第23話 図書館へ
どうも。
1日の話に何話使う気なんだろうと自問自答を始めそうな今日この頃です。
「すみませーん」
会計を済ます為に、店員兼店長兼職人であるナタリーさんに声をかける。
程なくして、店の奥からナタリーさんが現れる。
「どうしましたか?何を壊したんですか?」
「………なんで壊したこと前提で話しかけてくるんですか?」
「壊したなら即金買取でお願いしますよ?」
「……いや、壊してませんから!?」
「壊した人に限ってそういうことを言うんです………世の常ですよ。」
「虚しそうな表情でなに意味分からないこと言ってるんですか!?」
「………………えっと………いいですか?」
ちっとも話が進まないこの場で、リーナが恐る恐るナタリーさんに声をかけた。
「はい、どうなさいましたかお客様?」
「え、あ、これ………買いたいんですけど」
言いつつ、件のブレスレットを指差す。
「竜の息吹……でございますね?試しにお付けになられますか?」
「え?いいんですか??」
「ええ。試着なさらないとサイズが合わないこともあり得るので。合わなかった場合は調整に数日かかる場合があります………まあ、恐らくその心配は無いとは思いますが」
えっと…………
…………これ…誰…………??
なんでリーナが話しかけた途端によく訓練された店員に一変したの……!?
さっきの僕への対応と差がありすぎだよね!?天と地程に違いすぎでしょ!!
そんな事を考えているうちに、リーナはブレスレットをはめていた。
「あ、丁度良い感じです!!………どうして大丈夫って分かったんですか?」
リーナが声を上げたのち、質問する。
「ここにある魔道具は全て私の手の太さなどを基準にして作ってあります。お客様と私の手首はほとんど同じくらいだと判断して、ああ言ったんです。」
なるほど。流石は店員兼店長兼職人、客をしっかりと観察してる。これはなかなかスゴ………い…けどそのドヤ顔はやめてほしい。
「……サイズが合って良かった。じゃあ、会計を済ませたいんですけど」
「そうですね。これは…ええと…………ああ、436000ニルでしたね。」
「ですね。あ、ちょっと待ってください」
そう言いつつ、僕は財布を取り出すために荷物を漁る。
「………貴方が支払うのですか。…………あれ?本当の値段は100万くらいだったような気がしてきましたよ?」
「いやいや、なにぼったくろうとしてるんですか!?」
「………すみません、間違えました。45万でしたね。」
「は……いや、結局違いますから!!はい、これで丁度ですよね?」
きっちり436000ニルをナタリーさんに手渡す。
ナタリーさんは何故かそれを不思議そうに見ていた。
カチカチ、と硬貨同士を軽く打ち合わせ、呟く。
「これは………木の葉じゃあありませんよね?」
「僕を何だと思ってるんですか!!?」
「え、狐の子じゃないんですか?」
「手袋買いに来てるわけじゃないですからね!?」
「ほら、早く人間になってない方の手を出して下さいよ」
ちょっとこの人僕をからかいすぎ……。ていうかなんでその童話を知ってるんだろう。
「………何の話かよく分からないけど……もう支払いは完了ってことで良いんですよね?」
リーナが苦笑いをしながら言う。
「ええ。お買い上げいただき、ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ。こんなかわいい魔道具を買えて嬉しいです。」
ナタリーさんとリーナが、互いにペコペコと頭を下げ合う。
「それじゃあリーナ、そろそろ行こっか。」
声を掛けると、リーナはうん、と返事をして僕と共に出口へと向かう。
「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております。」
「はい、また来ますね!!」
「次は他の店員が居るときにぜひご来店くださいねー」
「え、どうしてですか?」
ここで、僕が口を挟む。
「それは、めんど……いえ、私は接客よりも製造や修繕などに専念したいですから。」
……結局本音出てる。
「……それに……今のあなたが私に出来ることは何一つ無いもの」
?
「え?何か言いました?」
「いえ、何も。」
ん?最後に何か言ったように聞こえたんだけど。………聞き間違いかな?
微かな疑問を残しつつも、僕たちは店を後にした。
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店を出てすぐ、近くで昼食をとったがそこは割愛させていただく。
決して作者が「面倒くさい」なんて事を思ったからではない、とここに断言しておく。
昼食を終えた頃には2時少し前くらいで、これからの時間はどうする?という話に。
話し合いの結果、図書館でエルとティファに合流、ということになった。
「(ひっろ……………)」
図書館に着いて中に入るなり、その広さに思わず感嘆の声を洩らした(小声で)。
リーナも来たのは初めてのようで、興味深そうにキョロキョロと周囲を見回している。
さて、エルとティファを捜さないと。
まずは休憩スペース。ここは別に本を読まなくても気軽に居られる場所らしい。
エルが本を読む、なんてイメージが湧かないので真っ先にそこを捜す。
幾つかのテーブルがあり、その周りのソファには老若男女、様々な人々が座っている。
あ、エルが居た。
………怖いわー。予想通り過ぎて、怖いわー。
奥の方のテーブルに突っ伏して寝ているエル。
リーナと共にテーブルに近づき、起こすためにデコピンを見舞った。
「……いでっ……お……ああ…?」
半分くらい寝ぼけ眼のエルに話しかける。
「おはよー。ほら、寝ぼけてないで目ぇ覚まして。僕らが分かる?」
「あー…………っとー……………美少女が2人見える………。」
「リーナが2人に見えるとか………ダメだこいつ、早く何とか………あ、お目覚めの雷魔術でもあげようか?」
雷魔術、と聞いた途端、エルの態度が一変して明瞭に喋りだす。
「……お、お前ら結構早かったな。リーナの用事はもう済んだのか?」
「ふふ、バッチリなのです!!」
リーナがよく分からないテンションとキャラで、ブレスレットをつけた左腕を突き出した。
「ほー。なかなか細かい細工がされてんな、それ。結構値が張ったんじゃねえか?」
「えっとー……、奢って貰っちゃいましたっ!!」
親指を立てた拳を出し、笑顔でそう言う。
「へえ、良かったな。リュー、お前って良い奴だなあ。」
エルはしみじみとした感じの言い方で呟いた。
「……面と向かってそんな事言われるとなんか変な感じがするよ。……それより、ティファは?」
「ん?あー……、あいつは多分まだ魔術書架の方に居るんじゃねえのか?」
魔術書架……?文字通りの意味なのかな?
「っと、魔術書架って言っても解んねえか。……まあ、俺もあんまり詳しく知らねえけどさ、入門から論文とか実用書まで、魔術関連の本が所狭しと並んでるらしい。王都の書架は所蔵量が他とケタ違いらしくてさ、時間にゆとりがあるときに来たいって前々から言ってたんだよ、あいつ。」
「そうなんだ。………そうだ、この際だし私も見ていこうかな?魔術書架。」
「じゃ、僕も行こうかな。自分の為になるような本探してみるよ。」
………となると、エルはまたしても留守番か。
「おう、行ってこい行ってこい。俺はもう一眠りするわ」
そう言うと、エルは再び机に突っ伏した。
「………行こっか…。」
リーナが呆れたように言って、僕達は魔術書架の位置を確認しに歩き出した。
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魔術書架に入るには1万ニルを必要とした。タダで魔術関連の書物を閲覧されては、図書館の運営がままならないらしい。
それぞれの本棚には魔術の属性や系統ごとに文字が書いてある。
『光魔術・光源系』 『光魔術・浄化系』等が目に入るので、ここは光魔術のコーナーのようだ。
『光魔術・治癒系』の棚の前でリーナが立ち止まった。
「私、この辺り見ていくね?」
「うん。僕はもう少し散策してみるよ」
一言ずつ言葉を交わし、僕は再び歩き出す。
3、4分歩いたあたりで棚を見ると、『これより合成魔術』と書いてあった。今までの場所でティファを見かけていないので、恐らく彼女はここに居るだろう。
確かティファが使える合成魔術は……氷魔術だったはず。
ちなみに合成魔術は、通常ひとつの属性に絞って習得するらしい。理由はその制御の困難さにあり、その制御に失敗して暴発して怪我をする者も多いという。
そんな合成魔術を、ティファは自分が今使っているものを応用しようとしているのか、それとも新しく別のものを覚えようとしているのか。
―――答えは恐らく後者だろうが。
『毒魔術』 『分解魔術』 『透視魔術』 『解析魔術』 ……等々、多種多様な合成魔術があるようだ。
分解魔術とか、失敗したら悲惨なことになりそうだ…………。体の一部を分解してしまってスプラッタ………なんて、考えるだけでも身震いがする。
なかなか自分が興味のあるものが見つからないまま進むうちに、『重力魔術』と書いてある棚の奥で僕はティファの姿を見つけた。




