第八十二話 反逆の狼煙
貴族派は、三日後の王の会議の場でクーデターを決行しようと企んでいた。
しかし、ヴァルガスとゼノンは異変を察知し、密かに準備を進める。
一方、ミリアも情報を集め、貴族派の計画を予測する。
そして、決行の日が訪れる——。
朝焼けが王城の屋根を照らし、バストリアの一日は静かに始まった。
しかし、その静けさは、嵐の前の静寂だった。
城の一角では、貴族派の兵たちが密かに動き出していた。
彼らはすでに内通者を潜り込ませ、城内に隠れた傭兵団が合図を待っていた。
「——すべては予定通りだな?」
「はい。王の会議が始まれば、一気に制圧します」
「ゼノンとヴァルガスが邪魔になるかもしれん」
「すでに、彼らを王から引き離す手は打ってあります」
「……よし、では始めるぞ」
そして——
城内に、第一の悲鳴が響いた。
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「敵襲だーーー!!!」
王城の回廊を警備していた王国兵が、何者かに襲われ、倒れる。
城門では、貴族派の騎士たちが王国兵士と激突し、戦いが始まった。
さらに、雇われた傭兵団が裏門から侵入し、城内の兵士たちを次々と討ち取っていく。
「王を殺せ!!!」
貴族派の指導者が叫ぶと同時に、傭兵たちが玉座の間へと向かっていく。
しかし、その前に——
「待ちな」
ヴァルガスが、剣を担いで立ちはだかった。
「やっぱり動きやがったな」
ヴァルガスはすでに戦闘態勢に入っていた。
背後には、ゼノンと王国騎士たちが並んでいる。
「ヴァルガス殿、やはり……!」
「まぁな。あいつらが企むことなんて、バレバレだったぜ」
ヴァルガスは軽く肩を回し、戦闘の構えを取る。
「さて……やるか」
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「邪魔するなら、貴様らも排除するまでだ!!!」
貴族派の兵士たちが、一斉にヴァルガスたちへ向かってくる。
「ゼノン、やれるか?」
「ああ。お前こそ、出し惜しみするなよ」
ゼノンが剣を抜き、ヴァルガスと共に突撃する。
ヴァルガスの戦いは、力強く豪快だった。
相手の剣を弾き、拳で吹き飛ばし、一撃で動けなくする。
一方のゼノンは、正統派の剣技で確実に敵を仕留めていく。
「チッ……こいつら、強すぎる!!」
貴族派の兵士たちは、次々と倒されていく。
「このままでは……!」
しかし、その時——
「援軍を呼べ!」
貴族派の指導者が叫ぶと、背後の扉が開き、大勢の傭兵が姿を現した。
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「チッ……数が多いな」
ヴァルガスが舌打ちをする。
傭兵たちは戦闘慣れしており、王国兵よりも手強い相手だった。
「ヴァルガス、ゼノン様!!!」
その時、ミリアが駆け込んできた。
「このままでは、戦線が持ちません! 何か策を……」
ヴァルガスは歯を食いしばる。
「こうなったら、城門の外へ敵を誘い出すしかねぇ」
「そんなこと、どうやって……」
その時——
「ガウゥゥゥ!!!」
鋭い咆哮が響いた。
フェンが、猛然と突撃し、敵の列を切り裂くように駆け抜ける。
「フェン!!」
「グルル……!」
フェンはミリアの側に戻り、低く唸る。
「お前……やる気満々だな」
ヴァルガスはにやりと笑い、剣を振るった。
「よし、フェン、お前はミリアを守れ。俺たちは、このまま敵を迎え撃つ!」
「……わかった!」
ミリアは短剣を握りしめ、フェンの背に身を寄せる。
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戦いは激化し、ヴァルガスとゼノンは城の防衛線を維持しながら、敵を押し返していく。
しかし、傭兵団の力は侮れず、王国兵たちは次第に押されていく。
そんな中——
「ゼノン、左だ!!」
ヴァルガスが叫ぶ。
ゼノンが素早く身を引くと、傭兵の一撃が空を切る。
「助かった」
「気にすんな」
ヴァルガスは剣を振り上げ、敵を薙ぎ払う。
ゼノンはそんなヴァルガスを見ながら、静かに呟いた。
「お前……本当に頼りになるな」
ヴァルガスは片手で剣を回し、にやりと笑う。
「そりゃどうも。俺は俺のやり方で、こいつらを片付けるだけだ」
戦いはまだ終わらない。
しかし、ヴァルガスとゼノンがいる限り、王城は簡単には落ちない。
ついに、貴族派のクーデターが勃発した。
ヴァルガスとゼノンは共闘し、王城を守るために奮闘する。
フェンとミリアもまた、戦いの中で重要な役割を果たしていく。
だが、傭兵団の力は侮れず、戦いは激しさを増していく——。
次回、王城防衛戦、決着へ!