第四十四話 『虚無のエネルギーとの最終決戦 終止符を打て』
「…君? おーい、ター君……」
誰かが俺を呼ぶ声がする、優しくもどこか力強い、俺の大好きな声がする……。
「もー。起きなさい!」
「はい! ただいま!!」
その声の主に机を叩かれ、俺は飛び起きる。そこは、小さな部屋だった。
学校の教室のようだが、半分程度しか無く、部屋の真ん中にはモニターとパソコンが数台置かれているだけの部屋だった。
「あれ? 虚無のエネルギーは?」
俺は口からたれていたであろう涎を拭きながら周囲を見渡す。俺はさっきまで、虚無のエネルギーの作り出した空間で戦っていたはずだが……?
「って。イデデデ!」
「いい加減起きなさーい、それはゲームの話でしょー?」
突然俺は、左頬を引っ張られた! 俺は左頬を引っ張るものの手を払うとそいつを見た。そこには栗色の髪を後ろで一本にまとめた、セーラー服姿の女子高生がいた。
「なにするんじゃ! めっちゃ痛かったわ!」
俺は左頬を抑えながら眼の前の女子生徒の理沙に抗議をした。
「いやぁ、嬉しいねぇー、バグの修正中に寝られたときはイラッとしたけど、夢に見るまで、俺達の作ったゲームのことを思ってくれるなんて……。」
「こりゃ、IIIも制作する……かな。まだ、ネタが思いついてないけど……」
理沙以外の声が聞こえ俺はそっちを見る、そこには、ぽっちゃりした黒髪の男と、筋肉質の日に焼けた男が立っていた。
「タカアキ? タクヤ?」
「おいおい、コイツまだ寝ぼけてるぞ? それはお前にやらせていたゲームのキャラのことやろ?」
「あー。やっぱり実名のほうが良かったやろか? なんかおもろないから避けたんや……」
そう言って口々に話す……貴晴と拓真……そう。たしかそんな名前だったはず
「マジで寝ぼけているの、ター君? 君は二人が作ったゲームをやっていてラスボスの魔法を受けたら画面が真っ白になってフリーズしたから二人が直している間に寝ちゃったんだよ?」
「え? あ、ああ。なんかそんな感じ? だった気がするが……」
俺は考える仕草を取るがいまいちピンときていない。完全にあれは戦いだったからだ。
「まぁいい、直したから、またテストプレイ頼むわ!」
貴晴の言葉に俺はゆっり頷くと、パソコンの前に座りマウスを握った。その時、また誰かの声が脳に響いた。
「いい加減に起きろ!」
誰かが俺の胸ぐらをつかんで揺すったのか頭が大きく揺れた!?
「あ、へ? ええ?」
そして俺は意識を戻す。するとそこは教室ではなく、虚無のエネルギーが生み出した異空間だった。
「やっと起きた? まったく、戦闘中だっていうのに、緊張感がないね!」
リサはそう言うと、右腕を下ろす。思い出した、虚無のエネルギーとの戦闘で、奴が放った六属性のビームを喰らった後、大技か何かを撃たれた後に際意識が飛んだんだ……。
それにしても、高校時代の夢を見るとはな……場所に引っ張られたか?
「ちぃ、まさか俺の渾身の技を障壁魔法で受け止めるとは……」
虚無のエネルギーはそう言うと腕組みをすると俺達の傍までゆっくり通りてきた。
「あのやろう。何したんだ?」
「顔面の時にやろうとした技をしたんや、リサが防いでくれて助かったけどな」
俺のつぶやきに。貴明が答えてくれる虚無のエネルギーを纏った突撃か……。
「コントロールも完璧だったしパワーもすごかったよ、あの顔の時に撃たれる前に防げてよかった……今の一撃よりは弱かったと思うけどね」
「六賢者の一角は伊達じゃないと言う事か……それに元が雑魚とは言え俺を取り込んだやつらを倒してきただけのことはある……やむを得ん。これを使うと再生途中の肉体に響く可能性があるんだが……」
虚無のエネルギーがそう呟くと、奴の鎧に走るラインのような窪みから緑色の光が漏れ始めた。そしてそれは右手が勢い良く輝いた!
「来るって事ね……」
リサはそう言うと魔導書を開き始める。フライの魔法を唱えるようだ……。
「フライは君たち二人だけで良い……」
「貴明と同一化したおかげで、飛行のコツを掴めた。俺達は独自で飛ぶ……」
デモンとカイゼルが俺達に向かって言ったその時、虚無のエネルギーは光り輝く右手を俺達に突き出した!!右手から緑の光が放たれた! だが
「フライ!!」
「行くぞ! デモン・ブースター!!」
「デュワッ!!」
虚無のエネルギーが放たれた瞬間、俺達は上空に飛びそれを躱す。そして
「カイゼル・キィィック!!」
「ライトニング・キック!!」
貴明と卓也は同時に虚無のエネルギーに向かって蹴りを放つ、貴明は燃え上る左足で、卓也は稲妻が迸る右足でだ。
「ぐ!」
二人の蹴りを胸に食らった虚無のエネルギーの巨体は大きく後ろに下がった。
「今のが最初で最後やぞ、ダブルキックは!」
銀色の、おそらく俺がぶっ壊した魔道具の小型版と思われる物を背負った卓也は貴明に向かって言う、貴明はサムズアップで返事をした。
「ぐぅ、だがな。この程度の攻撃で俺が倒せるかぁぁぁ!!」
虚無のエネルギーが声を荒げると、奴の体全身から無数の光が放たれた!!そしてその光は俺達を襲った!!
「まったく、なぜ、あなた達は困ったらそう言う技を使うのかしら? もう飽きたわ!!くらいなさい! グラビティ・アース!!」
リサは叫ぶと両腕を突き出す! すると、無数に飛んできた光が急に速度を落とすと上から何かを押し付けられたかのように折れ曲がりそれらはすべて虚無のエネルギー目がけて飛んで行った!
「まさか、グラビティ・クエイクとアース・クエイクの合体技か……?」
「ええ、そうよ。あいつの空間を歪ませて、魔力を跳ね返させてもらったわ」
リサの得意技のアース・クエイクは最終リミッター解放したら地震を起こすだけでなく、大気すらも振るわせられる、その状態でさらに、第三リミッターを解放時に撃てる重力を操る魔法を合体させたのか……流石は六賢者だ。
「ぐぅぅ、舐めるなよ……この程度で、やられん!!」
虚無のエネルギーは語気を強めて言うと、口から魔力の光が漏れた。ちぃ面倒な!
「されるか! カイゼル・ブレェェェェス!!」
虚無のエネルギーが口から魔力を放った瞬間、貴明が勢いよく空気を吸い込むとそれを吐き出し熱風を放つと虚無のエネルギーが放った光を爆散させた!!
「今よ!」
「ああ!!」
リサの言葉に俺達は頷くと、互いの武器を構える。そして
「ロック・エッジ!!」
「オロチ一閃!!」
俺とリサは互いの武器を真っすぐ振り下ろした!!俺とリサの放った一撃は、虚無のエネルギーの体を切り裂いた!!
「がぁぁぁっ!」
「さらに追い打ちだ! サンダー・ブレード!!」
卓也は稲妻の迸る剣を俺達の攻撃で体勢を崩す虚無のエネルギーに向かって振り下ろした!
「ぐぅ、舐めるなぁ!!」
虚無のエネルギーは右腕を振り、衝撃波のような物を放つと、それは卓也の顔面に激突、卓也は大きく顔を弾かれた!
「ふん、この程度。効かん!」
幸いダメージは浅く、サングラスのみが弾かれるだけであった、だが、その時だ虚無のエネルギーの下顎はそこに筋肉があれば、笑みを浮かべていると思わせるようなかみ合わせをしていた。
すると、奴の瞳が怪しく光り輝いた。まさか、ポテージャの技か⁉じゃあワザとにサングラスを!?
「まずい! 卓也さん躱して!!」
「っ、糞! そう言うことか!!」
リサは左手に鞭を出現させながら叫ぶ、しかし卓也は動きが止めれず、そのままゆっくりと虚無のエネルギーに近寄って行った。くっ、間に合わない……。
「させるかぁぁ、カイゼル・ビィィィーム!!」
貴明の声が響くと、二つの光が飛び出し、それは虚無のエネルギーの怪しく輝く右目に命中! 爆発し煙を上げた!!
「目があぁぁぁぁぁっ!!」
叫んだのは卓也ではなく虚無のエネルギーだった、両目を抑えた虚無のエネルギーはその場で狼狽える。そして、卓也のサンダー・ブレードが振り下ろされ、それを食らった奴はさらに悶えた。
「すまん、助かった、さすがは一回喰らっただけのことはあるな!」
「お前も喰らって欲しかったけどな、今はそんな暇ない!」
卓也の言葉に貴明は声を上げて接近すると、虚無のエネルギーに接近し、燃え上る拳を虚無のエネルギーの横っ面に叩き込んだ!!
「ぐがっ!」
虚無のエネルギーの減免が勢い良く弾けると、それと同時に仮面を吹っ飛び奴の再生途中のドクロが浮き彫りになった。正直、顔が溶けているみたいで気持ち悪い……。
「このまま一気に攻めるよ! ター君!!」
「分かった!!」
俺はリサの言葉に強く頷くと六象光輪斬を構える、そしてリサも卓也や貴明同様、虚無のエネルギーに突撃した!!
「やらせるかぁぁぁ超光正義の大行進」
虚無のエネルギーは叫ぶとアリグム以上の輝きを放ち、拳を連続でリサたちに放った!
「ラッシュの応酬か? いいだろう、行くぜぇぇ、カイゼル・ラァァァァァッシュ」
貴明は叫ぶと体中に金色の炎を纏わせ、虚無のエネルギーに向かって拳を連続で突き出した。
「ぐぅ!」
「どうした? 名前の割には大したことないな!」
貴明の突き出す拳が速く、そして強いのか、最初のうちは応酬で来ていた拳同士のぶつかり合いも、いつしかできず、虚無のエネルギーは貴明の拳を防ぐだけであった。
「うおら、こっちががら空きだ、カイゼル・パァァァンチィツ!!」
貴明は叫び、左腕を大きく真下から突き上げる、バチィィンと言うような大きな巨大な音が響くと同時に、虚無のエネルギーの右腕は鎧と共に大きく上空に弾かれた!!
「ナイスだ、くらえ。雷撃明王斬!!」
そして、貴明の背後から卓也が飛び出すと、卓也は青白く発光する稲妻を迸らせた剣を大きく振り上げ、そのまま真っすぐ振り下ろした!!
「ぐがぁぁぁぁぁぁ」
虚無のエネルギーの叫び声が聞こえ、奴の鎧は大きく砕けその中にある、再生中の骨が覗いた!
「喰らいなさい! アース・クエイク!!」
そして、ゆっくりと体勢を崩し降下していく虚無のエネルギーの再生途中の胸骨に両足を付けたリサは、眩い輝きを放つ、右拳を勢いよく虚無のエネルギーの中心の球体に向かって突き出した!!
その瞬間、奴の体が勢い良く揺れ、奴は口から緑色の血のような液体を吐いた! すると三人が一斉に俺の方を向いた。ああ、分かっているよ俺も、十分溜まったよ。
「六象光輪ざぁぁぁぁぁん!!」
そして俺は、虚無のエネルギーに向かって勢いよく、六つに光り輝くムラマサを勢いよく振り下ろした!!
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