの魔導具の効果は、闘技場内に限り、一撃死および致命傷を回避する、というものです。』


会場がざわめく。そんな高性能な魔導具があるのか?しかも出場者に配る?などといった声が聞こえる。


『まずは実演を致しましょう』


そう言う声と共に、事前に控えていたのであろう、兵装に例の鉢巻を付けた兵士が二人、中央の決闘場に現れる。


そして一方がおもむろに抜剣し、もう一方に切りかかる―――!


それは確実に首を狙った、仕留めるための一撃。


何を、と思う暇も無く。


キィン、という甲高い音と共に首を裂かれた兵士が後ろに倒れる。


攻撃した方の兵士は地面に倒れぬうちにそれを支えた。


しかし血は―――全く出ていない。攻撃された方の兵士はぐったりとしていて意識がないようではあるが、確実に生きている。


『御覧の通り、彼は死を免れない一撃を鉢巻の力で防ぎました。この鉢巻を付けている限り致命傷や致死攻撃は打ち消され、使用者は気絶するだけになります。

前回大会までは毎回、当大会では少なくない数の死傷者が出ていました。この大会でパーティメンバーが死亡し、解散したパーティも数多くありました。

その点を解決するため、今回の魔導具開発に尽力してくださったのは、王国附属研究室・魔導具研究部署の方々です。彼らのおかげで安全に、そして全力で皆さんはぶつかり合うことができるのです。魔導具研究部署の皆さんに多大なる拍手をお願いいたします!』


おお、と会場が湧き、拍手喝采の嵐となった。


それに応えて10人ほどの一団が本部後方で立ち上がり、一礼をした。


更に拍手が大きくなり、指笛を奏でている者もいる。


しかしそんな中、違う視点で研究部署の人員を見つめている少年が居た。


「……ねえ、あの人ってなんでフードで顔隠してるのかな?」


リューであった。


「え、フード?」


「んん?そんな奴……居るか?」


「……どこ?」


他の面々は反応が悪く、どこだろうなどと呟いている。


リューは若干の違和感を覚えつつも、


「ほら、一番右の」


と付け加える。


「一番右?一番………右端……?あ。いるな。え、あれってさっきから居たのか?」


最も早く見つけたのはエルであったが、残り二人もやや間がありながら黒いフードを被った人物を発見する。


「やっと見つけた……でも…あれは…認識が阻害された?研究成果の一部…?」


4人の頭上に?が浮かぶが、それを解消してくれる者は居ない。


彼らの疑問をよそに、アナウンスは進んでいった。



即死無効の鉢巻って、きあいのハ〇マキかよ!



エルみたいにデカい剣とか持ってる奴らは席に座るときにすごい邪魔だろうなあ……。なんてことを書きながら思ってた作者です。


あと、実験台として気絶させられた兵士くんの冥福をみんなで祈ってあげて下さい(´・ω・`)

アナウンスにも気遣われないなんて・・・(´;ω;`)ウッ…


(※行間でアナウンスさんはお礼言ってます。たぶん。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ