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第五十七話 バロッグ・タイラント討伐

ヴァルガスの処刑まで、残された時間は二日。

しかし、彼を救うには、最強の騎士アルデンを倒さなければならない。

アレンは己の力をさらに高めるため、ある決断を下す。

アレンはギルドマスターの部屋を出ると、そのまま受付へ向かった。


「今ある依頼で、最もランクの高いものは何だ?」


受付の女性は驚いたように目を瞬かせた。


「……最高ランクの依頼、ですか?」


「ああ」


彼女はしばらく躊躇ったが、やがて棚から一枚の依頼書を取り出す。


「現在、最も危険度が高いのはバロッグ・タイラントの討伐です」


アレンはその依頼書を手に取った。

バロッグ・タイラント——聞いたことのない名前だった。


「どんな相手だ?」


「バロッグ種の中でも最上位に位置する個体です。

 体長は優に五メートルを超え、異常な筋力と再生能力を持つと言われています。

 知能も高く、普通のバロッグよりも戦闘に長けているとか……」


受付の女性の表情には明らかな不安が浮かんでいた。


「この依頼は、本来なら軍を率いて討伐するレベルのものです。

 単独での受注は……おすすめできません」


アレンは依頼書を見つめながら、静かに言った。


「これを受ける」


彼の言葉に、周囲の冒険者たちがざわめいた。


「おい、今こいつ、何て言った?」


「単独で、バロッグ・タイラント討伐?」


ギルド内の冒険者たちが、一斉にアレンを見た。


「お前、正気か?」


「軍が動くレベルの案件だぞ?」


誰もが耳を疑った。


アレンは静かに笑った。


「心配はいらない」


受付の女性は戸惑いながらも、アレンの真剣な眼差しを見て、覚悟を決めた。


「……分かりました。では、正式に受注処理を行います」


「討伐対象の居場所は?」


「バストリアから東にある、天籟の森(てんらいのもり)と呼ばれる地域に棲息しています」


「天籟の森……」


アレンは地図を思い浮かべた。

確かに、東の山岳地帯には、強力な魔物が生息する危険区域があった。


「それで、最近目撃されたのは?」


「三日前、探索隊が接触しました。しかし、一撃で隊の半数が壊滅し、

 生還した者も全員、重傷を負って逃げ帰ったそうです」


受付の女性の声には、明らかな恐怖が滲んでいた。


「それでも行くのですか?」


アレンは小さく笑った。


「行くさ」


最強の騎士アルデンを倒すために。

ヴァルガスを救うために。


それまでに、もっと強くならなければならない。


アレンは、天籟の森へと向かう準備を始めた。


---

ヴァルガスの処刑まで、残り二日。

アレンは己の力を高めるため、最も危険な依頼「バロッグ・タイラント討伐」を受ける。

誰も成功したことのないその討伐を、彼は単独で挑もうとしていた。

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