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第八十三話 血を抜く槍

貴族派の反乱が勃発し、王城は戦場と化した。

ヴァルガスとゼノンは共闘し、貴族派の兵士や傭兵団を次々と撃破する。

しかし、戦いの最中、彼らの前に恐るべき魔獣が姿を現す——。


王城の大広間に、不気味な咆哮が響き渡った。


「……何だ、あれは……?」


王国兵たちが恐怖に震える中、闇の奥から姿を現したのは、黒い鱗に覆われた巨大な魔獣だった。

三つの頭を持ち、それぞれが血のように赤い眼光を輝かせている。

貴族派が最後の切り札として解き放った魔獣——"ダーク・ハイドラ"。


挿絵(By みてみん)


「バケモンまで用意してやがったのか……!」


ヴァルガスが歯を食いしばる。


ゼノンは剣を強く握りしめ、一歩前に出た。


「ここで止めなければ、王も、この城も終わる……」


ゼノンは決意を固め、ダーク・ハイドラへ向かって突撃した。


---


「おおおおお!!!」


ゼノンは渾身の力で剣を振るい、ハイドラの右側の首に狙いを定める。


だが——


「くそっ、硬い……!」


剣が鱗に弾かれ、かすり傷すらつかない。


「ならば……!」


ゼノンはすぐに狙いを変え、魔獣の関節部分へと斬撃を放つ。


「そこなら……!」


剣が関節の隙間に食い込み、ダーク・ハイドラがわずかに身をよじる。


しかし、その瞬間——


「グアアアアア!!!」


ハイドラの中央の首が素早くゼノンに襲いかかる。


「くっ……!」


ゼノンは咄嗟に防御の姿勢を取るが、魔獣の尾が彼の胴体を薙ぎ払った。


挿絵(By みてみん)


「ぐあああっ!!!」


ゼノンの体が宙を舞い、城壁に激突する。


「ゼノン様!!」


騎士たちが駆け寄ろうとするが、ハイドラの鋭い咆哮がそれを阻んだ。


ゼノンは血を吐き、剣を杖にして立ち上がろうとするが、膝が崩れる。


(……ここまでか……?)


しかし——


「お前、勝手に諦めてんじゃねぇ!!!」


ヴァルガスがゼノンの前に飛び込み、ダーク・ハイドラの次の攻撃を防いだ。


---


ヴァルガスは腰に差していた槍を取り出した。


「アレンから貰った"血抜き槍"……こいつを試させてもらうぜ」


ゼノンは槍を見て驚愕した。


「なんだ、その武器は……? 見たことがない……」


「説明してる暇はねぇ。やるぞ!!」


ヴァルガスは槍を構え、ダーク・ハイドラへ突撃した。


「おらああああ!!!」


槍の先端がハイドラの鱗の隙間を貫き、その瞬間——


「グギャアアアア!!!」


魔獣の体内から、大量の黒い血が噴き出した。


「効いてる……!?」


ゼノンが目を見開く。


ヴァルガスは槍を深く突き刺し、さらに血を抜く。


「どんなに硬かろうが、血を抜けば弱る!!」


ダーク・ハイドラの動きが徐々に鈍くなっていく。


しかし、それでも魔獣はなお立ち上がり、ヴァルガスを吹き飛ばそうとした。


「フェン!!」


ヴァルガスの叫びに応じ、フェンが猛然と飛びかかる。


挿絵(By みてみん)


「ガウゥゥゥ!!!」


フェンはダーク・ハイドラの首に噛みつき、動きを封じる。


「今しかねぇ!!!」


ヴァルガスは剣を握りしめた。


---


ヴァルガスはダーク・ハイドラの胸へ剣を突き立てようとする。


「終われえええええ!!!」


しかし——


「なっ……硬すぎる!!」


剣があと一歩のところで止まる。


皮膚が異様に硬く、突き通せない。


「クソッ……!!」


ヴァルガスが全力で押し込むが、剣は貫通しない。


その時——


「ヴァルガス!!!」


ゼノンが後ろから駆け寄り、ヴァルガスの背を支える。


「共に押し込むぞ!!!」


「……おう!!!」


二人は同時に力を込め、剣を押し込んだ。


「これで……終わりだああああ!!!」


剣が、ダーク・ハイドラの心臓を貫いた。


「グギャアアアアアア!!!」


魔獣の叫びが響き、血が噴き出す。


フェンは牙を離し、ヴァルガスとゼノンは剣を深く突き立てたまま、その場に倒れ込んだ。




挿絵(By みてみん)




「……終わった……のか?」


ゼノンが息を荒げながら呟いた。


「どうやらな……」


ヴァルガスは剣を引き抜き、ぐったりとした体を引きずりながらフェンの頭を撫でる。


「お前も、よくやったな」


フェンは満足そうに鼻を鳴らした。


ミリアが駆け寄り、涙を浮かべながら叫ぶ。


「ヴァルガス!! ゼノン様!! よくやったわ!!!」


ゼノンはヴァルガスの肩を叩き、微笑む。


「お前には、何度も助けられたな……」


ヴァルガスは鼻を鳴らし、笑った。


「まったく、世話の焼けるやつだぜ」


二人は互いに笑みを交わし、戦場を見渡した。


「さぁ……後始末といこうか」


戦いは、終わった。


---

ヴァルガスとゼノンはダーク・ハイドラとの死闘を繰り広げ、ついに勝利を掴む。

血抜き槍の力で魔獣を弱らせ、最後は二人の力で心臓を貫いた。

バストリアの危機は終焉を迎え、王城には再び静寂が戻る——。

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