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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
11.カラオケ店殺人事件

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2.解消

「あなたは先ほどの?」

「ヒトカラ中すみませんが、少しお話を」

 聡美は男性に手帳を提示する。

「探偵?」

「まず、あなたのお名前をお伺いしたいのですが」

稲垣いながき 康太こうたです」

「では、稲垣さん、11時30分から12時30分までの間、なにしてました?」

「この部屋で歌ってたけど……一度、トイレ行ってるね。そこで君と会った。……うん? 死体が見つかったって、そういうこと?」

「というと?」

「アリバイを聞くってことは、女子トイレで殺人事件が発生したから。そして僕は容疑者として浮上しているわけだ」

「いや、まだ容疑者……」

「そう言うことでしょ? 僕はこう言うものだ」

 稲垣が警察手帳を提示した。

「警察官なんですか?」

「ああ」

 そこへ小坂がやってきた。

「所属部署はどこですか?」

「言っていいのかな?」

「どういうことですか?」

「いや、秘匿性の高い部署ですから」

「なるほど、公安委員会ですか」

 と、聡美。

「……!」

 驚く稲垣。

「警察で秘匿性の高い部署と言ったら、ゼロしかないですよ。公安って刑事警察にはできない、違法捜査も許されてるって本当なんですか?」

「いや、それは……」

「捜査対象にはなにしてもいいんですよね?」

「えっと……」

「怖いな、公安。絶対敵に回したくない」

「そんなことより、事件の捜査の方は?」

「ああ、そうでした!」

 聡美は手を一回叩く。

「小坂さん、被害者の交友関係どうなってます?」

「人に恨まれるようなことはしてないですね。殺害の動機を持つ人物も浮上してません。ただ、磯貝という人物がいるんですが、その人物と連絡が取れません」

「連絡先は?」

「被害者の携帯に登録されていた磯貝という人物の番号です」

 聡美にメモを渡す小坂。

 聡美はその番号に電話するが、「おかけになった電話番号は現在使われていません。番号をお確かめになってもう一度おかけ直し下さい」とのアナウンス。

「小坂さん、これ着信履歴の方はどうなってます?」

「そういえば、今回の事件の直前に被害者の携帯に着信がありましたね。念のため発信元調べましたが、ここ半年、誰も契約していないそうです」

「発信元の偽装、ですね」

「偽装?」

「となると、磯貝も偽名かもしれません」

「捜査は難航しそうだな……」

 と、呟く小坂。

 聡美は小坂に耳打ちした。

「え? 本気で言ってます?」

「ええ、本気ですよ」

 小坂は聡美の指示で走り去っていった。

「彼、どうされたんですか?」

「いえ、ちょっと」

 しばらくして、聡美の携帯に小坂からメールが届く。

「稲垣さん、磯貝さんというのは、あなたですね?」

「え?」

「磯貝というのは、公安活動を行うときに使うあなたの二つ名です。被害者の名取さんは、あなたとはいわゆる協力関係にある人物です。しかし、何らかの経緯いきさつで関係がこじれ、あなたは名取さんを殺害した。今し方、あなたの自宅のパソコンを調べてもらいましたが、ダークウェブにアクセスした形跡がありました。磯貝の番号への偽装も、そこで行ったようですね」

「……………………」

 小坂が駆け足で戻ってきた。

「稲垣さん、言い逃れはできませんよ。証拠は揃いました。署までご同行願えますか?」

「くっ……!」

 稲垣は膝をついた。

 署に連行された稲垣は、取調室で犯行を認めた。

 名取殺害の動機は、協力関係を解消したいと持ち掛けられたからである。

 犯行用にクロロフォルムを用意し、事前に磯貝の名でダークウェブから発信しておき、カラオケ店に入店してヒトカラの手続きをしてから被害者を呼び出し眠らせ、アイスピックで頸椎を損傷させ、窒息死させたのだという。

 稲垣は送検され、起訴される予定だという。


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