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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
12.特大掲示板

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32/33

1.インターネット殺人事件

 インターネット掲示板を閲覧している男性。その背後に、賊が立っていた。

 賊は部屋にあった灰皿で、男性の後頭部を叩きつけ、殴殺した。

 辺りに血が飛び散る。

「はあ……はあ……」

 賊は我に返ると、被害者を殺してしまったことに焦る。

(捕まりたくない……そうだ……!)



 とある朝。

 新聞配達員がいつものように契約者の家に配達に来ると、昨夕の新聞が郵便受けに残っていた。

 不審に思った配達員が警察を呼び、共に家に入って中を調べると、パソコンのデスクにうつ伏せになった状態で死んでいる男性・真中まなか 智久ともひさを発見した。

 遺体は後頭部を一撃で殴打されており、これが致命傷となったのであろうと推測される。

 パソコンの画面には、某特大掲示板のスレッドが映っていた。

 被害者が最後に書き込みをした時刻は午前三時三十二分だ。

 警視庁の小坂刑事が鑑識に訊ねる。

「死亡推定時刻は?」

「詳細は解剖してみなきゃわかりませんが、午前三時から午前四時の間でしょう。掲示板の投稿も考えると、もう少し短くなるかもしれません」

「なるほど、被害者は亡くなる直前にインターネット掲示板に投稿していたのですね」

 と、聡美が現れて発言する。

「おや、坂上さんじゃないですか」

「すみません。通り掛かったらパトカーが見えたもので。お邪魔でしたか?」

「いえいえ。坂上さんにはいつも助けられてますんで」

 聡美は手袋をはめると、パソコンの画面をスクロールする。

「小坂刑事、これを見て下さい」

 と、聡美が指差した投稿を、小坂刑事が見る。

「自作自演?」

「恐らく、これではないでしょうか?」

 聡美が掲示板の投稿者のIDの部分を指差した。

「同じID?」

「この手の掲示板はIPアドレスを元にIDを生成し、日付が変わるまで同一IPで書き込んだものは、同じIDで投稿される仕組みになっているんですよ。気になりますね、このIDの持ち主」

「運営を当たってみましょうか」

 聡美と小坂刑事は某特大掲示板の運営元を訪ね、問題のIDのIPアドレスを開示してもらった。そして、プロバイダーへ問い合わせ、その連絡先を得る。

 連絡先は、被害者の友人でもある石動いするぎ 慶太けいたの現住所だった。

 インタホーンを押すと、眠そうな顔をした石動が出てくる。

「こういうものです」

 聡美が手帳を提示する。

「探偵?」

「はい。真中さんのことはご存知ですね?」

「真中がどうかしたの?」

「先ほど、遺体で発見されました」

「真中が?」

「現場の状況から見て、他殺の線が濃厚です。これは皆さんに聞くことなんですが、石動さん、午前三時から四時の間、どちらに?」

「部屋で寝てました。そんな時間に起きてる人なんてそうそういないのでは?」

「確かに。では、真中さんを恨んでいる人物にお心当たりは?」

「いえ、特には……」

「そうですか。どうもありがとう。では」

 聡美と小坂刑事は石動の家を離れる。

「犯人、絶対逮捕して下さいよ!」

 背後で石動が叫ぶ。

 聡美と小坂はアパートの警備会社を訪ね、石動が防犯カメラの動画に映っていないか、確認した。

 石動は午前二時五十分に帰宅し、それからは一回も姿を見せていない。

 一応、アリバイは成立したようではあるが……。


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