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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
7.奇妙な事件

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21/33

1.怪死の始まり

 シトシトと雨が降っている。

 坂上探偵事務所のデスクで、聡美がコーヒーをすすりながら、テレビのニュースを見ている。

 ニュースでは、遠方で起こった連続怪死事件を報じていた。

「怪死事件、か」

 一体どんな事件なのだろうか、と興味を抱く聡美だったが、現場へは行く気にはなれない。

「失礼しまーす」

 女性が事務所に入って来た。

 聡美はテレビをオフにすると、女性をソファに促した。

「お名前をお伺いしましょう」

福田ふくだ 恵子けいこです」

(福田?)

 聡美は先ほどのニュースに映っていた福田ふくだ 紀夫のりおという名前を思い出す。

「もしかして、福田 紀夫さんのことで?」

「凄い! どうしてわかったんですか?」

「福田 紀夫さんの怪死事件がニュースで報じられていて、もしかしてと思ったんです」

「そうなんですね。やっぱりここにして正解だったわ」

「ん?」

「いや、なんでもないです。早速ですが、調査の依頼をしたいのですが……?」

「紀夫さんの怪死事件の調査ですか?」

「それもお分かりなんですね!」

「構いませんよ」

「ありがとうございます! これ、前金です」

 依頼人の恵子が小切手を取り出した。

「一……十……百……一億!?」

「主人の死の真相、これで調べてくれませんか?」

「い、いいですけど、こんなにいただけないですよ!」

「そんなこと言わずに受け取って下さい。あなただけが頼りなんです。成功報酬はプラスもう一億」

「なんでそんなにお金が?」

「主人は生前、宝くじで一等を当てたんです」

「宝くじで一等を?」

「はい。二億渡しても、まだ五億くらい残りますが、私にはそれだけで十分です」

 聡美は小切手を懐にしまった。

「こちらに連絡先の記入を」

 メモ帳とボールペンを差し出す聡美。

 恵子が住所と電話番号を記入する。

「それでは、調査に入らせていただきます」

「本当にありがとうございます」

 恵子は事務所を後にした。

 聡美は支度をすると、車で怪死事件のあった京都へ向かった。

 京都に着いた頃、あたりはすっかり暗くなっていた。

(眠い。宿でも探すか)

 聡美は旅館を探して回った。

 だが、いくら探しても宿が見当たらない。

「しょうがない」

 車をたまたま見つけた道の駅に止め、車中で野宿した。

 翌朝、京都府警に訪れ、連続怪死事件の捜査資料を確認する。

 捜査資料によると、体の内部にも外部にも目立った傷がなく、また病死といったこともなく、まるでショック死したような状態で遺体となって発見されたという、奇怪なものだった。

 聡美は捜査を担当した刑事に話を聞いた。

「殺人の可能性はないんですか?」

「ないと思いますよ。というか、外傷もなく何かを服用した訳でもないのに、どうやって殺せるっていうんですか?」

 ニュースでは警察は自然死で片付けたとのことだった。

「用はそれだけですか? 今、他の事件で忙しいから、用がないなら帰って下さい」

 聡美は京都府警を後にすると、一人目の遺体が発見された、閑静な住宅街の公園にやって来た。


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