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四十八話 夜明けの逃亡

バストリアの屋敷から、ミリアを救い出したアレン。

しかし、騒ぎが広がる前に街を抜け出す必要があった。

ユイを背負い、ミリアを抱え――アレンは疾走する。

「……見つかる前に抜けるぞ」


アレンは、ユイを背に回し、ロープでしっかりと固定する。


「えっ、ま、待っ……!」


ユイは驚くが、アレンはミリアの方に向き直った。


「ミリアさん、すみません、失礼します」


「えっ、ちょっ――」


ミリアを抱きかかえると、アレンは一気に駆け出した。


「えぇぇええええ!?」


ミリアの悲鳴が響く。


「……ぷっ」


ユイは、それを聞いて笑った。


アレンの背中にしがみつきながら、彼女の頬に涙が伝う。


――ずっと、願っていた。

でも、誰も助けてくれなかった。


ずっと、ずっと絶望の中にいた。


屋敷に捕らえられた日々。

逃げようとすれば痛みが待っていた。

言葉を発しても、誰も耳を貸してはくれなかった。


「……こんな日が……来るなんて……」


アレンの背中は、大きくて、温かかった。



アレンが駆ける速度は、風のようだった。

街の喧騒を抜け、裏路地を駆け抜け、城壁に近づいていく。


「アレン、どうするの……!? 城門は……!」


「正面突破なんてしませんよ」


アレンは城壁に向かい、一気に跳躍した。


「えっ……!」


ミリアは息を呑む。


アレンは、超人的な脚力で壁を蹴り上げると、次の瞬間――


ガシッ!!


城壁の石を掴み、すさまじい腕力でよじ登る。


「ひ……っ!」


ミリアは悲鳴を上げ、ユイは目を閉じる。


「しっかり捕まっててくださいよ」


軽く言うアレンの声が、妙に頼もしく感じる。


「そんな簡単に言わないで……!」


ミリアが涙目でしがみつく。


やがて、城壁の上に到達すると、アレンは周囲を確認し、一気に飛び降りた。


ドンッ――!


砂煙を上げながら、三人は無事に城壁の外へ着地する。


「ふぅ……」


アレンは深く息を吐くと、そっとミリアの身体を下ろした。


「大丈夫ですか?」


「…は…はい」


そしてユイもアレンの背中から降りると、そっと目元を拭った。


「……ありがとう、アレン」


その顔には、今まで見たことのない安堵の表情が浮かんでいた。

アレン、ユイ、ミリア――ついにバストリアを脱出!

これから彼らはどこへ向かうのか?

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