第四十三話 『姿を現す虚無のエネルギー これで終わりだ』
「くっくっくっ、そこまでよまれていたとはな……ならば見せてやろう、俺の俺だけの姿を!!」
何もない、漆黒から、アホタ……アロタロスと混ざった声ではなく、完全に虚無のエネルギー単体の声が聞こえた。
「本当の闘いはこれからだ……って分けやな……」
貴明がそう言って拳を握る横で、卓也は目を細め貴明を見る……何かのネタか……まぁ、本当にそうなんだから仕方がない!
そうして、虚無のエネルギーが吹き飛んだ方を見ると空間がゆっくりと歪み始め、そこからヌッと禍々しい色の稲妻を迸らせながら巨体が現れた!!
「なんて、姿なの……」
虚無のエネルギーを睨みながら、呟くようにだが、語気を強め言うリサの言葉に俺たちはゆっくり頷く。
二本のコウモリの翼とも取れる角を生やした鬼のような仮面を頭部に真っ赤に輝く鎧を身につけたその姿は禍々しいものだった。
なぜなら、その姿は奴の言うように不完全なもの、いうなれば再生途中の姿だったからだ。仮面や、胴や腕、足、腰を覆う真っ赤な鎧の下からのぞく、骨や腱や筋肉……。
そして、胴体と接続されてない四肢と頭部。しかし、それは中央に輝く、禍々しい色をした赤、青、緑、茶、白、黒の六属性を匂わせる球体から伸びる靄のような光により繋がれ、人の姿を象っていた。
「貴様らを生贄に、この肉体を完全なものにさせて貰う! さぁ、始めようか。最後の戦いを!」
虚無のエネルギーはそう言うと、こちらを見る。すると、やつの体から、魔力が、いや、虚無のエネルギーが発生した!
「行くよ! 皆!」
リサは叫ぶと、右腕に土の魔力を集めた。
「よし! 喰らえぃ。サンダーブレード!」
「こぉれでも喰らえぇ! カイゼル・パーーンチッ!」
「六閃オロチ!」
「アースクエイク!!」
俺達は互いに叫びながら。それぞれの武器や腕を突き出す!
ムラマサからは、火、水、風、土、光、闇の六属性のオロチが、リサの右腕からは最終リミッターを開放した状態じゃないと使えない土の魔力の塊が、貴明の左腕からは金色に輝く炎が。そして、卓也の剣からは稲妻の斬撃が飛び出した!
そしてそれらは、一斉に虚無のエネルギーに向かって突き進むと奴の体に命中した!
「いや、してない! 皆! 後ろを警戒して!」
リサは叫ぶと、魔導書を開きながら背後を睨んだ! すると、俺達の背後から漆黒に輝く、四つの翼を持った虚無のエネルギーが現れた。
そして、虚無のエネルギーは右手に魔力を集め始めた!?
「やらせん! ツイン・ギャラクシーライトニング!」
「出し惜しみ無しで行くぞ! カイゼル・ブラスタァァーッ!」
その瞬間、卓也は剣を振り、三日月状の稲妻の斬撃を放ち、貴明は体に集めた金色の炎を鎧の胸元の宝玉から放った!
二人の技は虚無のエネルギーの右手に命中、勢いよく爆発した!?だが……。
「ふん、あの程度か? 少々買いかぶりすぎたようだな!」
またもや、虚無のエネルギーは俺達の背後におり、奴の両手には両刃の斧が握られていた。まずい!
「! シールド!」
リサは叫ぶと、右腕を前に突き出す! すると俺達の周りをドーム状の障壁が包んだ! そしてそれは、虚無のエネルギーが振り下ろした斧の一撃を無傷で防いだ!
「ちぃ! 猪口才な……ならば!」
奴はそう言い後ろに下がる、すると、仮面の額に光る宝玉に虚無のエネルギーが集中し始め、ヤツはそれをリサに向かって放った! しかし
「ぐっう! な、何ぃ!?」
奴の放った光は障壁に命中するが、リサの障壁には一切傷がつかなかった。それだけではなく、なんと、奴自身に放った光が跳ね返り、奴の肩に命中した!
「ぐぅ、馬鹿な……そのシールドという技は小型の盾のはず、それに、魔力を返す効果はなかったはずだ……」
虚無のエネルギーはそう言い、左肩を抑えると翼をはためかせ距離を置く。やはり、奴が言っていたように向こう側の頃からの俺達の戦いの様子を見ていたのか、それにしても情報不足だな。
「あら? 私の戦いを見ていたのなら情報不足ね? 私のシールドはもともと魔力を返せるのよ? こっちじゃ、全力で使えなかったけど、全力で使えば半球体状のものを使えるのよ?」
リサは、そう言い軽く笑う。第二形態を吹き飛ばした時にも思ったが、やっぱりリミッターが解除されている!
「どうやら、あのバカでかい顔面になった時の影響でこちら側とあちら側の境目に穴ができたようだな」
貴明が笑いながら言う。いや、この声。カイゼルだ。
「ええ、そのお陰で無駄な体力を消費せずに、あの形態を倒せたのが良かったわ」
リサは貴明に返事をするが、その声色はカイゼルに返事をするような言い方だった。
「お陰で俺達も意識を保っていられるようだな。卓也、俺も本気で行く、ついてこられるな?」
「もちろんだ!」
卓也は自分で言ったセリフに同意の返事をする。いや、デモンとの会話なんだが、貴明、カイゼルと違ってこの二人はなんか似てるな声が。
「貴明、君の記憶を覗かせてもらった、あの、ダイナマイトとか言う自爆技は簡便願うが、それ以外であればキミの力に上乗せできる力で撃てるぞ!」
「ああ、できたら俺もあれは使いたくないからな、俺のオタク知識フル全開で奴に技を叩き込む! 頼むぜカイゼル!」
貴明もカイゼルに返事をする。すると、卓也と貴明は互いに魔力を高め始めた。
その高まった魔力はデモンとカイゼルの二人が、幻影のように卓也と貴明の背後に見えた。
「はっ! あのアホに魅入られたのが運の突きだったみたいだな! 容姿に引っ張られて知能が落ちてるぞ!」
俺は、笑いながらムラマサの刃先を虚無のエネルギーに向ける、すると、リサ、デモン、カイゼルの三人は吹き出した。
「知能が落ちた? たしかに、一つ前の形態のせいで、貴様らを強化させた事のミスは認めよう、だがな……俺の力は無限だ……貴様らがどれだけ強化しようが……煽る度にこの男の中にある負の感情が勝手に高まる、そして高まり続ける限り俺は無敵だァァァっ!」
虚無のエネルギーが叫ぶと中央の球体が虚無のエネルギーを放った! そしてヤツは翼を大きく広げ、両手に斧を構え、俺達に突撃してきた!
斧の刃先から虚無のエネルギーを放出しながら、俺達に向かって勢いよく振り下ろした!
「やらせん! ダブルサンダー・ブレード!」
デモンと卓也は叫ぶと、稲妻の迸る剣を☓字に突き出し、右方向から振り下ろされる斧を受け止めた!
「喰らえ! カイゼル・クロスチョップ!」
対する貴明もカイゼルと一緒に叫ぶと、両腕に炎をまとわせながら左方向から振り下ろされる斧を手の甲で挟むようにして受け止めた!
「今だ! リサ! ター君! 決めろ!!」
貴明と卓也は振り向きながら俺とリサに向かって叫ぶ。って
「お前等! デモンとカイゼルが話してるのをいいことにター君言うな!!」
俺は卓也と貴明に向かって叫ぶとリサと同時に虚無のエネルギーの懐に突撃した!
「巨大化したことを後悔しなさい!!行くよ! ター君!!」
「あぁ、任せろ!」
リサの言葉に俺は返事をするとムラマサを構え魔力を流す。出し惜しみはしない、ありったけをぶつけてやる!
「喰らえ! 六象無双オロチ縦横無尽斬!!」
俺はムラマサをまっすぐ振り下ろすと、そのまま左右、斜めとその名の通り縦横無尽にムラマサを振るった!
「ならば私も! ロックスラッシュ!」
リサは叫ぶと土姫にリミッターを解除した土の魔力を上乗せすると俺の振り下ろすムラマサとは真反対の動きで土姫を連続で振るった!
「ぐがぁぁ、猪口才な!」
俺達の連続攻撃を浴びせられた虚無のエネルギーは声を荒げると、背中に浮かぶ六枚の翼を大きく広げた、そして
「俺から離れろ! この羽虫共がァァァァッ!!」
「ぐっ!」
「きゃあっ!」
「ちぃ!」
「うおっ!!?」
声を大きく荒げた虚無のエネルギーの翼から六属性の魔力を持った稲妻が発生、俺達は大きく弾き飛ばされた!
「よくもやってくれたな……だがな。俺の力を舐めるなァァァ!」
虚無のエネルギーが声を荒げると奴の鎧のパーツが開く。まさか!?
「喰らえっ!!」
そして、奴の体全身から六属性の光と虚無のエネルギーを持ったミサイルが撃ちだされた。この技はヴィケーノの物だ!?
「この形態でも配下の技は使えるみたいだね!!」
リサはそう言うと、右手に魔力を集める。すべてを撃ち落とす気だ、だが俺達の隣にいた貴明とデモンが俺達の前に出た。
「虚無のエネルギーよ、貴様に本当の稲妻を見せてやる。行けるな卓也?」
「もちろん、行くぞデモン!!」
「ダブル・サンダーボルトブレード!!」
卓也とデモンは同時に叫ぶと両手に握る稲妻の迸る剣を上段に掲げると勢いよく、振り回した!
すると稲妻が勢いよく発生し二人の振り回す剣の動きに合わせる様に稲妻が動き、飛び交うミサイルをすべて破壊した!!
「よし! 次は俺達だ! 行くぞカイゼル!!」
「ああ!!」
「カイゼル・アトミック・スフィア!!」
カイゼルと貴明は叫ぶと掌に炎を集めると巨大な火球を作り出し、それを虚無のエネルギーに向かって放った!!
「ぐあがぁぁぁぁ! だが、舐めるなぁぁぁッ!!」
虚無のエネルギーの体が大きく吹き飛び、だが奴は、それに耐えると、声を荒げた!!すると、奴の胸の球体が光り輝き、勢いよく六色に輝く光が放たれた!
「うあ!」
「キャァァッ!」
「ぐっ!」
「ドゥワッ!」
六つに輝く一瞬の光は俺達に回避や防御を取らせる時間を与えず、俺達は光に飲まれ大きく吹き飛んだ!
「六属性の魔力に虚無のエネルギーを合わせるなんて……」
「あぁ、まるで六象光輪斬だぜ……」
「直撃してないのになんてパワーだよ……」
この空間に来た時に、できていた足場まで吹き飛ばされた俺達はゆっくりと立ち上がった。
「! お前等! 防御しろ! あいつなにかするつもりだぞ!?」
立ち上がる俺達に向かって、デモンと卓也の声が響き、俺達は虚無のエネルギーを睨む、すると奴の体が、まばゆい光を放った!!
そして次の瞬間、目の前が真っ白になりリサの障壁魔法を唱える声を遠くに聞き、俺は意識を失った。
第四十三話 『姿を現す虚無のエネルギー これで終わりだ』を読んでくださりありがとうございます。
面白いと少しでも感じて頂けたなら、評価、感想、広告下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
よろしくお願いします!




