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第24話 固有と無属性

また短めです。すみません………。



ティファの姿を視界に捉えてからすぐ、僕は本を読みふけっている彼女のもとへと歩き出した。


「ティファ」


声を掛けると彼女はくるりと此方を向く。


「……ああ、リュー。………魔道具、どうだった?」


「んー………結構色々と種類があって、なかなかに興味深かったよ。あ、リーナは光魔術補助の魔道具を買った。女性向けなだけあってなかなか綺麗な感じだよ」


「そう。リーナに後で見せてもらう」


お、そういうのが気になるって所はやっぱり女の子なのかな。


「それで……もうここを出るの?」


??………あ、そうか。呼びに来たのかと思われたのか。


「……いや、多分今日はもうずっとここじゃないかな?僕はただ、ティファがどの辺りに居るかの把握がてら魔術の本を読みに来ただけだから。」


そう言うと、ティファは読んでいた本に再び目を落としつつ呟いた。


「…リューは詠唱いらずなのに……読む必要あるの?」


「そりゃ、詠唱を覚えるために本を読むっていう過程は必要ないけど……どういう原理なのかはちゃんと理解しとかないと、正しく使えないからさ。」


「あ、問答無用で使えるってわけじゃないんだ……」


「……僕を何だと思ってたの…!?」


なんか僕への認識がおかしい。


「えっと……化けも「やめて、みなまで言わないで」


………ホントにおかしい。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





「それじゃ、僕はもう少し他の場所も見てくるね?」


そう告げるとティファはこくりと頷く。


「……リューが新しく何の魔術を覚えようとしてるのかは知らないけど、更に化けも……強くなるために頑張って」


「化け物じゃないわ!……ティファも重力魔術頑張ってね」


しかし、僕の言葉にティファは少し顔をしかめた。


「……今見てるのは……ただ知識として知っておきたかったから……。私には合成魔術を2つ扱うなんてことできない……。」


……確かに、合成魔術を2つ使うというのはかなり難しいことだ。王宮魔術師でも合成魔術を複数扱うことのできる人はごく一握り(リーナ情報)らしい。


「でも、『出来たらいい』とは思ってるんでしょ?」


「………」


図星のようで、押し黙るティファ。


「出来ないと思ってやったことは大抵出来ない。けど、自分を信じる力っていうのは案外、いい結果を生むんだよ?」


「………でも……私は自信なんてない……。」


………自分に王宮に仕えることができる位の魔力があるって言ったのは誰だったか。………いや、あれは事実を述べただけで、自信からでは無いのかな。


「大丈夫だってば。ティファの魔術制御の正確さ、繊細さ、緻密さは誰よりも優れてる。僕が保証するよ」


「………でも…………。」


……まだダメか。それなら……


「じゃあこうしよう。ティファは僕のことを信じて?」


「リューを………?」


「うん。それで僕は、ティファが2つ目の合成魔術を習得することを信じる。これでいいんじゃないかな?」


………あれ?なんかどこかで聞いたことあるような事言ってるな、僕。


「………」


しばしの間、お互いに無言となる。


再び口を開いたのはティファ。



「……………分かった。私はリューを信じる。リューは私の魔術を信じて。」


「よし。それで良い。騙されたと思って、僕の事信じ切っちゃってよ!」


「……うん、ノアの方舟に乗った気分で居る。」


「スケールでっか!!僕にそこまでの許容量はないからね!?」


というか、こっちにもノアの方舟の概念ってあったんだ………?


「………とにかく、そんな感じの気分で頑張るから」


「そっか。………それじゃ僕はこれで。また合流したときに」


ティファと別れて、僕は再び館内を歩き出した。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





「お、ここから固有魔術なんだ。」


本棚に書かれた文字を見ながら独り言を洩らす。



あ、独り言ついでに固有魔術の説明でもしておこうか。



固有魔術というのは、その名の通り、普通の人が使える魔術ではない。限られた人のみが得る、特別な魔術だ。


固有魔術は血縁者に伝わっていくものが多い。例外として、突然変異的に生まれ持ったものと、後発的に顕現化したものとがあるが。


ああ、例外と言ったが、後発的なものは本当に例外中の例外、というか過去に1人しか存在しない事例。


それは誰か。



答えは簡単、歴代勇者だ。




ちょっと脇道に逸れ気味だったけど説明終了。


以上の事は母さまに聞き教わった知識だ。僕が5歳だった時点では(使えないから正直要らない知識だから)教わらなかったが、数年の後に聞いたことである。


その時の母さまはやたらとこと細かに説明をしてきたので、予想ではあるが僕は母さまも固有魔術を使えるのでは?と思っている。



本棚の文字を見ながら移動していく。


翻訳魔術………呪法魔術………反射魔術………超速再生魔術………時空魔術………予知魔術………創造魔術等々。




余談だけど、初代勇者の固有魔術は創造魔術だったらしい。


聖剣とかポンポン出しまくって、魔王討伐は魔王と戦い始めて5分くらいで片が付いたって話だ。


無理ゲーですか?チートですよ?



まあ、固有魔術は僕には正直関係ない。


用があるのはここ、『無属性魔術』の本棚だ。




∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





無属性魔術とは何か。



その名の通り、属性の無い魔術のことだ。


種類としては、転移魔術・石化魔術・操作魔術・強化魔術などが主なものとして挙げられる。


え?いつぞやの説明の時言ってなかっただろ、だって?


………あれは単に母さまが『自分は使う必要性がないから存在を忘れていた』という酷い理由で言い忘れていたらしく、1年と少し前くらいに僕はきちんと説明を受けている。


………とは言っても、概要だけしか知らないんだけど。


僕の目当ては身体強化魔術。母さまはエルフだから基本的に身体能力は高く、強化魔術を使う必要性があまりないから知らなかったようで、自分で覚えるように言われた。




説明に説明を重ねているうちに、目的地に着いたようだ。


さて、身体強化魔術の本を探すとするかな。



9/8 地味に加筆修正

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