## 第一話 # 「詩を書く青年とハイカラ娘」
# 『明治恋騒動!文明開化は恋の始まり!?』
## 第一話
# 「詩を書く青年とハイカラ娘」
明治十八年、春。
桜の花びらが風に舞う町を、一人の青年がのんびり歩いていた。
**石川新太郎、十八歳。**
町でも有名なお人好しである。
そして今――
橋の上で座り込み、真剣な顔でノートに何かを書いていた。
「うーむ……」
腕を組む。
悩む。
そして勢いよく書く。
> 『桜舞う。
>
> 団子食べたい。
>
> だが金がない。』
「よし!」
満足そうにうなずいた。
「我ながら名作だな!」
すると後ろから声が飛ぶ。
「どこがだよ!」
振り返ると親友の田辺健次がいた。
「健次か。」
「また変な詩を書いてたのか。」
「変じゃない。芸術だ。」
「芸術が泣くぞ。」
新太郎は笑った。
「いやはや、世の中は面白ぇな!」
「お前の頭の中が一番面白いよ。」
そんな会話をしていると――
ドンッ!
向こうから走ってきた少女と新太郎がぶつかった。
「あっ!」
「おっと!」
少女は持っていた本を落とした。
何冊も地面に散らばる。
新太郎は慌てて拾った。
「大丈夫か?」
「ええ。」
少女は袴姿だった。
長い黒髪。
知的な瞳。
どこか凛とした雰囲気。
新太郎は思わず見とれる。
「綺麗な人だな……」
「何か言いました?」
「いや、何も。」
少女は本を受け取った。
「ありがとうございます。」
すると新太郎は本の表紙を見る。
「難しそうな本だな。」
「勉強ですから。」
「へえ。」
少女はじっと新太郎を見る。
そしてノートに目を向けた。
「それは何ですか?」
「詩だ。」
「詩?」
新太郎は得意げに見せた。
少女は読んだ。
数秒後。
固まった。
さらに数秒後。
肩が震え始めた。
「……ふっ。」
「どうした?」
「ふふっ。」
「お?」
「ふふふふっ!」
少女は笑い出した。
新太郎は衝撃を受ける。
「そんなに面白いか!?」
「すみません……でも……!」
少女は涙を浮かべながら笑う。
「桜舞う、団子食べたい、だが金がない……なんですかそれ!」
「名作だぞ!」
「名作じゃありません!」
二人は言い合う。
健次は横で頭を抱えた。
「もう始まった……。」
少女はようやく笑いを止めた。
「私、桜井美鈴といいます。」
「俺は石川新太郎。」
「覚えておきます。」
「有名になるからな。」
「何でですか?」
「詩人になる。」
美鈴は真顔になった。
「その詩でですか?」
「その詩でだ。」
沈黙。
そして――
「無理です。」
「即答か!」
美鈴はまた笑った。
新太郎もつられて笑う。
春風が吹く。
桜が舞う。
不思議な出会いだった。
まだ二人は知らない。
この出会いが、
数え切れない騒動と、
友情と、
恋の始まりになることを。
新太郎は空を見上げた。
「いやはや、世の中は面白ぇな!」
美鈴は呆れたようにため息をつく。
「まったくもう!」
こうして――
石川新太郎と桜井美鈴の物語が始まった。
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## 新太郎の今日のポエム
> 『春風よ
>
> 桜は綺麗だ
>
> 団子もうまい』
健次
「お前、本当に詩人になる気あるのか?」
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## 次回予告
### 第二話
# 「女学校に潜入せよ!?」
美鈴に誘われ、女学校の文化発表会を見に行くことになった新太郎。
しかし男子禁制の校内で騒動発生!
迷子になった子供を探すため、新太郎はまさかの潜入作戦を決行!?
さらに、美鈴の意外な一面も明らかになる――。
> 新太郎
>
> 「いやはや、世の中は面白ぇな!」
> 美鈴
>
> 「面白くありません!」
次回もお楽しみに!




