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四十六話 闇夜の潜入

アレンとユイは、ミリアのいる貴族の屋敷にたどり着いた。

しかし、ここからが本番だ。

果たして、無事に屋敷へ侵入し、ミリアを救い出すことができるのか――。

「……どこから入る?」


屋敷の鉄門の前でアレンは低く呟いた。


ユイは門を見上げながら、少し迷ったように言う。


「……裏庭の方からなら……」


「裏庭?」


「うん……私は、逃げるときそこから出たの。使用人用の扉がある……」


なるほど、とアレンは頷いた。

正面から入るよりはずっと楽だろう。


「じゃあ、そこから入るぞ」


「……でも……」


「どうした?」


ユイはぎゅっと拳を握りしめる。


「……また捕まったら……ミリアみたいに、拷問される……」


暗闇の中、ユイの声がかすかに震えた。

その言葉に、アレンは眉をひそめる。


「……俺がいる」


「……」


「絶対に捕まらせない。お前はもう自由なんだ」


ユイは驚いたようにアレンを見上げた。

アレンは少し微笑んで、彼女の頭を軽く叩く。


「ほら、案内しろ」


ユイは小さく頷くと、静かに裏庭への道を指し示した。

アレンはそのまま彼女の後に続く。


ーーー


貴族の屋敷の裏庭。


使用人用の出入り口がひっそりと佇んでいた。

ユイは震える手で扉に手をかける。


「開くのか?」


「……開けたことはあるけど……中から鍵がかかってるかも……」


アレンは扉をじっと見つめる。


「試せ」


ユイがゆっくりと扉を押すと、ギィ……と鈍い音を立ててわずかに開いた。


「開いた……」


アレンは一度周囲を確認すると、ユイに言った。


「ここから先は俺が先に行く。お前は後ろにいろ」


「う、うん……」


アレンは慎重に扉の隙間から屋敷の中へと足を踏み入れた。


ーーー


屋敷の中は、想像していたよりも静かだった。


夜も更けているせいか、見張りの使用人や衛兵の姿はほとんど見えない。


しかし、油断はできない。


「……どこにいる?」


ユイは小さく息を飲み、そっと囁くように答える。


「地下牢……」


「地下牢?」


「貴族はね……反抗した使用人をそこに閉じ込めるの……」


「……なるほど」


嫌な予感がした。

アレンは気を引き締め、足音を殺して屋敷の奥へと進む。


ーーー


廊下を進み、屋敷の地下へと続く階段を見つけた。


「ここだ……」


ユイが指を差す。


アレンは頷き、ゆっくりと階段を下り始める。


湿った空気。

カビ臭さ。

鉄の匂い――血の臭いも混じっている。


ユイの手がアレンの服の裾をぎゅっと掴んだ。


「……怖いなら、ここで待ってろ」


「……大丈夫」


震えながらも、ユイは一緒に行くと言った。


アレンは何も言わずに、そのまま地下へと進む。


ーーー


薄暗い地下牢。


囚われているのは、ほんの数人の使用人たちだった。

その中の一人が、ユイの名前を聞いて顔を上げた。


「……ユイ?」


「ミリア……!!」


ユイが駆け寄る。

牢の中には、鎖で拘束されたボロボロの女性――ミリアがいた。


挿絵(By みてみん)


その顔は痩せこけ、青あざだらけだった。


「おい、大丈夫か?」


アレンが近づくと、ミリアは弱々しく首を振った。


「……あなたは……?」


「助けに来た。ユイの知り合いだ」


「ユイ……無事だったのね……」


ミリアは涙を滲ませながらユイの頬を撫でた。


アレンは素早く牢の鍵を探す。


「鍵は……?」


「看守が持ってる……でも、いつもここにはいない……」


「なら、ぶち破る」


ユイとミリアが驚いた顔をした。


アレンは牢の格子を握ると、ぐっと力を込めた。

そして――


バキィッ!!


鉄格子が折れ曲がった。


ミリアが息を呑む。


「な……え……?」


「さっさと出ろ。ここから逃げるぞ」


アレンはそう言い、ユイとミリアを促した。


だが――


「待て」


地下牢の出口に、一人の男が立っていた。


鋭い目つきの男。

身なりは貴族のようだが、その雰囲気は剣士のようでもある。


アレンはゆっくりと立ち上がり、目を細めた。


「……お前が、この屋敷の主か?」


男はフッと笑った。


「さてな」


嫌な予感がする。


どうやら、一筋縄ではいかない相手のようだった――。

ついにミリアを発見! しかし、すんなりとは逃げられない……!?

果たして、アレンはこの貴族剣士を突破できるのか――!?

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