正体
ゲーム終了。終わったところで俺は大きく伸びをした。久々にやり甲斐のあるゲームで楽しかった。
そんな頃、篠宮たちが目を覚ました。紅ヶ丘のメンバーは明るい表情。蒼ヶ丘のメンバーは暗い表情をしていた。これは結果がどうなったか一目瞭然である。
「まさか、負けるなんて……」
高坂が俯き加減にそう言った。よほど自信があったのだろう。結果として勝てたから良かったものの、試合は恐らく壮絶なものだったはずだ。
「あ、白石。来てるんなら参加してくれよ!」
短髪の生徒がそう言う。しかし、その白石もさっきから黙り込んだままだ。まあゲーム中も静かだったけど。
「負けた……」
黙っていた白石が口を開いた。しかし、その声はさっきまでの覇気はこもっていない。
「うそ……副部長が負けたの?」
蒼ヶ丘の一人がそう言う。そこまで驚く事なのだろうか。みんな揃って白石のスマホを見に行く。そして驚きの表情を見せた。
「進藤。何やってたんだ?」
「ストームバレット」
「勝ったのか?」
「まあな」
そう返すと、白石が立ち上がり、俺に向けてこう言った。
「自分で言うのもなんだが、私はゲームが得意だ。けど、今回の試合、二十点さもつけられた。しかも、お前はそのチームの三分の一のキルを稼いでいる」
さっきまで片言だった彼女がこんな長々と話をするので内心戸惑いつつ話を聞く。
「何者なんだお前」
「何者って言われても……ただのゲーマーとしか……」
「ただのゲーマーじゃないだろう。その反応速度がその根拠だ」
「と言われても……」
そう答えると、白石は遠くの何かを見つめ、過去の話をしだした。
「半年前、バトルアリーナのフリーワールドでプレイヤー狩をしてた時、一人のプレイヤーに瞬殺された。そのプレイヤーの名前を今日まで忘れる事はなかった」
ゴクリと唾を飲み込む。一体そいつは何者なのだろうか。ストームバレットをやって分かったが、こいつもなかなかの実力者だ。そいつを瞬殺するプレイヤーは只者ではない。
「プレイヤーネームはシュウ。ランキング七位の実力者だ」
(俺じゃん……)
自分への評価を恥ずかしがりつつ、驚く。俺は半年前、こいつを殺している。
「そして、お前の反応速度は半年前に体感したそれとよく似ている」
「何が言いたい」
「お前も薄々気づいてるだろ。私が言いたい事が」
そう言うと彼女は俺の目をしっかり見て、その言いたい事を言った。
「お前が、シュウなんだろ」
白石はもう確信していた。俺がシュウである事を。俺はイエスと答えるかどうか迷ったが、その前にこんな返しをした。
「し、証拠はあるのかよ?」
探偵物のアニメや漫画で良くある犯人が追い詰められている時に言うセリフ。いわゆる死亡フラグだ。今回ばかりはそのフラグが回収されないように祈るが。まあオチはいつも決まっている。
「証拠とまではいかないが、お前のストームバレットのプレイヤーネームはシュウだぞ」
死亡フラグが回収された。
「な、何かの間違いだろ」
「もういいよ、篠宮」
篠宮がそう弁護してくれたのはありがたいが、もう遅い。隠し等せなくなった以上、もうバラすしか手がない。
「俺はシュウだ」




