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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
12.特大掲示板

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2.投稿のトリック

「真中を殺したのは誰なんでしょう?」

 小坂刑事が訊ねる。

「真中を殺したのは、十中八九、石動いするぎでしょうね」

「ですが、石動にはアリバイがありますよ?」

「そこなのよね。アリバイが崩せれば逮捕に踏み切れるんだけど……」

 聡美と小坂刑事は現場に戻った。

「真中は亡くなる直前に掲示板に投稿をした。それがトリックであれば……」

 聡美は鑑識に訊ねる。

「鑑識作業中にパソコン付近に何か落ちていたりしてませんでしたか?」

「ああ、スマホが落ちてましたよ」

「電源は?」

「OFFの状態でしたね」

「そのスマホは?」

「被害者の遺留品として押収しました」

「スマホの中が見たいんだけど?」

「署に届けてあるから、ご自由にどうぞ」

 聡美と小坂刑事は警視庁の鑑識課へ行き、被害者のスマホを確認した。

 電源を入れる。

 当然、パスコードが設定されていた。

我妻あがつまくん」

 小坂刑事が鑑識課の我妻にスマホのロック解除を頼む。

 我妻はスマホをパソコンに繋ぎ、いとも簡単にロックを解除してみせた。

 聡美は受け取ったスマホを確認する。

 アラーム。午前三時三十二分に鳴動する仕掛けになっていたが、しかし、OFFになっていたのだから、当然機能するわけもない。

 聡美はスマホを置きかけ、再度チェックする。

「もしかして!」

 スマホを操作し、タイマーを確認すると、午前三時三十五分に電源が落ちるように設定されていた。

「そうか! 石動のアリバイが崩れたわ! もう一度行きましょう!」

 聡美と小坂刑事は、石動の家を訪ねた。

「今度はなんです?」

「真中さん殺害の犯人がわかったんですよ。真中さん殺害の犯人は、真中さんを殺害後、真中さんが掲示板に投稿したように装いました。その投稿はスマホのアラームを使ったトリックで、アラームは午前三時三十二分に起動するように設定されていました。そして、電源OFFのタイマーを使って、スマホの電源を午前三時三十五分に落とす。たったこれだけで、真中さんが掲示板に投稿するまで、生存しているかのように見せかけたのですよ」

「へえ。で、犯人は誰なんですか?」

「石動さん、真中さんを殺害したのは、あなたではないかと我々は見ているんですよ」

「なんですって?」

「石動さん、部屋を調べさせてもらいますよ」

 聡美が石動の部屋に上がり込む。

「おい! なに勝手に入ってんだよ!?」

 部屋を調べると、返り血のついた洋服を見つけた。

「石動さん、この血のついた服はどう説明するんですか? 被害者の血液と照合してみますか?」

「くっ……」

 石動はその場に崩れた。

「あいつが、あいつが俺のサイトを掲示板で馬鹿にするから。ネットウォッチに載せやがって!」

 聡美は石動に手錠をはめ、事情聴取をして送検をした。


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